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Ⅲ)独立にかっこよさはいらない~動くことと伝え続けること~

キャリアコンサルタントの松岡澄江です。
働き方・生き方について、お話を聴いたり一緒に考えたり、何かを伝えたりするのが仕事です。「キャリア」って仕事している自分のスキルだけではなく、働き方とか生き方とかを含めた人生全体を示す言葉なんだと、いろんな人にお伝えしていくのもキャリアコンサルタントの役割です。

そんな私が、独立して10年を機にこれまでの経緯を書いています。記事更新は不定期なのでマガジンにまとめています。ご興味があれば過去記事も含めてご覧ください。


みんなかっこよく独立したいのかも

キャリアコンサルタントになったばかりの頃は、よく同じ資格を持つ方々との勉強会に参加していました。理論について学びたい、他の有資格者の話を聞きたいといった前のめりな感じで、月に数回は出ていたと思います。

1年ぐらいたったころ、「聞きたい!知りたい!」と思って参加していた勉強会の会場で、逆に「聞かれる」側になっていることに気づきます。

どうやって仕事につながったんですか?
どうやってカウンセリング経験を重ねたんですか?

気になることはみんな一緒。できるだけ情報提供をするものの、肝心の仕事につながるところでは、先の記事にも書きましたが、「ご縁があって」としか答えられない私。そうするとまた質問が・・・

どうやってご縁を得たんですか?

質問ぜめで答えにつまる私。そんなことが多くなって、次第に勉強会から足が遠のいていきます。答えても答えても、それは私のケースでしかない。質問した相手の方のがっかりする顔を見るのがイヤだったのかもしれないです。

どうやって?と質問されながら、ふと思いました。

「みんなかっこよく独立したいのかもしれない」
スマートに仕事を得て、スマートに独立して成功する。そんな方法があるなら、私も知りたいな。

もしかして、これから独立をめざす人にしてみれば、私はそう見えるのだろうか・・・?そもそも独立って、就職とは違って自分で仕事を創っていかなきゃならないので、実際はもっと泥臭いこともいっぱいあるんです。

じたばたしたから「仕事につながった」

先の記事にも書きましたが、大学キャリアセンターでの最初の仕事はアウトバウンド営業でした。つまり電話がけをして学生を呼び出す業務。知らない電話には出ない学生に、何度もしつこく電話をかけるのは心がくじけます。それでも時間帯を工夫したり、メールで後追いしたりしながら、学生を就職につなげるためにがんばりました。
当時キャリアセンターはとても忙しく、細かな指示がなかったので自分で考えて仕事をしました。報告も自分からわかりやすい資料を作ったりして・・・。これまでの仕事経験を活用して創意工夫したことが信頼につながり、カウンセラーの仕事をいただけるきっかけになったのではないかと思います。

実はもう一つ、同じようなエピソードがあります。カウンセラーの仕事を初めてすぐぐらいに、知り合いから、こんな依頼が来るのです。
「松岡さん、超短納期なのだけど・・・ある研修会社が講師のPowerPointのスライドを受講生のテキストに編集してもらえる人を探しているんだけどやらない?」
講師の仕事ではないのはおわかりですよね。これは編集の仕事です。でも、私で協力できることならばとお受けします。ホントに超短納期でしたし、講師のスライドって情報量が少なくて文章を追加で創作しないといけないし、意図を理解してワークシート化しないといけないのでかなり大変でした。編集者だった過去の経験と、多少のITスキルが役立ちました。超短納期で作成したテキストは、とても満足していただけたようでした。
そして、そのことがきっかけでこの研修会社でキャリア研修講師のお仕事をいただいています。あの時、『キャリアコンサルタントの仕事じゃないから』と受けなかったら、今の私はないです。

もう一つ大事なお仕事ルートがあります。独立の時、急な退職で迷惑をかけたにも関わらず、快く送り出してくれた前職からの仕事依頼です。
管理職になった元部下から、「部門の定例会でキャリアの話をしてくれないか?」との依頼。元上司から、「悩んでいる社員の話を聞いてあげて欲しい」。人事担当役員から「新入社員の定着をめざした研修と面談をやって欲しい」等々。
社員だったので社内の環境や仕事内容、人間関係についても言わずもがななところがあり、相互理解の手間は省けるのがメリットだったと思います。前職の人たちから「松岡さんなら」と言っていただける幸せを感じました。

これらは、私がこの仕事を得るに至った「ご縁」のほんの一部です。
他にも、養成講座を一緒に受けた派遣会社の営業をしている仲間から、スポット対応で大学に入って欲しいと声がかかったり、かつての転職でお世話になったエージェントの方に「こんな仕事で独立しました」とご連絡したら、「大学での就職セミナーと面談ができる人を探していたんだ」とお仕事をいただいたり。

一つひとつは細かなことです。でもそれが今の仕事につながる糸になっています。こういった「ご縁」をいただいたのは、偶然の重なりだけではありません。
いろんな方に独立を連絡して、自分が何ができる人なのか?何をやってきたのか?これから何をしていきたいのか?を発信していたから、つながった糸だと思います。

看板を掲げたら行列がすぐできるなんて、そんなかっこいいことはそうそうないのです。自分からジタバタと動いているうちに、ご縁の糸がつながっていったのだと思います。


どこかで誰かが見ていてくれる、だから発信し続ける

「動くこと」に加えて「活動を発信し続ける」こともとても大事なことです。自分が動いていることを伝えていると、どこかで誰かが見ていてくれてます。久しぶりに会った方から「いつもブログを読んでます」とか「Facebookを見ています、ご活躍ですね」とか、言ってもらえることも多いです。昨年も、ずっとご無沙汰していた方から、「キャリアのセミナーをやって欲しい」といったご依頼がありました。

こういうことをやっています。
こんなことをやりたいです。
こんなことで役に立てると思います。
こんなことを考えてます。
こんな感想を持っています。
最近はこんな感じです。

伝え続けていると、『そういえば・・・』と、その人が必要な時に思い出してもらえる。何百通もDMを郵便で発送するよりも、自己開示が大切なのです。

この10年間でも大きかったのは、本を出版できたことです。
ある日、出版プロデューサーという方から突然「キャリアの本を出しませんか?」とメールが来たのが2018年の春のことでした。それまでも自費出版のお誘いはいくつかありましたが、たくさんお金がかかるのであきらめていました。でも今回は商業出版で、すでに企画も通っているとのこと。企画にあった著者を探している時に私に声がかかったのは、2011年からコツコツ書いてたブログが検索であがったからでした。

しかし、ふたを開けてみると結構ハードな条件でした。
出版社との打合せが5月半ば、180ページ近い分量の原稿を完全な形で納品するのが7月末という超短納期。書籍編集の知識と経験・構成し執筆する力がなければクリアするのは難しい条件だったと思います。いただいたご縁を、自分の経験を駆使してやり切れたことが大きいです。


独立後すぐにキャリアコンサルタントとして活動でき、順風満帆に見えるかもしれないですが、振り返れば紆余曲折だし、臨機応変なことも多いし、果敢に挑戦したり、くじけて落ち込んだりしています。
それでも続けているのは、「動いてみる」「伝えていく」こと。
ご縁をつなぐ糸のためにぜひやってみてくださいね。

・著書紹介


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