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『#推薦図書』「自分、役立っているかな」と思ったときに読みたい一冊

「せっかく手伝ったのに、なんで喜んでくれないの?」

「そんな余計なことしなくてもいいのに・・」

日常のなかでも「支援する人」と「支援される人」のなかに、すれ違いの感情が生まれていませんか?

自分は、中小企業の経営支援の現場に出たときに、当初、そのすれ違いを強く感じました。相手の役に立ちたい、喜んでもらいたいと思って、話をしても必ずしもうまくいかない・・

『良い支援って、いったいどんなものか?』

自分のなかで大きな「問い」がありました。そんな、もやもやした悩みを何年も抱えていた時に出会った本。

『人を助けるとはどういうことか』 
エドガー・H・シャイン

この本を読んで思うことは「支援とはありふれているけど、複雑なプロセスであり、本当に役に立つ支援はそんなに簡単なことではない」こと。
自分が読んで思った支援の大きなポイントは次の2つ。

・支援も人間関係であり、ある程度の理解と信頼が前提

・相手のイニシャチイブや自律性を尊重して、相手がうまく問題解決するプロセスを支えることを重視

ただ、理解はしていても、実践するにはなかなか難しいですね。


本書では「支援関係における7つの原則」として、支援の原理・原則になるような考え方が整理されていますのでポイントをまとめてみました。

原則1.与える側も受け入れる側も用意ができているとき、効果的な支援が生じる

 支援する人も、支援を受ける人も、本当に自分の感情が「支援したい」とか「支援を受けたい」という気持ちになっていることが大切。体裁を取り繕うような「カタチ」だけだと、望まない支援になってしまう確率が高い。

原則2.支援関係が公平なものだと見なされたとき、効果的な支援が生まれる

 支援を受ける人は、助言を聞く立場であり、一段低い位置に置かれる。一方的に話すのではなく、相手の希望を尊重して、自分の意志でコントロールできるような気持ちにさせることが大切。

原則3.支援者が適切な支援の役割を果たしているとき、支援は効果的に行われる

 例えば、具体的な知識やサービスそのものを提供すればよいのか、相手の行動やプロセスに寄り添ってサポートするのか、支援者がどんな支援がベストかを理解して関わることが大切。

原則4.あなたの言動のすべてが、人間関係の将来を決定づける介入である

 支援者側が意識していないと忘れてしまいがちですが、支援者の指示・命令はもちろん、思ったことを意見することや誉めることも相手に影響を与える要素になる。

原則5.効果的な支援は純粋な問いかけとともに始まる

 支援を受けたい人が本当に何をしてもらいたいかを理解するには、まず聴くこと。経験を積むと過去の経験から先回りして、決めつけてしまう恐れがあるので気をつけたい。

原則6.問題を抱えている当事者はクライアントである

 支援者が、相手の問題を心から理解できることはあり得ないという前提に立つ。「自分がこう思うから、あたなもこうすべき」とはならない。支援者は「クライエントが解決できるように手を貸す」というスタンスを忘れてはいけない。

原則7.すべての答えをえることはできない

 支援者は、経験を積むほど、知っている支援の方法に飛びつきやすくなるが「わからないこともある」ときちんと言えることも必要。支援を受ける人と問題を分かち合い、解決策を作り上げるという視点も大切。

まとめ

誰かを支援することが求められる関係は、家族、友人同士などのプライベートにも、上司・部下、コンサルタントとクライエントなど、仕事の世界でもどこにでもあります。
そういった意味では、この本は支援をする人だけでなく、多くの人に気づきを与えてくれるのではないかと思います。

今後も「本当に役立つ支援とは?」が気になった時には読み返したい本です。

 


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