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中年の危機を脱するために大学院に行ってもいい!INSEAD/EMCが転機に効く理由

INSEADのExecutive Master in Change(通称、EMC)は、 “Together, we transform”をテーマに、「個人、家族、組織、社会」といったあらゆるシステムレベルで起こる“Change”について、組織論と心理学を用いた組織心理学の観点から、ビジネスプロフェッショナルに新しい視座を提供する修士プログラムです。

EMCは、2023年現在、フランスのフォンテンブロー(ヨーロッパキャンパス)と、シンガポール(アジアキャンパス)の2カ所でそれぞれ教えられています。私が学んだのは、シンガポールのアジアキャンパスです。

これまで、「自分探しのために大学院に行ってOK!」、「コンプレックス解消に大学院に行ってOK!」という話をしてきました。今回は、「中年の危機を脱するために大学院に行ってOK!」というお話をしたいと思います。

私は、40歳手前で訪れた若年性中年の危機(Early midlife crisis)を、大学院に行ったおかげで乗り越えることができたと感じています。

EMCに集まる生徒の平均年齢は44歳。酸いも甘いも経験した、立派なプロフェッショナル達です。そして、この年齢ゾーンは、これからの人生について色々と考えるお年頃という言い方もできます。

私のクラスメイトを見ても、少なからずほとんどの人たちが、何かしらの答えを求めてEMCに辿り着いている印象でした。

人生のリセットボタンを押しに。
人生に新たなスパイスを求めて。
ガス欠しそうな人生にガソリンを補給しに。

私の場合は、色々な複合的な理由はあるものの、直観的に「EMCに行けば何かが開ける気がする」という気持ちがありました。むしろ、悶々と悩むだけの日々に嫌気がさしていたので、とりあえず何か変わったことをしよう、と思っていた気がします。

結果的に、2年間をかけて、自分探しもできましたし、コンプレックスも解消することができ、いつの間にか悶々とした暗い日々を抜け出すことができましたが、EMCのどんな側面が私のトランジションを乗り越えたことに寄与していたのでしょうか。

その答えは、キャリアコンサルティングの世界では有名な、ナンシー・シュロスバーグ先生の、トランジションを乗り越えるための「4つのS」で説明することができると気づきました。

シュロスバーグ先生は、トランジション(Transition)=「転機」を乗り越えるために必要な資源である「4つのS」を点検しましょうと示しました。

Situation(状況)、②Self(自己)、③Support(支援)、④Strategy(戦略)の4つが、「転機を乗り越えるための資源」です。

私が思うに、EMCは、この4つ全てのSを与えてくれる場だと思うのです。

Situation(状況)
大学院という普段の日常から離れた場所(Third Placeと言ってもいいかもしれません)に身を置くことで、自分が置かれている状況と向き合うきっかけが生まれます。いつもと同じ日々の繰り返しをしていると、慌ただしい日常生活の中で、自分のいる状況を振り返ることはなかなか難しいものです。いつもと違う場所、いつもと違う人間関係、いつもと違う生活スタイル。この大学院生活という非日常生活を組み入れることが、自分自身の「状況」を見極めるために、私にとってはとても有効な方法でした。

Self(自己)
EMCでは徹底的に自分と向き合うことが求められます。自分の変化を経験せずして、他者の変化を起こすことは難しいからです。これはプログラムの醍醐味でもあるので詳細を書くことは控えますが、自分ひとりでは到底できないレベルの自己分析ができると言っていいでしょう。私は昔から自己分析や内省が好きなタイプでしたが、EMCで新たに気づいた自分には驚きましたし、自分1人で行う自己分析には限界があることを知りました。

Support(支援)
EMCに集まるクラスメイトは私の強力なサポーターになってくれました。クラスメイトだけではなく、教授陣たちも非常に心強いサポーターになってくれました。心理的安全性が徹底的に尊重された環境において、自分の悩みを打ち明け、相談し、そしてそれを受け止めてもらったときの安心感と、自分には「いつでも戻れるあの場所がある」と思えるのはとても幸せなことだと思います。大人になってから、そのような人間関係を新たに築くことができるのも、大学院という学び舎のおかげだと思います。

Strategy(戦略)
EMCで学んだ様々な知識が、自分の”戦略”を考える際の強力な武器となります。EMCでの2年間は、「知識が自分を救う」と思えた経験となりました。あることを知っていただけで、物事の解釈が変わり、正解にたどり着くまでのスピードの速さを感じました。大学院という場所でアカデミックな知識を得ることは、悶々とした暗闇における一筋の強力な光であると感じました。そして、学べば学ぶほど、気分が明るくなり、毎日が楽しくなっていくのを感じました。

40歳前後の若年性中年の危機。私は本当にしんどかったです。
そのような中で、私はEMCと出逢い、EMCのおかげで中年の危機を脱することができました。

EMCがなぜ、中年の危機にも効果があるのか、どう説明したらよいのか今までアイデアがなかったのですが、今回シュロスバーグ先生の4Sを使ってご説明することができ、個人的に満足しています。

今、若年性中年の危機、真っ只中におられる方の、お辛いお気持ちをお察しすると共に、もし、そのような方にとって、私のこのようなEMC体験記がお役に立てたら幸いですし、これからその時期に差し掛かる方の事前準備として参考にして頂けたら幸いです。

「若年性中年の危機を乗り越えるために大学院に行ってOK!」です!


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