ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第84わ「以心伝心」
「銀の弾丸は喰われる側が喰う側に対抗する為の特別なアイテムさ。だから喰う側が運営する❝ゲーム❞の通貨とは交換させられない。欲しければ……」
仕方がない、潔く銀の弾丸は諦めよう。
「最後まで聞きたまえ」
ゲームマスターが悠然と距離を詰めて来た。一歩ごとに身体のあちこちが、ゆさゆさと揺れている。俺の相棒とは大違いだ。
「銀の弾丸が欲しければ、我々に対する貢献が必要だということさ。誰にも一度も血を吸わせていない今の君は、いわば未開封のワインボトルさ」
ゲームマスターの歩みは止まらない。そして俺は身動き一つ出来ずにいる。体の輪郭が浮き出る修道服から目が離せない。目を閉じることも出来ない。またもや吸血鬼の凝視だ。
「君の最初の一口を私に飲ませてくれるなら銀の弾丸なんて好きなだけあげる。それも使い切る度に何度でもさ。悪くない条件だろ?ね?」
交渉は決裂だ。何故ならば、相棒が俺の異常を察して既に動き出していたからだ。
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