その日は仕事が終わらずうちに帰った時にはすっかり夜がふけていた。
ただいま。
真っ暗な部屋に向かって声をかけた。
なんだか胸騒ぎがした。
暗闇の中で照明のスイッチを押した。
彼は床に倒れていた。
彼の上には割れた鏡が散らばっていた。
私は息を飲んだ。
そ、そうじさん?
彼はすでにコト切れていた。
私は割れた鏡のカケラを踏まないように彼に近寄った。
冷たくなった彼がコチラを見ることはなかった。
嘘。どうして。
私があんなところに鏡を立てかけておいたから?
私は呆然としたまま彼をさすった。
次に何をすれば良いのかまるで分からなかった。
そのままどのくらいそうしていたのだろう。
ようやく我に返り、私は立ち上がった。彼を抱えて。
彼をそっと部屋の片隅の彼のステーションにおろした。
しばらくすると彼のランプが灯った。
私は安堵のため息をついた。
生きてる・・・
私は鏡の破片を片付けることにした。
ごめんなさい。もう二度と鏡を立てかけたままになんかしない。
あなたに掃除を頼むときには。
私は心に誓った。
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