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言われたことしかやらない人、収入だけが目的の人、仕事の価値がわかっている人、それぞれのモチベーションを上げるには!?

キャリアコンサルタントの松岡澄江です。
みなさんは、3人の石工の話を聞いたことありますか?

旅人がある建築現場を通りかかって、そこでレンガを積んでいる石工に話しかけます。
旅人「何をしているんですか?」
一人目の石工「レンガを積んでるんだ!ホント大変だよ」
二人目の石工「この仕事でお金を稼いで家族を養っているんだ」
三人目の石工「みんなが祈りをささげる大聖堂を造っているんだ」

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キャリア関連の研修やセミナーでよく取り上げられる寓話です。「仕事」に対する意識の違いをわかりやすく表しているお話です。何のためにこの仕事があるのか?をわかっていると、自分の仕事に誇りを持てたり、仕事にやりがいを感じることができるので、三人目の仕事の捉え方が望ましいといった着地になるのですが、今日は少し違う観点で考えてみたいと思います。例えば一人目は新入社員、二人目は中堅社員、三人目はベテラン社員だとしたら・・・。親方(管理職)は石工のモチベーションを高めるためにどんなアプローチができるでしょうか?

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(一人目)この仕事でどう成長できるのか?を教える

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一人目の石工は、言われたことをやっています。もしかしたら、この石工は新人さんで基礎的なことを学んでいる最中なので、この作業の完成形を知らされていないのかもしれません。就職したばかりの若手社員も、まずは与えられた仕事を覚え、それができるようになることに必死なので、本来の仕事の目的を意識した働き方はなかなか難しいです。そうなると一人目の石工に似ていますよね。

ある企業の新入社員と、入社半年目のキャリア面談をしたときのことです。彼女は「私は雑用ばかりさせられている」と涙ながらに訴えました。他の同期はもう企画を作ったり、お客さんのところに同行したりしているのに、私は議事録を書いたり電話を取っているだけだと。「この先同期と大きな差がつきそうだ」と悩んでいました。

議事録って大事な会議の記録です。それがあるから参加している人が何を話したかを参照したり、何をすべきかを確認するもので、これがないことで大きなトラブルになることもある。だからとても大切な仕事なのだと伝えました。電話を取り次ぐと、社内の誰がどんなお客さんと何について仕事しているかがわかるようになるし、会社全体の動きが読めるようになることも伝えました。ただやらされていると思ったら、それは作業でしかなく、得られるものは無くなってしまうんですよね。

一人目の石工もそうなのかもしれません。親方(管理職)は、これがなんのために必要な作業なのか、この仕事ができるようになるとどう成長できるのかを伝えることが大事だと思います。

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(二人目)できることを増やす機会を与えていく

キャリア研修などで受講生に「仕事の目的」を聞くと、「お金」「収入」というキーワードが一定数あがります。「それは私も同じですよ~」と講師の私も言うので、みなさんちょっとホッとした顔をするんです。何かもっと高尚なことを言わないといけないと思うんでしょうね。お金のために働いていることだって、大切なことです!

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ただ、お金を得られれば何でもいいのか?というとそういうわけでもないと思います。運転に自信がないのに高収入を得られるドライバーに急にはなれないですよね。高い収入を得るには、やってみたいとか興味があるだけでなく、それが「できること」が大事になります。

二人目の石工は、家族を養うためにこの仕事をしていると語ります。今後家族が増えるかもしれないし、子どもが大きくなれば教育費もかさんできます。仕事場では新人が成長してきて追い抜かれることがあるかもしれないし、技術ニーズが変わって今できていることが求められなくなる可能性だってあります。レンガを積むという今の作業だけでは高収入が見込めなとなると、やる気が落ちて最悪は転職してしまうかもしれない・・・。

企業の中堅社員のような二人目の石工に必要なのは、「今、できていること」を磨くだけでなく、他にも「できること」を増やすことです。親方(管理職)は、この二人目の石工には他の工程も経験させるとか、後輩を指導育成する担当に任ずるとか、これまでとは違った経験の機会を与えていくことでスキルを広げ、仕事へのモチベーションをアップと収入増を叶えてあげる工夫が大事だと思います。

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(三人目)任せていくことで右腕として育てる

三人目の石工は、レンガを何のために積んでいるのか?この仕事にどんな価値があるのかがわかっています。完成した建物を訪れる人の笑顔を想像したり、この建物を建てたのは自分だと人に言う時の誇り高い自分の姿をイメージしているから、キツい単調な仕事に耐えられるのかもしれません。大変な作業の先にあるものを見る目って大事ですよね。

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何のためにこの仕事があるのか?を理解している三人目の石工は、自分でモチベーションをコントロールすることができる自律的な働き手だといえます。そういう人には、あれこれ指図したり細かく確認するような管理方法ではなく、ある程度委任して責任感をもって成果につなげてくれる環境を整えることが大事だと思います。

仕事が何のためにあるのかがわかっていると、仕事のあるべき形を考えたり課題発見したりするので、それに対処する権限も与えてあげるとさらに仕事がやりやすくなって、モチベーションも上がっていきます。親方(管理職)のいい右腕になるはずです。指示命令よりも、支援型のアプローチが効果的だといえます。

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3人の石工の話を題材に、それぞれの石工のモチベーションが上がるアプローチを考えてみました。部下後輩育成の参考にしてくださいね。


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