ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第98わ「血戦前夜、そして当夜」
そして俺は今夜も雑居ビルの屋上で紅茶を啜り、サンドイッチをぱくつきながら日付が変わる瞬間を待っている。しかし今、俺の隣に相棒は居ない。何故ならば。
「はー……」
さっき俺が相棒の背中に乗り物めいて跨ったことへの意趣返しであろうか。座り込んだ俺に覆い被さるように背後から相棒に抱きすくめられているのだ。それも無言で。吸血鬼の体の冷たさには慣れることが出来ない。奪われた体温を取り戻すべく水筒の熱い紅茶を口に運ぶ頻度が今までになく高まっている。
「……」
日付が変われば戦いの火蓋が切って落とされる……のだが……それまでは一時間弱の猶予がある。率直に言って今すぐにでも戦闘に突入して欲しい。ぺらぺら喋る相棒が無言でいるというのは、それほどまでに恐ろしい。
「ここでダンナにクイズです。ハントマンの一番の好物と言えば……まぁ言うまでもないですね。では二番目は何でしょうか?」
急に喋るから驚いた。喋るときは事前に言え。
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