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どんな職場でも生き延びる

「先生のようにはできそうもありません」

昨日で退職した,たった1人の心理職だった職場で,後をまかせるスタッフが泣きそうな顔で言った。

「そんなことないですよ。経験を重ねていくうちに先生ならできますよ」

わたしはそう言った。

20年前のわたしをみているようだった。

今でこそ,5年ごとの資格更新も3回を越え,いつの間にかベテラン臨床心理士になったけれど,20年前は大学院修士課程を出たばかりの経験もない,スキルもない,何にもないわたしだった。

あるのは若さゆえの根拠のない自信。

でも,その裏側は,いつも不安だった。

「こんなケース初めてだな」
「どう対処したらいいんだろう」

いつも初めてづくしだから,できなくて当たり前。

「先生はいいんだよ」

そう言ってもらえ,見守ってくれる臨床現場で,わたしは心理士として育ててもらえた。

仕事の後は,急いで地下鉄に乗って,臨床心理の研究会に通ったし,薄給にはきつかったけれど,臨床心理士の資格試験のために数々の心理療法,心理テストの研修会に通った。

大学院の仲間と試験勉強の会を作って勉強していたし,大学院の先生にグループスーパーバイズ(心理職のための専門的助言の場)を受けさせてもらった。

職場の大学の先生にも個人的なスーパーバイズといいつつ,ただの飲み会でおごってもらうことも多かった。

いつもいつも,先生,まわりの先輩,仲間に助けられ,わたしは心理士として育てられた。

あれから20年。わたしは心理の後輩を育てる立場になった。

「国家資格ができるまでは,何が何でも臨床現場を離れてはいけませんよ。現役心理士でいることが必要ですよ」

臨床心理士になってすぐ務めた職場で,大先輩の心理士の先生にもらった言葉。

「仕事は続けなさいね」

わたしのあこがれの大学教授が結婚を機に仕事を辞めたわたしの同級生に言った言葉。

「いつも頑張っていますね。公認心理師試験も大丈夫でしょう」

毎年いただく,大学のゼミの先生からの年賀状の言葉。

これらの言葉のおかげで,途中,結婚して,出産して,心理士としてのキャリアも中断せざるを得ない時も数年間あったけれど,何とかして細いキャリアの糸を繋いでこれた。

「もう復活しないと」

自分の野生の勘が働いて,子育てに没頭していた2年の沈黙を破って,転居先で1から心理士のジョブキャリアを探した時,拾ってもらったのが前述の職場だった。

子どもが熱を出したり,発作を起こしたり,保育園や学校から電話がかかってくるたびに,頭を下げて休ませてもらえた。

また,就労スタートが1か月でも遅れていたら,公認心理師の第1回目の国家資格試験を現認者として受験できなかったから,本当に自分の勘のよさにいつも救われている。

「先生のおかげで,立ち上げたばかりの心理室をこうして続けることができました。至らないところもあったと思いますが,ありがとうございました」

退職した職場の人からメールが届いた。

女性は,綱渡りのジョブキャリアになりやすいけれど,細くとも何が何でもしがみついて続けられることは,どんな環境でもしぶとく生きのびられるための対人関係力が功を奏すると思う。

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論文や所見書き、心理面接にまみれているカシ丸の言葉の力で、読んだ人をほっとエンパワメントできたら嬉しく思います。