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『さよなら絵梨』の雑感。ぼくらは“大好き”と”大嫌い”を抱えて生きている

こんにちは。

本日、藤本タツキ氏の読み切り『さよなら絵梨』が公開されましたね。

ぼくはなぜだかよくわからないけど読み終えてからずっと涙目になっているような気がする(?)


以下ネタバレ含みますので『さよなら絵梨』を読んでからお越しください。


読んだ感想。

コマの絵がぶれている。
まずこれがすごいなぁと思った。
絵がぶれているから“これはスマホで撮った映像なんだな”ってわかる。っていうか漫画で”スマホで撮った映像”を表現するっていう発想が面白い。すでにわけわからん。なんなん。

優太のお母さんが優太の誕生日に「お母さんは病気で死んじゃうかもしれないでしょ」って言って
優太は「今する話じゃないなーって思う」って言うんだけど本当にその通りだと思った。
お母さんのこの言葉がなかったら“この家族は幸せなんだろうな”ってぼくは思ったかもしれないんだけど、個人的にはお母さんのイメージがちょっとよくなかった。だからなのか優太が撮っているお母さんはなんとなく“ぎこちない”というイメージだった。
ま、そんなイメージはありつつ、水族館に行ったり、パフェを作っているお母さんを見ていると悪いイメージは一瞬できえてしまって、可愛いお母さんだな、というイメージに変わった。

(これは後で思ったことなんだけど、お母さんはお父さんといる時とても楽しそうだ、ということ。
そして優太が全く映っていない、ということ。

カメラ役の優太はカメラ役だから仕方ないんだけど、お父さんと一緒のお母さんは存在するのに、優太と一緒のお母さんはいない。そして優太が映るときはいつも“ひとり”だ)


いよいよお母さんが死んでしまうと病院に向かうも、優太は病院に入らずに走って遠ざかるシーン、そして爆発するシーン、実はそれが映画だった、という展開。ここめちゃくちゃおもしろかった。観客が呆然としている感じもめちゃくちゃシュールでおもしろい。

ドキュメンタリーだと思っていたのに突然非現実的な“爆発”という、
むしろ“フィクション”によって“現実”をありありと突き付けてくる感じが最高でした。最高。
リアルとフィクションが突然ごちゃごちゃになったとき、“ぼくは生きているんだなぁ”と感じます。ありがとう藤本タツキ、最高。

さて。
最高、とは思ったものの、漫画の中の先生やら同級生たちからは罵倒だらけだった。そっかぁ…と思った。確かに人の死を弄んでいると思われても仕方がないかもしれないけど、けどさ、爆発はフィクションなのになぁと思った。ぼくの感覚はおかしいのかもしれないと思った。


優太は絵梨と仲良くなる。
絵梨はなんとなく高圧的な感じがするなぁと思っていたら優太の家でお母さんみたいに食卓に一緒に座っていた。
ん???と思った。

お父さんのキャラが良いなと思った。
お父さんは「作り手も傷つかないとフェアじゃないよね」って言っててびっくりした。そういう発想があるのか、と思った。すごい。なんかもう藤本タツキ氏には感服なんだが???
これ絶対ルックバック事件(事件?)へのアンサーじゃん、とぼくの中で勝手に解釈した。

海にいる時の絵梨は特に美しかった。だけど美しい時間はあっという間に終わった。

この美しさをチャラにするみたいに優太は“汚い部分”を引き受けている。なんでなん優太。クソする映像なんかいらんよ。
たしかに人間はクソをする、だけどそんなことわざわざ映像にしなくたっていいじゃないか、って思ったんだけど、
クソ映画を産み出した優太だからなのか、と思った。
つらいなぁ。


そのあと優太のお母さんが酷い人だったと知る。
最初の方を読んだとき、お母さんへの悪いイメージは少なからずあったけど、かなり意外だったし、すごくショックだった。個人的に、すべてのお母さんは良い人であって欲しいと思っているからかもしれない。

お父さんは「人をどんな風に思い出すか決める力があるんだよ」と言ったけど意味がわからなかった。
お父さんの言葉は奥が深すぎてぼくにはちょっと理解できない。
正直「は???」と思った。美しいところだけ思い出せって言うんだろうか。そんなの人間じゃないし、美しいところだけ思い出したって優太が受けてきた傷をチャラにすることは出来ない。

絵梨が病院のベッドで「みんなをブチ泣かして」と言ったシーンで観客は泣いていたけど、正直ぼくには何がそんなに泣けるのかわからなかった。たぶんぼくの中でお母さんと絵梨が重なってしまったからだと思う。

そのあとは何が優太にとっての現実で何が優太にとってのフィクションなのか全然わからなくなってすごいと思った。なんなん。
優太が死のうとした時、突然絵梨が現れて、その二人の会話を読んでいるときはずっと鳥肌がたちっぱなしだった。
それから「さよなら」と言って最後の爆発。

正直意味がわからないんだけど、この最後を読んだあと涙が出た。なぜか感動した。なんで???

優太はお母さんのことは酷い人だと思っていたけどたぶん大好きだったし、それと同じくらい大嫌いだったんだと思う。
それは絵梨に対しても同じで、たぶん絵梨は“フィクションそのもの”みたいな存在で、
優太はフィクションは酷い(爆発とか)ものだってわかっているけど、大好きなんだろうなぁと思うと、
たぶんぼくらは何かを好きか嫌いかで完全に分けることは出来ないんだろうな、と思った。



今はまだ頭のなかがごちゃごちゃなので後日また感想書きたい。










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