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スペシャリスト型FIRE戦略のすゝめ


このnoteは特別な才能のない普通の人が再現性高くFIREする方法をご紹介します。

有料noteになりますが戦略の骨子は全て無料部分で公開しています。
骨子を読んで実践したいと思われた方により具体的なHowToの部分を有料で解説する構成にしています。

さて昨今の空前絶後のFIREブームの中で様々なFIRE実践者を目にするようになりました。実体験に基づく情報は非常に参考になる一方で、実践者の多くは圧倒的な高収入と倹約を両立できる人であったり、生涯独身実家ぐらしが前提であったりと、一般的な人が実践するにはやや敷居の高いものが殆どです。

平均的な年収を稼ぎ、家族をもち、子供を育てる人生を歩みながらFIREも実現する。私はそんな方法が無いかをずっと考えていました。

従来のFIRE戦略のパターンと課題

私は従来のFIRE戦略を大きく4つに分類しています。

  1. 三菱サラリーマンさん型

  2. おけいどんさん型

  3. 武田所長型

  4. もふもふ不動産型

それぞれの分野のローモデルになる人物の名前を使わせてもらっています。まずは簡単にそれぞれのFIRE戦略と課題を解説します。

三菱サラリーマンさん型

三菱サラリーマンさんは2020年にFIREをした業界の著名人の1人です。
彼の方法は

1.高い年収を得る
2.支出を最低限に抑える
3.余ったお金を高配当株に投資する

の3つのプロセスからなるとてもシンプルな方法です。それゆえ1と2の条件を満たせる人であればかなり再現性高く実践できる点が特徴です。

課題としては若くして高年収を得ながらかつ収入を殆ど使わない(彼は常に飲み物は水筒を持ち歩いていた)というストイックな生活を継続する必要がある点です。世の中の大半の人は彼ほど高い年収を貰える会社に勤務しておらず、かつ彼ほどストイックな生活ができる人も少ないでしょう。

エッセンスは非常に参考になり、条件さえ満たせば全く同じ方法でFIREを再現できますが、実際に真似できる人はごく一部に留まると思います。

派生型として最近は彼ほど徹底的に低支出にこだわずに外資ITや外資金融勤務者でさらに高給をもらいながら生活レベルを収入に合わせて上げないことでFIREを目指す人達も増えています。GAFA勤務などだと年収1500万〜2000万、人によってはそれ以上貰っている人も珍しくありません。それに対して支出を年収500〜600万程度に生活レベルに抑えることで毎年1000万近くの資産を積み上げることができます。

実はこの方法も別に荒唐無稽とは思いません。
年収1500noteで書いたように戦略的にキャリアを設計すれば年収1500万円は到達がそこまで難しい目標ではないからです。

おけいどんさん型

おけいどんさんは2021年にFIREされた方です。彼も三菱サラリーマンさん同様に支出を削り、投資に回すという方法論は同じですが、一番の大きな違いは平均年収程度にしかせいでおらず、結婚せずに実家暮らしをしていることです。この方法の利点はFIRE後に必要な生活費が圧倒的に下がる点にあります。独身実家暮らしであれば月10万もあれば十分に豊かな生活ができますし、サイドFIREであれば月数万の所得で達成することも可能です。
時間はかかりますが、若いうちから月数万円の貯蓄をコツコツとS&P500のインデックスに投資することで定年を迎える年齢よりは大分早くサイドFIRE状態に到達できるでしょう。

デメリットは結婚や子育てなどを諦める必要が出てくることです。結婚や子供を望んでいない、どちらでもよいというスタンス再現性の高い方法ですが、もし子供を望むのであればおけいどんさんスタイルのFIREは難しくなります。

武田所長さん型

武田所長はスモールビジネスをいくつも展開することでFIREした人物です。武田所長に限らずこのタイプはFIREできる状態になってもリタイアせず、自分のビジネスを次々に展開するのでFI状態というほうが正しいかもしれません。

FIRE関連のYoutuberとして有名なリベラルアーツ大学の両学長やvoicyで勤め人卒業の方法を展開する聖丁さんもこのスモールビジネスFIRE型です。

スモールビジネスのメリットは一発事業を当てるとFIREできる点です。ビジネスの種類によっては殆ど労働力を必要としないため、殆ど労働せずに収入が入ってくる状態を作れている人もいます。

YouTube、アフェリエイト、note、ハンドメイド品の販売など人で稼ぐ環境は十分にあります。初期資本も少ないので成功したときのリターンは大きく、失敗しても失うのは投下時間だけです。この方法のデメリットは再現性の低さです。事業を当てるには実力も必要ですが運もあります。誰にでもできるわけではありません。ただ当たったときの威力が余りに大きいため個人的には挑戦して欲しい領域だと思っています。同時に再現性の低さからこの方式だけに頼るのはリスクが大きいというのが私の考えです。

似て非なるものとしてベンチャー・スタートアップの創業があります。
ビジネスを短期間で急成長させて事業売却または上場株式売却によって莫大な利益を得る方法です。従業員として入社してストックオプションをもらう方法もあります。しかしFIREを目的とするのであれば私はこの方法は推奨しません。

まず、上場できるベンチャーはごく少数であり、難易度が高いことが挙げられます。FIREだけが目的であれば上場を目指すよりは手堅いスモールビジネスを手掛けたほうが簡単だからです。従業員として入社するにしても、ビジネスが成功するかどうか全くわからない最初期の段階で博打的に入社しない限り、FIREに必要十分な量のストックオプションをもらうことはできません。私の知る限りではある程度名の知れた会社に入社した場合でもストックオプションの額は1000万〜2000万くらいのことが多いです。
決して少なくない額ではありますが、FIREするには全く足りない額でもあります。

もふさん型

もふもふ不動産のもふ社長は不動産投資でFIREした不動産投資家です。私も大ファンで動画を欠かさずみています。不動産投資による経済的自立はFIRE界隈で根強い人気のある方法の1つです。

銀行から融資を引いてレバレッジをかけて不動産を購入することで物件を買い進めていき月々の家賃から毎月の返済を引いた額が月々の生活費を超えたらFIRE達成です。その他にもボロ戸建てを安値で購入してリフォームした賃貸に出す手法などもあります。

これらの方法は一般的なスモールビジネスよりは再現性がかなり高い点でFIRE戦略と一考に値します。実際に質問者の属性や開始時期によってはこの方法がベストになるケースもあります。この方法もFIREしたい人であれば一度は検討するべき方法になります。

課題としては相場環境や個人の属性の影響が極めて大きい点です。
あなたが勤めている会社の規模や年収がある程度高くないと融資を受けることができません。またそのときの市況によってかなり難易度が変わります。2022年現在は不動産を開始するのにあまり適した市況とはいい難いのが実態です。不動産の高騰化が続いており、利回りの低い物件ばかりが市場に出回っているからです。もちろん探せばお宝物件は存在しますが、反対にいうとお宝物件を血眼になって探さないと投資として成立しない状況になっています。

殆どの人は資産があってもサイドFIREできない現実

もう1つ知っておくべき重要なことはサイドFIREやFIREができるくらいに資産を増やしても結局FIREできずに、サラリーマンとして残り続ける人が少なくない現実です。

株式市場は頻繁に暴落します。過去を振り返るとリーマンショックのように50%ドローダウンが10年に1回程度、20〜30%の下落は数年に一回は発生します。このような状況で労働資本による収入が減るサイドFIRE以降のフェーズで100%株式のポートフォリオを組むというのは非現実的です。

そのため50%暴落しても問題ないくらい資産がある人以外はFIREに二の足を踏む人が多いのです。

実際にFIREをしている人はFIREした後にも何らかの収益源がある方が圧倒的に多数派です。三菱サラリーマンさんは書籍やブログからの収益があり、最近は不動産事業も行っています。武田所長さんは元々事業をやっている方なのでFIRE後も当然事業収益があります。

つまり多くのFIREはFI(経済的独立)であってRE(早期リタイア)ではありません。会社員以外の収益が作れない人の多くは例えサイドFIREできる状態になっても、最終的にはお金の心配がない状態でゆるくサラリーマンをするという選択肢を取ります。FIRE後の市場下落による心理的ストレスを回避するには「その気になれば稼げる」という状況が必要なのです。

新しいFIREのかたち

これまで例に上げたFIREの方法を改めて整理します。大きく2つに分類できます。1つは会社員としての給料をベースとして収入と支出を極端に増やす、または減らすことでFIREする方法です。三菱サラリーマンさんとおけいどんさんがこれに該当します。

おけいどんさんの方法は今回のゴールである「FIRE状態で平均的な年収を稼ぎ、家族をもち、子供を育てる人生を歩む」という趣旨には合いません。三菱サラリーマンさんの方法はかなり高年収にならないといけないので、全員が実践するのは難しいでしょう。

※ただしやる気がある人はぜひこちらのnoteを読んでみてください、普通の人が年収1500万になるためのキャリア設計の方法が書いてあります。このnoteを読んで実践して三菱サラリーマンルートを辿るのも1つの方法です。

もう1つの方法は事業を一発当てることです。武田所長さんともふ社長さんのやり方がこれになります。
武田所長さんの提唱するスモールビジネスを当てるのは能力依存が強くかつ運も絡んでくるので確実性が低い問題を抱えています。もふさんのような不動産事業は市場環境がよければ比較的再現性が高いものの市況に左右される問題点を抱えており、特に2022現在に実行するのはかなり難しいと言えます。事業系のFIREの方法は言っていることは正しく、実際に挑戦したほうがいいが、確実にFIREしたいなら再現性の点でリスクがあるということです。

そして実際にFIREできる状態になったとしても会社員以外で収益を上げる方法がないと暴落相場での心理的ストレスが強く結局会社員として残り続けてしまうという話をしました。


これらの問題を解決して普通の人が普通の生活を維持できるFIREをするには今までに上げた問題を全部解決する必要があります。つまり

1.超高年収の職業につかなくてもよい
2.サイドFIRE時に家庭をもてる程度の収益がある
3.再現性高く実践できる
4.時流や時期を左右されづらい
5.会社員以外の収益を得ることができる

の5つを満たせる手法があれば良いことになります。
それが私自身も実践しているスペシャリスト型FIRE戦略です。

スペシャリスト型FIRE戦略のすゝめ


スペシャリスト型FIRE戦略とは何か?

スペシャリスト型FIRE戦略は一言で言えば特定の分野の専門家となり、その専門性を軸にお金を稼いでFIREを目指す私自身が考案して実践した戦略です。


スペシャリスト型FIRE戦略はざっくりと次の3つのフェーズで構成されます。
フェーズ1.分野のスペシャリストになり独立する
フェーズ2.サイドFIRE状態になる
フェーズ3.フルFIRE状態になる

私自身はフェーズ3にいながらフェーズ2の生活をしている状態です。

ここからはこの戦略の骨子をざっくりと解説いたします。
フェーズ1はスペシャリストになるフェーズです。スペシャリスト型FIRE戦略では専門家としてのキャリアを中心軸に全てを展開していきます。
その第一歩としては会社員としてどこかの企業に所属してスペシャリストとして働けるだけのスキルと経験を積むことです。

ここでスペシャリストとして働くとはIndependent contributor、つまり部下を使ったマネジメントの仕事ではなく、自分自身のスキルを生かしてアウトプットを出すことができる仕事を指します。典型的な職種を上げるとITエンジニアや柔道整復師などが該当します。

スペシャリストと言っても希少価値の高い超ハイキャリア人材を目指す必要はありません。スペシャリスト型FIREでは専門家になることを目指しますが、それは必ずしも目指す分野のTOPクラスの人材になることを意味しません。職につけてサラリーマンとしてその職種の平均的な年収くらいで雇われることができれば問題ありません。

フェーズ3はフリーランスとして独立して生計を立てるフェーズです。フェーズ1で市場競争力が一定以上あるスキルがあれば一流人材でなくてもフリーランスとして仕事をとることは十分にできます。
フリーランスになる理由は同じ労働内容に対して時間単価が高くなるからです。

適切な職種とスキルを選べば会社員時代と比較して時間単価が1.5〜2倍にななります。会社員時代に年収500万の専門職として働いていたのであれば、年収750〜1000万円の収入を得ることができるのです。時給単価が上がった状態で生活レベルを維持するとお金がものすごいスピードで溜まっていきます。この貯蓄で適切な資産を購入することによって不労所得を増やしていきます。

このフェーズにおける総資産の増加スピードはライフスタイル(結婚・住宅・教育)に強く影響を受けます。ここはFIRE達成に非常に強い影響を与えるので結婚や住宅の選び方やタイミング、不景気時の対処方法などは後ほど詳細に解説いたします。

フェーズ3はフルFIRE状態です。
フェーズ2の働き方をフルFIREするまで継続して達成する方法が1つですが、それではサイドFIREをすることができません。サイドFIRE状態を維持しながらフルFIREを目指すには収入の複線化がポイントになります。サイドFIREで余った時間で資本集約的なビジネスを始めるのです。

この方法は既に私が実験台となって既に成果でている実証済みの内容です。適切な知識をもって実施すれば再現性があると考えています。スペシャリスト型FIRE戦略はこのように特定の専門性を軸に自分の時間単価にレバレッジをかけて一気に資産形成をしていく方法になります。


スペシャリスト型FIREの優位性

繰り返しになりますがスペシャリスト型FIREの優位性これまでのFIRE術を実践する上で招障壁になりやすい

1.超高年収の職業につかなくても良い
2.家庭をもった状態でサイドFIREできる
3.再現性が高い
4.時流や時期に左右されにくい
5.会社員を離れても稼げる

この5つの問題を解消できる点で画期的です。
なぜスペシャリスト型FIREだとこれらの問題を解消できるのかをもう少し詳しく解説していきます。

1.高年収の職業につかなくてもよい

スペシャリスト型FIREは専門職につくことをベースにしていますが、それは超高年収の仕事に付くことを意味しません。年収アップは独立というレバレッジをかけることでブーストします。

それ故に職業の選択肢も広く、求められるレベルも普通の人が努力をすることで到達できる程度で十分に機能します。

それ故に三菱サラリーマンさんやGAFA勤務者のような超優良企業に勤務している人間でなくても実践できるのです。

2.サイドFIRE時に家庭をもてる程度の収益がある

特に高年収でもない普通の会社員でサイドFIREやフルFIREをしている人は独身や実家ぐらしの方が非常に多いです。

これは生活費が低ければ低いほどFIREに必要な金額、サイドFIRE時に労働で稼がなければいけない金額が低くなり、FIREがしやすくなるためです。

家族持ち、特に子供がいる場合はこのような独身勢と比較して生活に必要な金額は大きく増加します。

独身であれば月10万をバイトで稼いで、資産所得10万の合計20万でFIREは現実的ですが、家族持ちであればそうはいきません。

しかしこのスペシャリスト型FIREであればサイドFIREして会社組織から離れた後も稼ぐ力を持ち続けることができるので、月の労働時間を抑えた状態でも会社員時代のような稼ぎが得られます。それゆえ家族持ちでも贅沢しなければ十分にサイドFIREできるだけの生活ができるのです。


3.再現性高く実践できる

アフィリエイトなどのスモールビジネスを展開することはFIREへ向けた成功法である一方で実際にはかなり難易度が高いことがネックになります。これはサラリーマンとして必要とされるスキルとスモールビジネスを行うためのビジネスが全く異なるからです。

それに対してスペシャリスト型FIREの場合はサラリーマン時代の知識・経験・スキルを地続きで活かせます。専門職を選んで会社員として通用していれば、独立しても通用します。

4.時流や時期に左右されづらい

事業の多くは時流や景気に大きく左右されます。FIREを目標に取り組んでいる人が多い不動産投資もその1つです。

不動産投資は時期によって難易度が大きく異なります。リーマンショック後のように市場が大幅に下落している時期に始めれば高利回りの物件が比較的簡単に購入できます。

一方で現在のように不動産が高騰している時期では滅多に良い物件がでません。このような時期はできる大家とできない大家の差がはっきり分かれます。この点で時期が悪いときには再現性に課題があります。

一方でスペシャリスト型FIREの場合も景気の動向を受けるものの、スキルと経験をもっている人材であれば十分に仕事をとることができます。そのための基盤づくりをサラリーマンのうちにすることができるので十分な対策をとれるからです。

このように普通の人にとってこれまでのFIRE戦略の弱点をカバーしているのがスペシャリスト型FIRE戦略になります。

5.会社員を離れても稼げる

さらに実際にサイドFIREすると気づく実感する圧倒的メリットがあります。それは「他のFIRE戦略よりも精神的ストレスが圧倒的に少ない」ということです。

その理由は明確でもし何かあってもいつでも会社員に戻れるという安心感がストレスを大きく軽減するからです。実際に専門性をもって稼げているという事実そのものが精神的安定をもたらします。

サイドFIRE状態のときの株価の下落による総資産の目減りや、サイドFIRE後の労働収益の不安定さは思った以上に精神的に堪えます。特にバリスタFIREのようなバイト+不労所得をしている場合ブランクが空いて以前と同程度の待遇で正社員に戻ることが難しいので更にストレスになります。

スペシャリスト型FIREの場合はこの心配が無いのが最大の魅力の1つです。市場価値を保ち続けているので最悪のケースでも正社員に戻れるから適正なリスクが採れます。

サイドFIREして上手く行けばフルFIRE、万が一何かあっても会社員に戻ればいい。どう転んでも盤石なのがスペシャリスト型FIREです。せっかくサイドFIREしたのに新しいストレスを抱えてしまっては本末転倒です。

スペシャリスト型FIREは攻守ともに優れた再現性の高い新しいFIREの方法なのです。

スペシャリスト型FIRE戦略の実践方法

ここからはスペシャリスト型FIREの具体的な方法論について解説をしていきます。

さて先程スペシャリスト型FIREには3つのステップがあることを解説しました。

ステップ1.分野のスペシャリストになり独立する
ステップ2.サイドFIRE状態
ステップ3.フルFIRE状態になる

の4つです。大切なのは各ステップから次のステップへどのように進むかです。スペシャリスト型FIREに達成を目的としたゲームになぞらえると

ゲーム序盤:キャリア構築フェーズ
ゲーム中盤:専門家サイドFIREを目指すフェーズ
ゲーム終盤:フルFIREを目指すフェーズ

と置き換えることができるでしょう。

ゲーム序盤〜キャリア構築期〜

ゲーム序盤の流れ

ゲーム序盤はキャリア構築フェーズです。
ゲームはあなたがサイドFIRE、そしてその先にあるFIREを志したところからスタートします。序盤では最も重要な意思決定は職種選びです。専門職であれば何でも良いわけではなく、FIREに向く特定の要件を満たす職業を選ばなければいけません。また独立する上で継続して仕事を得るための顧客基盤を構築する必要があります。スペシャリスト型FIREのための専門性と顧客基盤をもって独立できたらゲーム序盤はクリアになります。

ゼロからスタートした場合、この状態に到達する期間は平均4〜5年です。序盤で手を抜かずにしっかり土台を作ることがゲームをクリアする重要なポイントです。

スペシャリスト型FIREに向く職業の3大要件

スペシャリスト型FIREをする上での職業選択には明確に向き不向きがあります。最初の一歩を間違ってしまうと物凄く大きな時間のロスになるため、FIREに向いていてかつ、自分の性格にも向く専門職を慎重に選んでください。

スペシャリスト型FIREを目指すには次の3つの要件を全て満たす専門職に付く必要があります。それは

ここまでお読みいただきありがとうございます。ここからは先は有料部分にになります。有料部分ではスペシャリスト型FIRE戦略を実践する上での具体的なHowToについて解説しています。

1.フリーランス市場が形成されていること
2.プロジェクト形式で働けること
3.トレンドの変化についていけること

です。

1.フリーランス市場が形成されていること

スペシャリスト型FIREを目指すのであれば最低限満たすべき要求は、その専門性が独立できる仕事であるかどうかです。独立が当たり前に行われており、ある程度市場が形成されていることが重要になります。

どんな分野でも独立をして働いてる人は存在しますが市場が形成されていない分野においては需要と供給の両方が少ないため、営業力や地名度、平均を上回る能力などが要求されることが多いです。そのため再現性がなくなるので必ず市場価値が形成されている職業を選ぶ必要があります。

市場が形成されているかどうかは企業とフリーランスを仲介するサービスが存在しているかどうかで判断できます。一定以上の市場規模がある労働市場の仲介は儲かるため必ずサービスが存在しています。

2. プロジェクト形式またはフルタイム以外で働けること

サイドFIRE以降はフルタイムで働くことをしません。そのため週3勤務や毎日数時間勤務でも働ける、プロジェクト形式で働けるなど時間や期間を区切れる仕事を探す必要があります。

ここでプロジェクト形式とは特定の期間のみ実施する仕事です。
例えば3ヶ月のプロジェクトであれば3ヶ月で仕事が終了します。プロジェクト形式の仕事であれば、3ヶ月間はフルタイムで働いて、しばらく休んでまたフルタイムで働いてトータルでフルタイムの半分という働き方ができます。


3. 流行り廃りが激しくないこと

流行り廃りが激しい分野や新しい技術が次々に登場する分野では常に最新の技術動向のキャッチアップが求められます。
このような分野を専門性を選ぶとキャッチアップのための学習にかなりの時間が割かれます。

サイドFIREを見据えるのであれば流行り廃りが激しい分野や技術革新が早すぎる野は避けたほうがよいです。ただし自分がその分野が好きで勉強することが苦にならない場合は問題ありません。

3大要件にみる選んで良い職種とNGな職種

ここからは具体的に代表的ないくつかの職種を紹介いたします。ここで挙げてる職種以外を選んでも条件を満たしていれば問題ありません。どのような職種がスペシャリスト型FIREに適しているのかを理解するための材料としてお使いください。

Web関連専門職
Web関連の専門職はスペシャリスト型FIRE戦略に最も適した職種の1つです。私自身も今はこの業界に身を置いています。

業界の拡大スピードに対して人材供給が全く追いついてない点も魅力的です。正社員だけでは人材を確保できないので業務委託の採用がとても多いです。またこの人材需給ギャップは今後ますます広がっていく様相です。

Web系専門職というとエンジニアが真っ先に思い浮かぶ人が多いかと思いますが、様々な職種で需要があります。デザイナー、広告運用、最近はプロダクトマネージャーと呼ばれる企画職もフリーランスに需要があります。

そのため自分に適性のある職種も比較的見つけやすいのが特徴です。表層的には流行り廃りが激しく、また業界の進化が早いのである程度キャッチアップする必要ありますが、ベースとなる知識や技術は殆ど変わらないことが多いのでゼロから学び直しになることはなく、既存の経験をベースに少ない努力で積み上げ式でキャッチアップできるので思ったよりも学習コストは低いです。そのためキャッチアップに時間を取られてサイドFIREができないということはないでしょう。

特にコロナ以降Web関連職はリモートワーク可の会社が多いのでフリーランスとの相性が良くなっています。
専門職を選ぶときはWeb系専門職の中から興味を惹かれるものがあるかをチェックするところからスタートするのがおすすめです。

マーケティング関連職
マーケティングリサーチ職は独立する人もおおk、専門性があり、流行り廃りが少ないと3要件を完全に満たす数少ないおすすめの専門職の1つです。リサーチにはアンケート調査をベースとした定量調査とインタビューを中心とした定性調査がありますが、特におすすめなのが定性調査のインタビュアーとして独立するルートです。
この業界ではリサーチプロジェクトの一部でインタビューをするときにフリーランスのインタビュワーを利用することがよくあります。スポットで契約もしやすく、単価も十分に高いのでインタビュー専門家として生計を立てることも十分にできます。

デザイナー(一般)
デザイナーはWebデザイナー以外にもグラフィックデザイナーや服飾デザイナーなど様々な業界においてデザイン業務は存在しています。この業界は元々独立・起業してデザイン事務所をもつルートが存在しておりその知見も流通しています。IT同様にある程度好きでないとやっていけない業界ではあるものの興味があれば検討するべき業界の1つです。

語学関連
英会話教師や通訳・翻訳の仕事です。
単価を考えると最もおすすめできるのが通訳です。もし通訳になれなかったとしても有象無象の英会話教室が日本にはあるので、仕事を見つけることは難しくありません。翻訳は単価も高く、柔軟に働けるため英語関連であれば通訳を狙うのがベストです。
翻訳に関してはフリーで食べていく難易度が高いのでFIRE視点からはおすすめできません。

NGな職種
専門職だけれどもFIREに向かないのがアドバイザリー系の職種です。アドバイザリー業務は高単価ですが会社員時代の知見やスキルをベースにナレッジを提供するために独立後に知識のアップデートをする必要があるので、独立直後は高単価で仕事をとれますが徐々に仕事が減っていきます。高単価を維持しようとする場合は、新しい知識取得などのために相当な時間を取り続けることになるのでサイドFIREには向きません。

プロになるために

ここでは職業選択のコツを少しお伝えしたいと思います。
専門性のない読者の多くがこの記事を読んで専門性を得ようとしたときに、間違った学習法をとると想定されるからです。

間違った方法の1つは自分の適性を見極められないうちに多額のお金と時間を投下することです。具体的な事例を上げるとエンジニアやデザイナーになろうとして入門者向けスクールに通う行動がそれにあたります。

スクールに通う人の多くはプロから習ったほうが効率が良い、独学では不安と回答します。実際にはスクールに行かないとスキルが身につかない人は、その分野に適性がないのです。

エンジニアもデザイナーも独学で学んでプロになっている人が沢山います。そしてスクールで教えてもらえることは本当に基礎です、どんな分野でもプロとして生きていくならその後は独学になります。

独学ができないのであればプロとしてやっていくことは難しいのです。ですから独学できない人がスクールでなんとかスキルを身に着けても、結局その分野で生きていくことはできません。そのときになって気付いたらかなりの時間を無駄に消費したことになります。

それだったら最初から独学で学んだほうが早い段階で自分の適性に気づけます。独学で学んで最も学ぶために必要な範囲で人から習う。というスタンスが重要です。

資格が必要な仕事の場合はどうなのか?という疑問があると思います。その技能が独学である程度学べるのであればまずは独学で学んで最後に資格を取るだけでよいのです。
繰り返しますが効率よく自分に向いている専門職を探す方法の1つは、独学で限界まで試してみることです。これを意識してください。


会社員として一人前になる

スペシャリスト型FIREではまずは会社員として一人前になることが前提です。ゼロからスタートする場合も、既に専門職についている人も、まずは会社員としてその業界で一人前になる水準を目指してください。職種にもよりますが技術職であれば4〜5年は必要になると思います。
社員として安定した給料を貰いながら社外で通用するスキルと経験を身につける期間がここです。必要に応じて何回か転職しても問題ありません。


次のフェーズ(独立)に移ってよい状態をつくる

会社員として専門職に業界で一人前になれば最初の段階はクリアです。
しかし独立前に2つのことを必ずやっておく必要があります。
それは

1.客観的な市場価値の把握
2.顧客リストの作成
3.生活防衛資金の確保

の3つです。

1.客観的な市場価値の把握
独立した後に仕事を得るためには今所属している会社以外でも需要がなければいけません。日系大企業などでは専門職であったとしても自社でしか通用しないスキルしかない人がそれなりにいます。または市場評価よりも高い年収を貰っており、独立しても思ったよりも単価が上がらない、最悪下がってしまう人もいます。

そのため独立前に自分の市場価値を正しく理解することは極めて重要です。その方法としては最も有効なのは実際に転職活動を行うことです。

正社員募集の求人に応募をして面接を行い、出た内定のポジションと金額があなたの市場での実際の評価です。

まずは数社からオファーを貰ってください。内定が貰えない、やっと一社から貰えたという状況の場合は独立するにはまだ早いです。

思ったより市場価値が低かった場合も独立をするタイミングではありません。もう少し現職に留まって市場価値を高めるか、現職にいてもスキル向上が望めないなら転職して新しいスキルや経験を積み市場価値を更に上げてから独立する必要があります。

2.顧客リストの作成
独立した後に最も大切なことの1つは仕事を受注することです。いかにスキルが高かったとしても仕事が採れなければ一銭にもなりません。

ですから独立をする前に仕事を確保します。これによって自分をいくらで売れば実際に仕事が舞い込んでくるかを事前に確かめることもできます。

具体的にはまず副業からスタートします。
フリーランスとして需要がある人材であれば当然副業でも需要があります。まずは副業を通じて自分の需要を確かめてください。

多くの人は値付けに迷うことかと思います。フリーランスの単価基準は会社員としての市場価値の1.5〜2.0が相場です。

最初は自分の現年収や内定を貰った相場を元に副業の時給を決めて受注できるかを試していきます。

ここで受注ができなかったらあなたの会社で評価が市場価値よりも高いのかもしれません。受注できる単価を探っていきましょう。

ある程度副業の仕事が継続的に採れるようになってきたら、新しい契約をとるときに単価を少し上げてみてください。単価を上げて受注できた場合はまた新しい契約のときにまた少し単価を上げてみてください。

このように単価の上げ下げを新しいクライアントに提示すると自分がいくらで売れるのかが正確にりかいできるようになります。

自分の単価感の肌感覚でわかり、仕事も継続的に受注できるようになったら独立するタイミングです。

独立するときには独立してから仕事を取るのではなく、今ある副業先の時間を増やすという形で実現するのが賢く安全な方法です。

あなたが副業先で重宝されていれば、より長時間コミットして欲しいと言われるはずです。副業先の時間を増やすことで既にワークしている仕事の時間を増やすだけでよくなるのでリスクも少なく、独立1年目からすぐに起動にのって働けます。


3.生活防衛資金の確保

独立する前に生活防衛資金を十分に貯めてください。仮に何かあって収入がゼロになったときの予備の資金です。その資金の目安は諸説ありますが、私は最低1年、できれば1年半分の生活を賄える金額が合ったほうが良いと思います。

キャッシュが減っていくというのは想像以上に怖い経験で、ゼロになるかなり前に殆どの人はなんらかの行動をとります。6ヶ月分の生活防衛資金しかないのであればおそらく3ヶ月程度仕事が切れた段階で正社員に戻るという決断をしはじめる人が続出します。

仮に仕事が切れて収入がない状態が続いても防衛資金が1年分あれば半年、1年半分あれば1年程度はフリーランスとして新しい仕事を探すことに注力できます。そして半年探して仕事がないのであれば、それは一度撤退する状況であると言えます。

これでゲーム序盤をクリアです。
あなたはここまでで一定市場価値のあるスキルと経験を持ち、顧客を抱えて独立しました。そして時間単価は会社員時代の1.5倍〜2倍です。フルタイムで働けば年収が1.5倍〜2倍もらえる状態になったのです。


ゲーム中盤〜サイドFIREへ向けた助走期〜

ゲーム中盤の流れ

専門家サイドFIREを目指すフェーズはステップ2〜3の間です。独立してからサイドFIREに至るまでの過程になります。ここで継続的に仕事を得ること、可能であれば単価を更に挙げていくこと、資金を適切な形で投資していくことが大切になります。FIREというとインデックス投資をしがちですが、スペシャリスト型FIREの場合はもう少し工夫が必要になります。またこの期間は終盤戦でサイドFIRE⇒FIREを目指す上での必要となる、収入の多角化戦略を実現するための仕込みを行います。

生活を維持したまま労働単価を2倍にする

フリーランスとして独立した時点で実は不労所得がなくてもサイドFIREに近い生活はできます。なぜならフリーランスの労働単価を会社員時代の2倍とすると半分の労働時間で今までと同じ生活ができるからです。

サイドFIREの感覚を一足先に味わってみたいという方はこのタイミングで半年くらいのんびり生活してみることもおすすめです。多くの物事は実際に実践してみないとわからないことばかりです。もしかしたらサイドFIRE生活をしてみたら思ったより楽しくなく直ぐに飽きてしまうかもしれないですし、反対に半分でも多すぎると感じてフルFIREを目指すモチベが上がるかもしれません。

単価ブーストを活かしてサイドFIREのための種銭を貯めるとゲーム中盤はクリアです。そのために労働時間は今までと同等にフルタイム、生活レベルは今までの水準を保つことを心がけてください。ここで労働時間を半分にしたり、良い場所に住んでしまったりすると次のステージに進めません。

ちなみになぜ単価が上がるかというと、あなたが会社員という安定した身分を捨てたリスクプレミアムがあるからです。会社側はあなたをいつでも切れるがゆえに高い単価を払えるのです。労働者観点では安定的に給与を貰えないかもしれないというリスクを引き受けることで単価が上がっているのです。

しかしあなたは今過剰なリスクを決して取ってはいません。序盤でスキルと経験を磨くことであなたはフリーランスの仕事がなくなったらいつでも会社員に戻れる状況をつくっています。それゆえに実質リスクフリーに近い状態で単価だけを上げることができるのです。

更に独立して個人事業主になることで貴方は様々な費用を経費として扱うことができます。家賃や光熱費、書籍代、PC、カフェ、車など多くの費用が経費になります。

いままでは税金を取られた手取りから支払っていたものが、税金を引かれる前に支払うことができ、節税ができます。
収入が1.5〜2倍に上がって経費が使えるので生活レベルを上げなければあなたの資産は加速度的に増えていきます。

投資を本格的に始める

サイドFIREをするためには最終的には労働収入以外からの収益を挙げる必要があります。この時期に投資するべき対象は株です。今はまだ不動産投資などの手間のかかる投資には手を出さないようにしてください。

不動産投資は知識のない状態で参入するとやけどをします。また本格的に利益を上げようとした場合かなりの時間をさくことになります。あなたはいま労働単価をブーストできるタイミングにいるので、この時期は稼ぐことはブーストがかかっている労働に任せ、労働で稼いだお金を時間をかけずに不労収入にしていく戦略をとったほうが効率的です。

投資信託でFIREは現実的でない

最も有名なFIREの方法は配当金を自動で再投資してくれる投資信託を購入して年間生活費の25年分を貯蓄したら毎年4%ずつ切り崩していくというものです。

しかしこの方法は多くの投資系インフルエンサーが言及しているようにあまり現実的ではないと思います。その理由も他の方々と基本的には同じですが改めて説明すると人は資産が減ることにストレスを感じる生き物であるからです。

そして相場環境が悪いときにも自分の資産を切り崩さないといけないことがさらなる不安とストレスになるからです。

更にサイドFIREとの相性も悪いです。資産を崩しながら資産を増やそうとする矛盾が発生します。

そのため株式投資による不労所得は配当金からの収益のみに限定して、購入する銘柄の配当利回りで調整することを推奨します。

スペシャリスト型FIREと相性の良い投資先

私がおすすめするのは長期的に見て元本と配当成長するよくあるインデックスファンド等で十分でしょう。
一度購入したETFは一生売りません。保有し続けて増配の恩恵をうけることで現時点での配当利回りがそこまで高くなかったとしても、長期的に株価と配当が上昇する銘柄を購入すれば、FIRE後も総資産額と不労所得が年々増加するためです。

トータルリターンを気にしすぎない

スペシャリスト型FIREをするときに意識したいのが、トータルリターンの最大化を狙わないことです。FIREへの原資は仕事で稼ぐことを前提としてるので、株を売る機会が一生発生しません。
トータルリターンが増えても含み益である限り、それは実際には使わないお金です。

注目するべきは総資産ではなく投資額に対してキャッシュフローがいくら入るのか、特に増配によって今後いくら増えていくのかです。

指標は平均月間配当額と年間配当利回り

そのため私は投資の指標として平均月間配当額と年間配当利回りを置いています。平均月間配当額配当金が絶対額で順調に増えているかを、年間配当利回りは株を割高で購入していないかをチェックするための指標です。

株を売却しないのであれば暴落は年間配当利回りを上げるチャンスであって、なんら恐れる必要がなくなります。

国内高配当株も組み入れる

ここは好みが分かれる部分だと思いますが、私は国内の高配当株も20%ほど保有しています。これは為替リスクに対処するためです。米国株ETFはドルで支払われます。これは円安のときは良いのですが円高に振れたときに実質配当が目減りすることを意味します。

円高と円安にどちらになっても問題無いようにドルと円での配当バランスを取るようにしています。

年収400万の会社員がスペシャリスト型FIREでサイドFIREを目指すケース

さてここからは中盤のイメージをもう少し具体化させるため会社員時代に年収400万円だった人を事例に説明します。

年収400万であれば手取りは300万円程度です。あなたがフリーランスとして単価2倍になれば年収は800万になります。手取りは600万程度になります。同程度の生活をすると年間300万程度の貯蓄ができます。

あなたの会社員時代の貯蓄が10%と仮定すると年間の生活費は270万円。月間の生活費は22.5万円です。サイドFIREに必要な費用は11万程度、年間で130万になります。

130万を配当で稼ぐにはいくら必要でしょうか?利回りと必要資金の関係は以下のとおりです。

3%:4333 万円
3.5%:3700万円
4%:3250万円

年間300万円を投資に回せるとして配当金でサイドFIREだけを目指す場合およそ10年〜15年の期間が必要になりますが、増配率も考慮するとおよそ7年〜12年くらいの期間で達成できます。独立までの期間を5年としておよそ12年間です。

学生であれば22歳から計画をスタートすれば35歳〜40歳でサイドFIREが可能です。また幾つかの諸条件を調整することでサイドFIREまでの期間をさらに早めることができます。できることは

1.収入支出バランス調整
2.結婚による収入源の増加
3.単価の向上

の3つです。

1.収入支出バランス調整
会社員として年収600万を稼げる専門職について年収400万円の生活をすれば独立後の単価を2倍にすれば年収は1200万(手取り900万程度)になるのに対して生活費は300万円のままなので、年間600万円を貯めることができます。5年で3000万、10年で6000万貯めることができるのでサイドFIREまでの期間が圧倒的に圧縮されます。

反対に収入を会社員時代よりも抑えることで投資に回す額を増やす事もできます。これから職業選択する人におすすめなのはリモートワーク可能な専門職について都会の給料を貰いながら地方で暮らす方法です。高い年収と安い生活費の両立によって資産が加速度的に増えていきます。

スペシャリスト型FIREは三菱サラリーマンさんほどの高収入は不要ですが年収が高く、支出が少ないほど早くFIREできることは間違いありません。

2.結婚による収入源の増加
いま独身であれば結婚相手を上手く選ぶことでFIREへの期間がかなり短縮できます。夫婦ともに総合職の二馬力で働きつつ一馬力分の生活費で生きていく方式、またはそれに近い家系状態にすると資産形成速度がかなり早くなります。

結婚はFIRE戦略の成否を決める重要な意思決定であることを認識しましょう。消費が多い人を選ぶとその時点で殆どFIREが不可能になりますし、協力的な人を結婚相手に選ぶと一気に加速します。

本気でFIREをしたいのであれば結婚相手も慎重に選んでください。
結婚相手選びは本当に本当に重要なので結婚については次の章で詳しく解説します。

3.単価の向上

先程の年収400万円からの独立ではフリーランスになってからずっと同じ単価が続く想定でした。あなたがより高いスキルや需要があるのであれば単価を上げることはできます。会社員が年収に上がるようにフリーランスでの年収も上がるのです。

ここではフリーランスの年収を上げる方法を紹介します。私が観測してきた限りでは単価を上げていけるフリーランスには共通性があります。それは仕事を通じてスキルアップできる環境を作っていることです。

フリーランスになるとスキルの切り売りになってしまうと言われますがそれは嘘です。そういう人はスキルを切り売りする働き方をしているだけです。

全ての職種で通用するわけではありませんが、一般的にフリーランスの単価を上げる流れを紹介します。それは

  1. 顧客の信頼を得る

  2. 顧客と一緒に新しい挑戦をする

  3. 新しい顧客と仕事をするときに単価を上げる

の流れで行われます。まず最初に顧客の厚い信頼を勝ち取ること。これは仕事を継続的に貰うためにも大切です。そして顧客の信頼が高まってくると顧客から色々と相談されるようになります。
そこで其の内容が自分もまだ実践では実施したことがないけど個人学習で行っていてできることや勉強しながら対応すればできそうなことであればそれを受けるようにします。
一番良いパターンは顧客が新しい試みをするときに知識やスキルではなくあなたの知恵を借りたい、一緒に議論しながら進めるパートナーとして参画して欲しいと言われることです。

このようなお互いに信頼できる顧客ができると新しい挑戦が色々とできるようになり、少なくとも知識・経験の蓄積という観点では正社員と変わらなくなります。

そしてそこで得た知識・経験によって他の顧客の仕事を受けるときに単価を上げていけばよいのです。このサイクルが回り始めると単価ブーストしながらスキルが上がり、さらに単価が上がっていくという好循環のサイクルに入れます。

配当金が生活費の50%を超えたらクリア

ETFを購入し続けてキャッシュフローを増やし、自分の労働にかける時間がフルタイムの半分程度になったら中盤はクリアです。人によっては半分ではなくもっと早く終盤に入ってもよいでしょう。またこのクリア条件は家計単位での支出に対するあなたの労働時間投下率を評価します。結婚相手が稼いでる場合は今回解説したタイムスケールよりもずっと早く中盤をクリアできるはずです。

ゲーム終盤〜フルFIRE移行期〜

ゲーム終盤の流れ

さて、いよいよゲーム驟雨版です。サイドFIRE達成からフルFIREまで後少しですね。ここではサイドFIRE状態を維持しながらフルFIREを目指します。終盤で重要なキーワードは投資と事業です。サイドFIREになっている段階であなたの資産は既にある状態です。このフェーズでは中盤からの適切な投資の継続と余っている時間を使って事業を行うことでFIRE状態を目指します。

フルFIREを目指すべきか?

フルFIREを達成すると暇になる。だから程よい労働があるサイドFIREくらいがちょうどよい。という話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?もしこれが真実だとすると無理にフルFIREを目指す必要はないかもしれません。

しかしサイドFIREを経験済みの私から言わせるとこのセリフはフルFIREしている余裕がある人だからこそ言えるセリフです。

サイドFIREの状態では何らかの労働をしないと生活ができないという状態であることには変わりません。病気になったり、時代の変化とともに仕事の需要がなくなってしまったらサイドFIRE生活の継続は困難になる不安がつきまといます。

そうなると、やはり例えフルFIRE後もある程度働きたくなることがわかっていたとしても、働いても働かなくてもどっちでも良いというフルFIREの選択肢をもてることはとても魅力的に映ります。

スペシャリスト型FIREでサイドFIREまでこれたのなら、フルFIREも手の届く範囲に見えている状態になっています。ですからこのnoteを読んで実際に実践してサイドFIRE状態まで辿り着いたらおそらく皆さんも私と同様に自然とフルFIREを目指したいと思うはずです。

ゆっくりでいいならFIREは自動的にやってくる

ゲーム中盤で正しい投資先に投資していれば増配と株価上昇によって長期的には資産が膨らみ自動的にフルFIREへ到達します。

高配当株ETFのVYMの過去の平均増配率は9%弱です。10年ちょっとで配当金は2倍になります。

保有しているだけで配当金が年々増えていく状態です。サイドFIRE時に生活費の半分を配当収入でまかなっている状態を10年続けるだけで生活費の全てを配当で支払えるようになります。

焦らなければサイドFIREからのフルFIREはただ時間に任せて待つだけで良いのです。

早くフルFIREしたいなら事業に挑戦する

しかしもっと早くフルFIRE状態に到達したいなら投資以外の収入源を確保する必要があります。そのためにできることは「単価を更に上げる」または「事業を行う」ことです。

これらは共に再現性がない方法です。単価についてはサイドFIRE状態で更に上げていくのはそう簡単ではありませんし、事業については当たるかどうかは運の要素も大きいです。

このnoteの最初で指摘した再現性に課題のあるFIREの方法そのものです。

私はFIRE戦略について再現性に拘りを持っていますが、ここで初めて皆さんに再現性のないことへの挑戦を促すことになります。

それは既に配当金の増配によってフルFIREへの到達が確定している未来だからです。時間をかければFIREができる状況を確保した上でFIREまでの期間を短くするために挑戦することを推奨します。

単価を上げる戦略と事業を行う戦略では後者の事業が望ましいと考えています。これは事業はフルFIRE後にも資産になりますが、単価向上は労働収入の効率化であるためFIRE後に何も残らないからです。

ではどんな事業に挑戦するべきか?
狙うべきはクリエイター系×スモールビジネスになります。

組織化して規模拡大をしていかないといけない仕事はFIREと相性が悪く、資本も時間も投下しないといけないため避け、自分で何かを発信したり、創作したものを販売するビジネスが望ましいです。
これは多くのFIRE本で推奨されている副業で稼ぐ方法と同じです。私は特に以下の2つを推奨します。

  1. 不動産事業

  2. スキルを活かしたコンテンツ販売・発信

FIRE本は会社員時代に副業でこれらのビジネスを行うことを推奨していますが、私はサイドFIREしたこのタイミングを挑戦することを推奨します。

理由は先程述べた内容の繰り返しになりますが、これらのビジネスは再現性リスクがあるため初期段階で挑戦して失敗するとFIREが遠のくこと、サイドFIREしている状態では十分な時間を確保できるので会社員でフルタイム労働をしながら挑戦するよりも成功率が高くなるためです。

1.不動産事業について

不動産は「投資」ではなく「事業」です。
株式と違い優良なETFを購入しておけば年々増配して勝手に収入が増えていくイージーゲームではありません。

不動産営業から適当に紹介された物件をローンを組んで購入するとあっという間に赤字になります。

また株と同様に相場があり、リーマンショック直後では非常に利回りの高い物件がネットを検索すれば簡単に購入できた一方で、2022年現在では通常のネットにあるような物件では殆ど利益がでないものばかりになっています。

株と違って不動産の建物の価値は年々減価していくので割高で買ってしまうと挽回が不可能になります。

不動産事業でおすすめしたいのは、築古戸建て物件のリフォームです。これは古い戸建てを安く購入してリフォームして貸し出す投資です。
手間が既に入居者がついている物件を買うだけの普通の不動産投資よりもかかりますが、その分利益率も大きいです。

これは築古戸建てという材料を仕入れて、リフォームという調理をして、顧客に販売するビジネスだからです。飲食店同様に販売価格と原材料+人件費の差分があなたの収益になります。

ただしこの手法も仕入れ価格が相場の影響を受けるため、時期に影響を受けやすいのは代わりありません。そのため不動産はタイミングが重要になります。

2スキルを活かしたコンテンツ販売・発信

サイドFIREによる余暇時間を使ってこれまで仕事や趣味で得たスキルや経験をコンテンツ化して

  • YouTube

  • Note

  • ブログ(アフィリエイト)

  • ココナラ

  • メルカリ

  • ミンネ

  • ストアカ

などで販売していきます。例えば以前執筆した1500万円到達noteなどもまさにコンテンツ販売の1つです。自分がこれまで実践してきたきたノウハウを文章というコンテンツにして販売しているわけです。

専門職であればその専門性をわかりやすく解説するyoutubeちゃんねるを解説するのもよいでしょう。youtubeでプログラミングの動画が1万再生超えることも珍しくありません。

この段階で既に時間をかければFIREができる状態です。失敗しても大丈夫な無敵の状態です。新しいことに次々に挑戦してみましょう。
ただし初期資本が大きいビジネスはやらないようにしてください。株式を売ってまでの挑戦は本末転倒になるからです。

FIREの成否を左右する3大ライフイベントの対処法

結婚・住宅・教育の重要性

結婚・住宅・教育。この3つをいかにコントロールできるかでFIREの成功確率は大きく変わります。どのような選択をとるかは読者の皆さんの人生にも大きく影響するのでご自身の人生において何が正解かを決めるのはあなた自身です。しかしFIREの視点からは明確に正解・不正解があります。ですからここではあくまでFIREの視点からゲームを有利に進めるための選択について解説します。

結婚相手に選ぶべき人

FIREの民には独身者も多くいますが、ここでは結婚をする前提でどんな人と結婚するべきかという観点で解説をします。

一番良いのはFIRE志向の相手と結婚することです。FIREを前提としてお互いのキャリアプランやお金の使い方を相談できます。特に生活費、住居費、教育費などのお金の使い方についてFIRE生活する前提でお互いに話し合うメリットが大きいです。相手がバリキャリかつFIRE型ならさらに好ましいと言えます。二人とも総合職で高い賃金を稼ぎつつFIREを目標に無駄な支出を抑えることができるからです。

サイドFIRE時点における大きな課題の1つは資産の増減によるストレスと労働収入の不安定さです。このストレスを緩和する方法として共働きです。どちらか一方の売上が減る月ももう片方がカバーしてくれます。特にフルFIREするまで結婚相手に正社員として働いてもらうことで、安定した収入が家計から入ってきます。

反対に苦しくなる結婚は次の状況です。

男性は見栄っ張りの嫁をもらうとFIREはできない。とFIRE界隈ではよく言われています。結婚式や住宅、子供の教育に必要以上のお金をかけるタイプの女性と結婚するとその時点でFIREはほぼできなくなります。FIREを目指す男性が最も避けるべきは自分では稼げないのに自分の稼げる額以上の生活水準を保ちたいと考える女性です。

沢山稼いで、沢山使う女性との結婚はどうでしょうか?
私の周囲の人間を見る限りこれもまたあまりおすすめできません。普段のお金の使い方が異なると財布を分けていたとしても住居や教育などで衝突するからです。一方でFIRE志向がなくて、稼げるけれどもお金を使わない女性はありです。支出周りで衝突が発生しないため、あなたのFIRE生活に安定感をもたらしてくれます。

男女逆転して同じように考えれば女性版になりますが、女性の場合はヒモ的な男性をもらわない限り、実際にはこのような問題は発生しづらいようです。

FIRE視点で見る持ち家と賃貸


結論を言うと一括で買えるなら購入する、そうでないなら賃貸になります。スペシャリスト型FIRE戦略は収入が不安になるリスクをとって年収をブーストしています。

その対価として正社員と比較したら収入の安定性を犠牲にしています。それ故に支出の大きい固定費はなるべく避けることが大切です。そして住居費は殆どの家庭にとって最も大きい固定支出になります。

持ち家を35年ローンで購入してしまった場合は35年間支出が続きます。途中で収入が減る場面がでたときに賃貸であれば家賃の安い地域に引っ越したり、部屋を狭くすることで家賃を下げることができますが、持ち家だとそうは行きません。

たまたま市場環境がよく高い金額で売却できればよいですが、そうでない場合は売ると借金が残るため、売ることも難しく支出を減らす施策がとれなくなります。またローンがあると不動産投資をする際の与信が減ります。

そのため少なくともサイドFIRE達成までの間は賃貸を選ばれるのがよいです。ただし、一括で購入する場合はその限りではありません。住居費がゼロになるのは生活コストを抑える上でとてつもないメリットです。もちろんFIRE以前の状態で貯蓄を叩いて何千万の家を現金で購入するのは本末転倒です。貴方が住む限りあなたの家はキャッシュフローを生んでくれません。そのため貴方が否かに住んでいて数百万で買える場合に限り、購入は良い選択肢になると考えてください。ローンはしない。これだけを覚えておけば大丈夫です。

子供の教育についての考え方


都心に住んでSAPIXに通わせて中学から私立で良い大学に行って欲しい。
子供は二人はほしい。このような考えを持っている場合普通の人がFIREをすることはほぼ不可能になります。これは世帯年収が1500万を維持し続けてやっと成り立つ生活です。1500万でも家計に余裕がないくらいでしょう。

そして「都心に住んでSAPIXに通わせて中学から私立で良い大学に」は典型的なサラリーマンの発想です。

あなたが既にFIREしているのであれば、貴方のお子さんを必要以上の努力をさせて高学歴にする必要は全くありません。お子さんに必要なのはマネーリテラシーと本人の適性を無理なく伸ばすことです。
子供に学問の才能があって進んで勉強をするタイプであればそれを押さえつけずに伸ばすべきですが、将来良い会社に入ることを目的とした教育に必要以上に多額のお金を投下する理由はありません。

なぜなら今回の方法を用いてあなたがFIREしたのであれば、あなたの子供が音の菜になる頃には、あなたの家族は資本階級になっており、子供も労働階級ではなく資本階級としての人生を歩むことになるからです。良い大学に入って良い会社に入って高い給料を貰わなくても、あなたの子供は既に十分な資本があるのです。

ですから家庭内でマネーリテラシーの教育をすること、本人の興味を増やし、伸ばしていくことには賛成ですが、会社員としてよい仕事につくためにお金を使うのはただの無駄遣いです。最も大切なことはあなたが築いたFIREできる程度の富を一代で終わらせず今後も維持・拡大できるように、金融教育をしっかりすることです。


FIRE後の世界から

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