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CARMAキャロットケーキ製作譚

こんにちは、CARMA徳山です。いよいよCARMAの新作、キャロットケーキが販売開始されました。今回はケーキができるまでの諸々について書きたいと思います。構想~製作期間8ヶ月、CARMAの商品の中でも一番大変だった、開発秘話をお楽しみください。

ただいま発売中のキャロットケーキ販売分についてはこちらからご購入いただけます。12月はクリスマススペシャルバージョンです

きっかけ

今年(2022年)の始め頃、世田谷福祉作業所(以下、世田福)でCARMAカレーキットのシール貼りをしていた時、スタッフさんとの会話の中で、作業所に営業許可のある立派なキッチンがあり、外部の企業からお菓子の製作を請け負っている事を教えてもらったのがそもそもの始まり。

それまでシール貼りだけではあまり工賃に貢献できていなかった事、素晴らしいキッチンがあるのにあまり活用されていないとの事もあり、CARMAでもスパイスを使ったスイーツを作る事を考えました。早速、世田福施設長に相談したところ、話しはありがたいが、現在作業所にはレシピから考えられるスタッフがおらず、レシピを持って来てもらえれば、可能との事でした。

世田谷福祉作業所はこんな施設で、施設内には大変立派なキッチンがあります。

レシピ

我々カレーは作れても、スイーツはもっぱら食べる専門。そういう人知っていそうな近所の行きつけイタリアン「mezzo」の大野氏に誰かいい人いないかと相談してみる。するとすぐに思い当たる数人に声をかけてくれ、次の日には数名のパティシエさんを紹介してくれる。その中でも一番適してそう、というのが今回お世話になった北山さん(僕らは旧姓の伊谷さんと呼んでるので、以下伊谷さん)でした。

伊谷さんは元々六本木ロブションのパティシエで、現在は実家のある滋賀県のホテルで仕事をされている、すごい経歴の持ち主。そんな人が考えてくれるスイーツなんて美味しいに決まってる!まずは最高のスタートがきれました。

すぐにZOOMで打ち合わせを行い、僕らの思いややりたい事を伝え、スパイスを使ったスイーツのレシピ考案を快諾してくれました。キャロットケーキ含め、全4点(他にはベイクドチーズケーキ、チョコサブレ、メレンゲ)のレシピを考えてもらい、わざわざ東京まで来てもらい、世田福にてレクチャーを行って頂く事になりました。

匠の技

4月初旬、いよいよ伊谷さんのスイーツレクチャー当日。事前に必要な材料のリストをもらい、冨澤商店やクオカなどの製菓材料店でこれまで買った事のない各種材料を取り揃える。

この日は伊谷さんが、世田福製菓担当の職員さん4名に工程を説明しながら、お菓子を一緒に作ります。4種類のお菓子を同時進行で作っていく、手順が素晴らしかった。教えてもらう職員さんも普段からお菓子を作っている方達なので、しっかりついて行ってました。途中食事を挟みつつ、夕方にはすべてのお菓子が完成。どれもいい感じの仕上がり。そして味もどれもほんとに美味しくて、これが同じように作れれば間違いないものばかり。まずはどれから商品化するかを決める必要あり。

前列中央がパティシエ伊谷さん
後列は世田福の製菓やカフェ担当の職員さん
伊谷さんには4種類のスイーツをレクチャーいただきました。当日実際に作ったスイーツたちはこちら。どれも本当に美味しいです。そして初めて見るパティシエの方の丁寧な仕事ぶりにはただただ感動しました。スイーツは軽量から製作工程ひとつひとつの作業を料理とはちがう精密さで作っていくことを知りました。

商品決定!

レクチャーが終わり、いよいよどれを商品化するか選定に入ります。味はどれも問題なかったので、後は原価(実はこれが大きかった)、キャッチーさ、世田福利用者さんでも作りやすさなどを鑑み、まずはキャロットケーキで行く事に決定しました。正直キャロットケーキってレシピで提案してもらうまで、聞いたことはある、くらいだったのですが、その後いろんな店のを食べてみて、その美味しさを知りました。そして結構世間的にも流行っているらしい事を知りました。

軽食みたいに食べれるキャロットケーキ。どのカフェも素敵に陳列されていました。
冷凍によるケーキのオンライン販売もたくさんあることを知りました。いくつか取り寄せて解凍方法やパッケージなどの参考にしました。
この頃は都内で人気のキャロットケーキを食べまくりました。味もいろいろなことや、どんな風に売られているのかなど勉強になることがたくさんでした。

試作そしてパッケージ

商品が決定し、ここから世田福で何度か試作を重ねます。試作当初、ケーキの膨らみが足らず、パティシエ伊谷さんに相談するなどして、微調整を重ね、レクチャー時と同じ味を再現できるようになりました。賞味期限設定のため、専門の検査期間に依頼。こちらも賞味期限1ヶ月を問題なくクリア。

計量してます
ふくらみ問題も試行錯誤を重ねて思った通りの高さで、安定して作れるようになりました。
冷凍による製造販売について必要な検査もバッチリ通りました!一安心です

そしてスイーツはパッケージも重要らしい、という事でカレーキット同様、我々が絶対の信頼をおく、&SUPPLYにデザインを依頼。今後、ケーキの種類が増えた時に併用できるようにしたいので、キャラメル箱と商品名の入ったシールを別で作成しました。箱は白を基調として茶色のスパイス柄を配置。そしてデザイナーさんおススメの「CARMA」ロゴを銀色の箔押しで。結果、大人な雰囲気のかっこいいパッケージが完成しました。商品シールはリーフ型でキャロットにちなんでオレンジ色。こちらは現在製作中ですが、可愛くなるはずです。

パッケージデータ
パッケージ制作にあたっての要件をまずは整理
本当にどれも捨てがたい何パターンもの案を作っていただき、その中から今の形になっていきました。


最終テスト

8月初旬に最終テストとして、世田福の利用者さん向けにケーキを販売しました。短い申し込み期間にもかかわらず、皆さんには約30個も購入いただきました。ケーキを焼いてパッケージに封入し、段ボールにつめてクール冷凍便で各家庭へ発送しました。大きな問題はありませんでしたが、小さな改善点も見つかり、これはやって良かった。

世田谷福祉作業所の利用者さん関係者さん向けのみに絞って事前のトライアル販売。申し込み方法はオンラインなどではなく完全アナログで申込書を作って紙で集めました。想像以上にたくさん注文いただきました。アナログ大事。
食品表示シールを貼ります

ケーキや食材の写真を撮影し、オンラインストアに専用ページをつくり、ようやく販売の準備が整いました。そして初回の発送日も9月6日に決定し、8月23日ついにケーキの販売がはじまりました。

最後に

今回のキャロットケーキは1個(4カット分)2,000円での販売です。決して安くないですよね。ずいぶん強気な、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、、、ここからはその理由を説明させてください。

まずは食材。せっかく作るなら美味しくて、安全な食材を使いたい。パティシエ伊谷さんからはクリームチーズは北海道産「Luxe」の指定がありました。他のクリームチーズに比べて酸味があって、キャロットケーキによく合うとの事。そしてメインの人参は我々のこだわりで国産有機のものに。有機人参は普通のものに比べて甘さが全然違うので。そのほかの食材もできるだけ国産の美味しい物を使うよう、心がけています。だからどうしても材料費が高くなってしまいます。

材料選定も普段世田谷福祉作業所で使うものよりも高単価なものたちですが味にこだわって材料を決めました。そしてこの仕入れ作業も作業所にお願いすることに。

次に人件費。このキャロットケーキはケーキを焼くところから宅配用のダンボールに詰めるまで、ほぼすべての作業を世田福に委託します。すべての作業を利用者(障がい者)さんができるわけではないですが、材料を計量したり、小麦粉をふるったり、箱を組み立てたり、シールを貼る作業など、利用者さんが対応してくれる作業も沢山あります。個人差はありますが、彼らの作業スピードは我々より遅いです。だから委託費は普通より高くなってしまうんです。それでもできるだけ沢山作業してもらい、沢山工賃を受け取ってほしい。

以上が価格の設定に大きく影響しています。ただ、この部分は今回の取り組みにはどちらも不可欠なので、変えられません。今後、生産量が増えれば材料費が安くなる可能性が無くはないと思いますが、増えると言っても大量生産する訳ではないので、あまり期待はできないかと。やはり、買っていただく皆さんに理解してもらうしかない、のが現状です。

このような経緯で製作したキャロットケーキ、本当に美味しいです。自信があります。沢山販売して世田福の皆の工賃を増やしたい!どうぞよろしくお願いします。

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