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【クウェート大学#101】☀️シーシャと極上

7月2日(火)

【文法】ハーリド

今日も休講。

【歴史】イブラーヒーム

イスラーム史における軍事について。

【詩】ナジャーハ

アムル・ブン・クルスームの詩の続き。

週末に中間試験(成績評価の20%)をやるらしい。

ナジャーハ教授の授業はとても難しい。1500年前のアラブ詩をアラビア語で勉強しているのだから、復習が必須だ。

しかし授業が嫌になったことはない。教授は膨大な量の詩を暗記していて、授業中は折に触れて暗誦してくれる。

声がとても美しく、アラブ詩の韻律と相まって、聞いているだけで楽しい。


無惨にも花壇に捨てられたタバコ

授業後、日本人学生で集まって会議をした。
7月は大使館関係のイベントが多い。もうそろそろクウェートとお別れだ。

食事のクオリティーが上がった。

テスト勉強をする予定だったが、夜9時からシーシャを吸いながらEUROを観ることにした。

綺麗な夕焼け

ところで、この世には「極上」という性質がある。

ユーモア、知性、破天荒さ、反骨心、愛嬌、カリスマ性......などの諸々の美徳を兼ね備えた人間、空間、物の総称である。

トルコ人のムスタファは極上の人間なので、彼に誘われたからには私はテスト勉強を放棄せざるを得ない。

↑インフルエンサーのムスタファ


桜井とトルコ人のイルファンを加え、アールディーヤ( العارضية)という地区に向かう。

この地区はファルワーニーヤ県北部にあり、私たちの住むクウェート市から20分ほどで来ることができる。

夜遅くまで開いているレストランやカフェがあり、(当然アルコール類は存在しないが、)クウェートの繁華街というイメージがある。

肉を焼く匂いと、水タバコの香りと、ゴミの臭いとが入り混じった独特の空気を感じる。

ここは運転が荒い。

エジプト人のタクシー運転手は「マグヌーン(狂っている)!」と言って怒っていた。

トルコの国旗をよく見かける。ムスタファとイルファンは街行く人とトルコ語で話している。

なんでも、ここにはトルコのハタイ県出身の労働者が数多くいるのだそうだ。

ハタイ県はシリアとの国境付近にあり、それゆえアラビア語を話せる住人が数多くいるという。

「トルコ」と書いてある店

トルコ人が働く美容室は高い。私はインド人の理容店で髪を切っているが、その10倍はする。

アールディーヤには美容室も多い。


33cafe

夜でも40℃近くの気温がある。歩いているのは辛い。

テレビとシーシャがあれば何でも良いので、最初に見つけた店に入った。


夜9時のシーシャカフェは大盛況だ。私たち以外は全員クウェート人のようだ。

試合を見る人もいれば、スマホゲームをする人もいるし、お喋りに興じる人も、トランプで遊ぶ人もいる。

EURO2024ベスト16、トルコ対オーストリア。
入店したタイミングでちょうど国歌斉唱が終わった。

レアル・マドリード所属、19歳のアラダ・ギュレル
誰も興味なさそう。

アラダ・ギュレルを筆頭に、トルコには若く有望なプレイヤーがいる。

昨年日本代表がトルコに完勝したことは知っているが、トルコ代表のプレーを観るのは初めてだった。

なかなか強いチームだ。

開始1分40秒でトルコが先制

トルコ代表にはスュペル・リグ(トルコのリーグ)所属の選手も少なくない。

特に、長友佑都がかつて所属していたガラタサライの選手も何人かいる。
私が応援するフェネルバフチェのライバルチームだ。

私はフルカーンというトルコ人の友達(徴兵により2学期で帰ってしまった)との約束により、フェネルバフチェを応援することになっている。

ゲームをするクウェート人

シーシャ(水タバコ)は中東では欠かせない嗜好品だ。

炭を使ってタバコを燃やし、その煙を水にくぐらせ、ホースを通して煙を吸う。吸う時にブクブクと水が鳴るのが心地よい。

シーシャには普通、リンゴや桃などのフルーティーな香りが付けられていて、煙を吸う時と吐く時に体の中に香りが広がる。

吐き出す時に真っ白な煙が出てくる

ムスタファはミドワークというタバコも持っていた。

煙管のような筒に粉末状のタバコの葉を入れ、そこに火をつける。
吸うたびに火が消えるので火をつけ直す必要がある。4、5回吸ったら葉を交換する。

私は一度吸わせてもらったが、あまりにも辛くて咽せてしまった。

ミドワーク

水をブクブク鳴らしながら、テレビを見る。

2対1でトルコが優勢のまま試合が進んでいく。

終盤、背番号17番のイルファンという選手が出てきたが、特に良いところがない。

「私は優れた人物だが、こいつはちょっと違うだけだよ。」

もう1人のイルファンは白い煙を吐きながら言った。

イルファンは大学の助教授らしい。
イブン・ルシュド研究をしているらしく、アラビア語も堪能だ。なぜそんな彼がランゲージセンターで学んでいるのかは分からない。

井筒俊彦の話をしたらとても楽しそうにしていた。

彼と話すのは今回が初めてだったが、イルファンもまた、「極上」の類いであった。

熱狂するサポーター

2対1から得点は動かず、トルコが勝利した。
トルコ人たちは満足げだ。


家路につくころには日付が変わっていた。
「極上」の人間たちとつるんで過ごす時間より重要なものはない。

そういえば、私が「極上」と認定している大学の先輩たちは、みんなタバコを吸っていた。喫煙は極上の要件なのだろうか?

だとしたら、実はタバコが苦手な私は、「極上」にはなれそうもない。

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