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読書メモ「母の壁 子育てを追いつめる重荷の正体」

「母の壁 子育てを追いつめる重荷の正体」(前田正子、安藤道人)

新聞か雑誌の書評で、保育園の入所に関する調査の自由記述欄に記された母親たちの声を拾い上げた、とあり、関心を持ちました。


調査目的は入所できた家庭と入所できなかった家庭のその後

保育施設を含む子育て支援策を検討する基本調査にしようとしたのだろうか、入所申請をして入所できた家庭と入所できなかった家庭は、その後、どのような状況(経済状況とか就労状況とか)をだどったのか? がそもそもの調査の目的でした。

ところが、その調査の自由記述欄、おそらく子育て支援策や保育所入所について自由にお書きください、というような軽く設けた設問だったのでしょうが、そこにビッシリと親(主に母親)たちが「想い」を書いてきたそうです。なかには、用紙の裏側までビッシリと。

著者の一人、前田氏は横浜市の副市長も務められた方ですが、社会学者で子育てに関する調査を多数されている方。この自由記述欄に記された内容を見て、これこそ分析の価値があると思われ、まとめたのが本書。

読んでいて、10年以上前の記憶がよみがえった

前田氏は、自由記述欄を読んでいて、吐き気がしたそうです。それは、30年以上前の、ご自身が研究と子育てとご家庭とを両立させようとし、四苦八苦されたときの気持ちがよみがえり、そして状況と何ら変わっていない現実を目の前にして何ともいえぬ気持ちになったと。

その気持ち、私も同じでした。

私が保活をしたのは17年前。当時、0歳4月入園希望者はそれほど多くなく、自治体の担当者が希望者を一人一人家庭訪問できるくらいの数でした。それでも、そもそも数と定員が少ないので、徒歩圏内に複数園があるエリアを探して転居し、それでも第1希望は入れず、第2希望の2歳児までの園に入れました。3歳児になるときに転園しないといけないのですが、当時は「政策転園」という制度があり、どこかの園には入れてもらえることになっていたのですが、徒歩で通える園に入れるか、自転車の距離か、通知が届く2月までドキドキの日々でした。

なかなかページが進まない

本の紹介なのに、こんなこと書いていいのか悩みますが・・・・正直、読み進めるのが辛い本です。

著者の前田氏と同様、わたしも、何も変わってないことに愕然としたと同時に、悲しくなりました。保活の話だけでなく、職場で期待されない悲しさ、そして子どもの体調が悪いとき、自分の出張のとき、常に自分で何とかやりくりしてきた虚しさなどなど。忘れていたと思っていた怒りにような、やりきれないような気持ちが湧き出てくるような・・・。

子育て支援はきれいごとではない

少子化対策という大義名分があるからか、こども家庭庁さんって予算あるんです。ホームページもお金かけているのがわかるし、たぶん3月になるといろいろ調査した結果とかが発表されると思いますが、これらもどこかのコンサル会社さんにけっこうな値段で外注してます。

子育て中の方がこの本を読んだら、きっと多くの方が「これは私だ」と思われると思います。

少子化のなか、お子さん産んで育てようとしているのだから、もっともっと大切にしないと。場当たり的な支援ではなく、いつ産んでも、いつ職場に戻っても大丈夫なようにしてほしい。

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