見出し画像

「多国籍人材雇用で強い組織をつくる」グッドクルー堀哲郎社長へインタビュー

テーマ「外国籍社員と共に創る強い組織づくりとは」
先進国では当たり前になりつつある「多国籍人材による組織体」。しかし日本企業で取り組めている企業はまだ少ない。そんな外国籍人材雇用に若干遅れをとっている日本において、率先して外国籍人材を雇用し、飛躍する(CareerFly)企業の組織作りの秘訣を伺う。
キーパーソンへインタビューを行い、グローバル時代を生き抜く組織づくりの考え方を深掘りしていく。

プロフィール

株式会社グッドクルー 
 代表取締役社長 堀哲郎氏にインタビュー
1973年埼玉県生まれ。株式会社D-pops設立当初より参画し事業成長へ貢献。2016年同グループ事業会社である株式会社グッドクルー代表取締役に就任。通信業界特化型人財サービス事業として、人材サービス業、セールスプロモーション業を推進する。63拠点に及ぶグループの店舗網を活用し、販売・教育のノウハウや業界情報、お客さまのニーズを的確に把握し、よりお客さまのご要望に応えられる付加価値の高いサービスを提供する。最大の強みは“人”。感情移入コミュニケーションに基づいた「採用」「教育」「研修」により感情移入能力の高い人財を輩出する。「事業の成功」=「働く社員の幸せ」を実現すべく、「そこに愛はあるのかい?」を自身と社員へ問いかけ、愛ある経営を実現すべく事業拡大に取り組んでいる。


「一人ひとりが主役」である組織づくりを目指す


Career Fly大野理恵(以下、大野):本日はお時間いただき有り難うございます!通信モバイル業界に人財を送り出す貴社にとって、今年はどんな年となりましたか?


グッドクルー  代表取締役 堀哲郎氏(以下、堀氏):事業の在り方を考え直す機会になりました。これまで事業の柱として、通信会社からオフラインイベントを数多く請け負ってきました。コロナ渦中で、店舗でのオフラインイベントは戻ってこないであろうと予測しています。
改めて、収益ドメインを3つに切り分けました。「アウトソース」「パフォーマンス」「サブスク」の3つです。再度事業収益を獲得していこうと動いています。

大野:なるほど。今年は、経営者の意思決定の質と量が試される年となりました。

少し堀さんご自身のご経歴に触れたいと思います。もともと理系人材でいらっしゃいましたね。

堀氏:実は、CADを使い設計などしていました。数理計算などを駆使し、様々な工業製品の設計から開発を経験しました。当時は、人と話すのが苦手なことから”ものづくり”ができる職人分野へ足を踏み入れました。とても楽しく取り組んでいたことを記憶しています。

日本はものづくりで成長した国であり、そこに携わる職業へ憧れもありました。このような理由から、理系分野を選択しました。

画像2

大野:その後、D-pops社(グループ会社)に参画し、グッドクルーの代表となるわけですね。


堀氏:はい。グッドクルーの事業は、もともとD-popsの事業として15名ほどのメンバーで推進していました。そこからスピンアウトするわけですが、私が2016年に代表就任後から事業拡大を目指すことになりました。

大野:当時、「理想の組織像」を描いていたのでしょうか。


堀氏:「タレントの組織」という理想を掲げていました。一つの母体に、それぞれ主役が存在する。(先日作り上げたクレドカードを読み上げ)ここにも書いてある通り、”あなたが主役です”という考え方です。
この考えは、D-popsから影響を受けています。


画像3

一人一人が主役として、個性を強みとし自分らしく活躍してもらいたい、そう願っています。



大野:なるほど。一人一人を主役とするために必要なことは何ですか?



堀氏「適材適所」の実現です。
当たり前のことですが、適材適所を実現することで初めて”一人ひとりが主役”という状態を生み出すことができます。
そのために弊社では、社員各々の特性、強み、苦手なことなどをヒアリングし、データ化します。それをもとに、より相性の良い場所、キャリア開花するポジションを考え、配置する=組織していきます。一人ひとりの特性も知らずに配置することは、リスクでしかありません。特性も見抜かず配置して活躍してください、ということほど無責任であると考えています。


画像4

私もこれまでに全社員130名と直接面談し、上述事項の把握と会社に対する不満などをヒアリングしました。このプロセスを無くして、適材適所は実現できない。

これを考えると、総合職採用はすごくギャンブルだと感じます。何でも屋として仕事をする総合職という枠組みですから。本来であれば、入社する時点で何ができるのか、行動傾向などを特定しアサインさせることが必要です。



大野:確かにそうですね。

堀氏:自身の特性や強み、また改善できる点を克服できるチャンスのある場所に配置されることは、社員のやりがいにつながることでもあります。責任感も高まるはずです。このプラスを生み出すためにも、適材適所は追求していきたいです。

やりたいと思うことに挑戦させることは多くのメリットを生む



大野:実際、組織の中で適材適所を実現することは難しいと思っています。特に、適所=アサインさせるプロジェクトや役割などの意思決定が上手くいかない。より理想となる適材適所を実現するための工夫はされているのでしょうか。

堀氏:「やりたいと思っているか」を必ず確認します。
配置されるチーム、関わるプロジェクト、役割に対して、必ず本人がやりたいと動機付けできているかという点です。これが欠けていると、なかなか力を発揮できないし、モチベーションが続かない。やりたいと思っているか確認が取れれば、本人の特性や強みが即活かせないようなことへもアサインします。まずはやってみて、と。この場合、だいたい失敗するのですが(笑)その失敗によって本人自らが気付きを得て、次へ活かしていくでしょう。仮に失敗が続くようであれば、誰かがアドバイスをする、あるいは違うところへアサインさせるなどの対応を取ります。


画像5

適所が見つからない社員がいるならば、適所を変えて続ける対応もします。
どんな社員でも、それを繰り返していけば必ず適所が見つかるはずです。


大野:やりたいと思わないことをやらされ感満載で継続させることは、リスクですね。失敗に気づかない、失敗から学べないという状態になってしまいます。「やりたいと思っているか」を初期段階で確認し合意すること、本当に大切です。



堀氏:やりたいと思ったことに対しては、とりあえず挑戦させます。弊社の社風であり文化です。
やりたくて始めたのですから、最後まで責任持ってやり抜く、そこまでさせてあげたいと思っています。
自ら動機を持ちスタートしたことであれば、困難な局面でも強くいられます。諦めません。

先日も新たなプロジェクトを立ち上げ、発起人である社員へ改善すべき点などをフィードバックしました。そのあと、その社員は落ち込むこともできたでしょう。ただ、自身で始めたプロジェクトです、成功のために何ができるか考え、次のミーティングでは指摘した点の改善などを含め、バージョンアップさせた内容に仕上げてきました。
何くそ!と思い、自主的にリカバリーしてきてくれます。そんな状態を生み出すにも「やりたいことなのか」をアサイン前に確認すること、とても大事です。

大野:適材適所を実現させたい会社側も働く社員の方々も、「修正力」「忍耐力」が鍛え上げられますね。

堀氏:決してこのやり方が正解だと思ってないです。むしろ、できる人を採用しすぐに結果を出した方が早いかもしれません。
しかしながら、グッドクルーは「誰もが成長しチャンスを掴める環境」を提供する会社です。これまでチャンスが少なかった人達に対して、チャンスを与え掴んでもらう考えを長年持っています。

大野:長期的な投資にもなりますね。



堀氏:そうですね。足が長いことですので、同時に複数のプロジェクトを行うことで投資と収益バランスを保っています。
誰もがやりがいを持ち、自分らしさに磨きをかけ、働く人たちがどのように輝けるか、これを実現できる学校のような会社を作っていくことに私は集中しています。

信頼貯金があればチャレンジの切符を掴むことができる



大野:誰もがやりたいことにチャレンジできるのでしょうか。



堀氏:全社員へチャンスはあります。私も、D-pops時代に多くの経験をさせてもらいました。飲食業にも興味がありカフェ業態などへチャレンジしました。会社のリソースや制度を十分に活用させてもらいました。

このチャレンジについての考え方として、信頼貯金を持っていないとチャンスが来てもできないことを社員へ伝えています。
誰もがチャレンジできると申しましたが、常日頃信頼を構築し、貯金を持っている必要はあると思います。


画像6

大野:信頼貯金、大事ですね。どのように貯めれば良いのでしょうか(笑)



堀氏:ほんと、改めて考えるとどのように貯めればいいのでしょうね(笑)

信頼貯金=評価と定義すると、やはり定量定性評価結果を重要視します。今年新たに作り込んだ人事評価の結果が基準です。全社員に対して、フェアでありチャレンジングな評価内容としました。ボトム層に対しては、より定性的な評価を促し、上位層になるほど定量評価を重要視します。



大野:組織運営において、規模やフェーズの変化に合わせて評価制度も見直しながら運営をしていくことが大事ですね。

少し話題を変えます。御社の組織作りにおいて、外国籍社員の方々はご活躍されているのでしょうか。


堀氏:はい。最初に入社してくれたのは、韓国籍社員でした。
自国の就活に疑問を持ち、日本での就活に切り替え、ご縁あり弊社へ入社してくれました。モバイルショップで経験を積み、大活躍しています。
話を聞くと、いろいろ苦労はあったようです。日本語は独学で学びN1保有、流暢であったものの、ビジネス日本語がわからず困ったこともあったとのこと。「見積もり」などのような言葉自体がわからないこともあり、仕事をしながら日本語も同時に勉強する。
このような努力を重ね、めきめきと成長し、今となってはテレアポをしてダイレクト営業するまでビジネススキルを高めています。語学力も活かして業務を行っています。



大野:素晴らしい!とても前向きな方ですね。ひとつのロールモデルです。

高い目標を持ち実現のために行動できれば国籍関係なく活躍できる



横顔

堀氏:外国籍の方々のチャレンジングで前向きな姿勢を私は高く評価しています。
D-pops時代、人事部で採用を経験していました。
モバイル店舗で働く方々の採用に苦戦していた時期に、どのようにして採用するか考えていました。その時、外国籍人材の方々を10名ほど採用することが決まりました。


2つの理由から上記決断となりました。


一つはペルソナの設定です。

「夢に向かって目標を明確にしていこう、高い目標を持ち実現するために動いていこう」
このような考えを持っている社員の集合体であるD-pops社として、同じ考えを持つ人材であれば国籍関係なく採用して良いのではという考えに至りました。


2つ目の理由は、「留学経験」です。当時の既存社員を思い浮かべたとき、ペルソナによりはまる社員は、過去に留学経験があるいうことが判明しました。
そこから考えると、日本に留学している外国籍学生たちは、高い目標を持っていると言えるのでは、と考えました。



大野:日本に来ていること自体が挑戦ですから、確かに夢や目標を持っている方々が多いかもしれません。



堀氏:そうと決めたら即留学生向けのジョブフェアに出展。採用活動をスタートさせました。出展先を見ると、ほとんどの企業が海外拠点を持っていたり、海外進出している中、弊社だけがこれから海外進出をする”予定”という話を展開し、学生にプレゼンしていました。(笑)

当時2010年ごろです。「君は夢はあるか?」とたくさんの学生に投げかけました。
なぜか引きが強くウケまして、お陰で採用することができました。

外国籍人材雇用は未来への投資である



画像8

大野:弊社からご紹介したインド国籍のアカシュくんも採用いただき有り難うございました!
貴社に転職しとても楽しく仕事できているとのことです。


今後も国籍問わず人材採用を継続し、強い組織作りをされると思います。
今後の組織作りについての方向性はどのようにお考えでしょうか。



堀氏:今後、新たな組織とコンテンツを作ることを目的とすると、社内グローバル化を考えています。将来的にグローバルに向けて発信するコンテンツを制作する予定のため、グローバル感覚を持ち合わせている外国籍人材に参画してほしいと考えています。

また、今後起きるであろう変化を考えると、組織ひとりひとりの意識転換をしなくてはならないです。
まず働くを考えたとき、オフィスのあり方が変わります。オフィスはもはや交流の場として存在することになるでしょう。

次に、提供するサービスをどこで誰に売るかという点において、再び国内にインバウンド顧客がある程度戻ることを想定すると、どのようなサービスを提供するか検討の余地があります。同時に、海外市場への展開も視野に動いていかなくてはいけません。

それに伴い、弊社人材サービスも幅を広げていかなくてはなりません。
弊社は人材会社として、
誰もが働きがいを持ち成長できる機会を提供するために、柔軟な発想を持ちサービスに反映させる必要があります。これは人種の枠は関係ないです。



大野:新たなサービス展開もされているのですね!


堀氏:大好き.comというサービスです。
求人と求職者をつなぐマッチングプラットフォームです。一つ一つの求人の裏側にあるこだわりやフォーカスされてこなかったストーリーを掲載できる求人発信をしたいと思っています。それを求職者に届けることで、大好きな仕事を見つけられる機会提供ができる、そんなベストマッチングを実現できるプラットフォームにする予定です。


大野:素敵なサービスになりそうです。ぜひ、外国籍ITエンジニア採用も検討ください。



堀氏:はい、それも視野に入れてます。
あと、弊社は教育会社でもありますので、日本文化や企業文化を教える機会サービス提供なども考えています。



大野:今後の展開がとても楽しみです!
最後に質問をさせてください。
外国籍社員の雇用を検討している企業へアドバイスをお願いします。

堀氏:外国籍人材雇用は、未来投資です。
これから活躍する人材は、グローバルが日常という感覚に益々近づきます。世界に触れる、また外国籍の方々とコミュニケーションする機会が、我々世代と異なり圧倒的に多くなるでしょう。
その世代が未来を背負っていくと考えると、未来投資をしておいた方が良いです。投資した人材が将来企業を背負うことになります。


私個人として、外国籍の方々の良いところと感じているのは、物事をはっきり言ってくれるところ。そのためコミュニケーションも円滑で簡単です。
経営者にとって、そんなコミュニケーションをしてくれる社員がいることは大変貴重です。


一方、ネガティブな点も、弊社の場合考えられることがひとつあります。
人材サービスの中で、客先から声が上がる可能性です。派遣先店舗はあくまでtoC顧客への接客対応となるため、外国籍スタッフに対する壁がある顧客がいることも事実です。残念ではありますが。この事実を省みると、それこそ現在のクライアントニーズに合わせ適材適所を実現していけばそのような事態を避けることはできると思います。


大野:素晴らしいお話を有り難うございました。貴社のさらなるご発展を祈念しています!

画像9

Career Fly 代表取締役大野理恵 Good Crew 代表取締役堀哲郎氏

Career Fly
多様性ある文化形成を目指し、海外女子の人材紹介ビジネスを2015年にスタート。”日本ではたらく”を目指す理系海外女子を85カ国5000名をプール。海外女子の「越境転職をもっと身近に、気軽に」するための就業支援、および日本企業の優秀人材採用強化に貢献する。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?