就職支援1万人の藤原セイが21卒NNTの学生を支援してみた(フィクション) 後編

※中編はこちら


「探す」サービスだけでなく、「探される」サービスを利用する

セ:もっと簡単に準備する方法。それは、①自分理念と原体験 ②ガクチカ だけを考えておくことだ。

N:(さっきの企業の魅力を考えるってのがないだけやんけ…)

セ:そして、③スカウト型のサイトに登録すること、だ。

N:スカウト型のサイト…?

セ:そう。一昔前は、就職活動と言えば「自分から探す」のが基本だった。リクナビやマイナビなどのナビサイトが主だね。ところが、最近は登録すると企業から声がかかり選考に招かれるような「スカウト」を送ってくれる企業もある。そういったものは、場合によってはエントリーシートをパスした状態から選考をスタートするようなことが出来る。

N:そういうサービスがあるんですね。

セ:また、④就活エージェントに登録する、というのも一つの手だ。

N:就活エージェント、ですか?

セ:そう。アドバイザーと面談し、案件を案内してもらえる。受けたい会社においては選考に進む。選考は履歴書の提出で済み、エントリーシートが不要な企業もある。この二つは「探す」サービスの側面よりも「探される」サービスという側面が強い。だからこそ、自分が求められる企業や職種が、どんなものかが分かる。

N:そんなのもあるんですね。知らなかったです。そもそもエントリーシートの提出がいらない企業があるんですね…って、なんでエントリーシートの提出不要なんですか?

新卒採用マーケットの今

セ:本質をついたよい質問だね。それは、就活エージェントやスカウト型サービスなどの担当者に聞いた場合、「お人柄重視の選考だから」という回答が返ってくるだろう。そして、自分理念・原体験・ガクチカがあれば、お人柄理解において事足りる、と。それは確かに一側面としては間違いない。ただ、別の側面もある。そもそも、エントリーシートを求めるのは何故だと思う?

N:それは…文面から読み取れる人柄を理解したいから、ですかね?

セ:それも勿論ある。でも、もし人柄理解が全ての理由だったら、全員面接すればいいだけの話だよね。

N:あっ…ひょっとして、応募数が沢山にあるから、ですか?

セ:その通り。先に伝えた通り、多い会社は2万人ほどの学生がエントリーをする。全員に会って人柄を確かめるなんてことは、難しい。だからこそ、エントリーシートという形でのスクリーニングを行い、会う学生を絞っているんだ。

N:なるほど…って考えると、エントリーシートがない企業は、応募が少ない、不人気企業ってことですか?

セ:そうとも限らない。なぜならば、「ナビサイトに載せると多くのエントリーが来すぎるから、逆に限られた採用チャネルでアプローチをする」ために、エントリーシートを設けずに、スカウト型やエージェントを使うケースもある。

N:それって、どういうケースですか?

セ:例えば、専門性を求める場合。理系×大学院生のみが採用ターゲットになっているとか、体育会系の学生のみを採用したい、とか。そういう場合は、そのバックグラウンドが分かれば採否の判断がつきやすい一方で、母集団が限られているため、エントリーシートでのスクリーニングをかけると少ないところから更に少なくなってしまう。だから、エントリーシートを設けない。ただ、一方で「エントリーシート不要」をナビサイト上で大々的にうたうと、採用ターゲットではない学生からのエントリーが殺到してしまいスクリーニングに工数がかかり過ぎてしまう。だからこそ、必要な学生だけにアプローチが出来るスカウト型やエージェントを利用するんだ。

N:…文系の僕には関係のない話ですね。

セ:もう一つある。内定辞退が発生した場合だ。

N:え、どういうことですか?

セ:内定辞退や留年=採用出来ずで、もし企業側の採用計画数に若干名空きが生じた時。そこからナビサイトで募集をかけるには準備含めて遅すぎる…となった場合、就活中の学生に即リーチが出来て、早めに面接が開始出来る可能性があるスカウト型サービスやエージェントに急募案件として連絡がくるんだ。

N:そういうこともあるんですね。

セ:また、単純に、複数の採用チャネルを試して有効な採用方法を模索しているためにスカウト型やエージェント「も」利用しているというケースだってある。「も」というのは、勿論「ナビサイトも併用している」という意味だ。そういう会社はたいてい、採用の体制が整っている、大きな会社だ。

N:なんでそんなことしているんですか?

セ:新卒の採用マーケットがここ3、4年で大きく変化を遂げているからだよ。歴史を紐解けば、紙媒体でみた求人広告に葉書を送って就活をする時代から、リクナビやマイナビの大規模ネットメディアを利用しての採用活動をする時代を経て、今は先ほどのような新しい採用チャネルが出てきている。企業としては新卒採用は非常に重要な投資なので、それを効率的に採用成功に繋げるための方法は研究をする。だから、色々な採用チャネルをまずはやってみて、そのやってみた結果を通じて絞り込んでいくというフェーズにあるのが今の時代だ。

N:なるほど。ということは人気企業に巡り会うチャンスはまだあるってことですか?

セ:まだまだ諦めるには早い。21卒はコロナの影響で「採用遅延」が起こっていることが特徴だ。勿論、採用中止というのもあるが、景気の影響を見極め採用を再開させるのがこれからの時期、ということもあり得る話だよ。企業の側からすると、このマーケットを逆手に取って「優秀な学生を採用するチャンスがあるかもしれない」と、例年のこの時期の新卒採用市場では遭遇することが少ないような企業が採用活動をしてくる可能性だってある。個人的には、こういう企業は「右にならえ」ではないオリジナルな方針を持っている企業は、採用に対する熱意もあり、よい会社であると思う。

N:なんだか、ちょっぴり希望が持ててきました。

セ:有効求人倍率の観点でみれば、4年前と同じ水準だ。ということを考えると今のマーケットは「2016年くらいと同じ厳しさ」。求人倍率は2012年くらいから右肩上がりであることを考えると、長い目で見ればまだまだ全然チャンスがある時代だと思うよ。

21卒のこれからの就活〜もう一度、エントリー数を増やそう〜

セ:今このようなタイミングだからこそ、エントリー数を増やそう。さっきも言った通り、この6月は第一陣の就活生が就活を終える時期で焦りやすい。ただ、企業からしてみれば同時に、21卒就活の振返りを行い始める時期。想定外に内定承諾数が少ない等あれば、場合によっては二次募集もかかりやすい。この時期だからこそ、エントリー数を増やしてチャンスに備えることは、内定に繋がるチャンスが増える。だからこそ、このタイミング、終活してHAPPYな友達を尻目に、Twitter上でグダ巻いている場合じゃない。

N:(…リアルはグダ巻いてないわ!)

セ:何も絶望するタイミングではない。まだまだ募集している企業は沢山ある。就活失敗したなんて思うには早過ぎるよ。

N:そうなんですね。…いや失敗したなんて言ってないじゃないですか!

セ:言い過ぎた。失礼しました。

N:仰ることをまとめると、自分の理解を自己理念と原体験にまとめ、色々な企業が見れるように色々なサイトに登録してエントリーを多くすることと、エントリーシートや面接の時は企業の魅力と自己理念を合致させて話す、ということですね。

セ:まさにその通り!その要約力はビジネスパーソンにも必要なスキル!Nさんはきっと活躍するよ!

N:(…なんだろう、やっぱり…素直に受け取れないんだよなぁ……それに、このやり方って…)

セ:「そんな特別なことを言ってない」「まぁまぁ大変なやり方じゃないか!」って思ってないかい?

N:…な、なんでわかったんですか…

セ:何を隠そう、就活の王道を説いたからね。

N:(なんでそんなにドヤ顔やねん…)

セ:王道に勝る近道なし。ワタシは、それなりに大変な就活を、努力の方向性を間違えないことで少しでも内定に近付けるようなアドバイスをしたいと思ってる。努力無しで内定獲得なんて思わないで欲しい。

一つだけある、就活をイージーゲームにするかもしれない方法

N:(最後はまさかの説教締めか…?)

セ:ただ、実はエントリーシートが不要かもしれず、なんなら面接の回数も他より少ないような、内定をショートカット出来る方法があるといえば、ある。

N:えっ…そんなんあるんですか?

セ:大学のキャリアセンター(就職相談室)に行こう。

N:キャリアセンターですか?

セ:その大学の学生が欲しい企業の求人を紹介してもらえるかもしれない。過去の先輩が入社し活躍している企業からのね。勿論、すべての会社が優遇をするわけではないかもしれない。けれども、中には履歴書と、一回の面接で決められることもある。

N:そうなんですね。それはすごい効力だ…でもデメリットってありませんか?

セ:唯一あるとしたら、内定辞退しないように、という圧力が半端ないということかな。先輩方が積み重ねてきた信頼を反故にするようなものだからね。

N:そうか…そりゃそうですよね。

セ:あと、大学側も、企業に送り出すことが自身を持って出来るような学生に求人提示すると思うので、必ずしも絶対に求人があるとは限らないけれどもね。

N:それって、単位の取得状況とか、成績とかですか?

セ:その通り。ただ単位は取れていて卒業要件を満たしているならば、成績上位者じゃなくてもいい場合もある。特定のゼミ出身者なら優遇するというようなものもあるらしいよ。

N:そうなんですね。それも検討してみます。

セ:もし受ける時はしっかり考えてね。

N:わかりました。

セ:就活がうまくいくことを祈ってる。頑張ってね。

N:はい、今日はありがとうございました。

(おわり)


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