藤本タツキ短編集『17ー21』感想③恋は盲目
藤本タツキ短編集『17ー21』の感想妄想などの箇条書き。
設定などの説明は省きますがネタバレありなので注意。
ほか、短編集の感想↓
○恋は盲目
生徒会長がユリ君に告白したら地球を救ってた話。すごくシンプルなのに、なんでこんなに面白いんだろう。
会長の勢いがすごい。藤本タツキ氏はいつも漫画の良いところを最大限引き出して描いている気がする(何様)
あと藤本タツキ氏の描く女の子は全員可愛い。
ユリ君の口癖が「押忍」なのが良い。
押忍、についてちゃんと意味を調べたことなかったなぁと思ってググったら「武道の精神、自我を押さえて我慢する」「おはようございます」「わかりました」「よろしくお願いします」とか特に意味は決まっていないらしい。へぇ。
ユリ君は中盤までほぼ「押忍」しか言わないが、
ナイフの男が出てきた辺りからは言っていない。たぶん「押忍」と言っているどころではなくなったのだと思う。
会長が臆病になってしまっているのはユリ君にその気がまったくなさそうな雰囲気があったからかもしれない。ユリ君はかなり自我を押さえ気味な女の子だったのかもしれない。
会長が「これからはひとりで頑張らなくてはね」と言った後、(ここ会長がユリ君の目を全く見てなくてあぁ…ってなった)ユリ君は少し残念そうに「押忍」と言うんだけど、ユリ君の方からアシストしたって良かったところを押忍しか言わなかった。
ユリ君は会長に、海外の大学に行くから二度と会えないだろう、と言われたとき、悲しそうな顔をした。だけど寂しいとか悲しいとか、そういうことは全く言わずに「会長なら大成します」と励ましている。これも本音だろうけど、ユリ君の心はいつも押忍なのかもしれない。
やっと“素”のユリ君が出たのは「いまそれどころですよ!」のシーンだと思う。
そこからするすると会長の本音も出始めた。ユリ君の本音が地球を救ったと言っても過言ではないかもしれない。会長に意見したのはもしかしたら「いまそれどころですよ」がはじめてだったかもしれない。
ユリ君の「誰に告白するんですか」は、すっとぼけなのか計算なのかただの天然なのかよくわからなかったけど、ユリ君の本音が地球を救ったとするなら、
「誰に告白するんですか」も、ユリ君の本音なんだろうと思った。きっとこの日まで会長もユリ君に対して全く好きな素振りを見せたことがなかったのかもしれない。ユリ君に対してずっと押忍な会話しかしてこなかったのかもしれない。
そしてナイフの男と宇宙人がいなかったらユリ君の本音も会長の告白もなかったかもしれないと思うと、、、いやー面白いなぁ。
会長がナイフの男に負けじと(?)制服脱いでただの変質者になったり、宇宙人と戦う(?)展開を拒否するのも面白かった。
奪われそうになった金(制服)と地球が終わりにはちゃんと会長とユリ君に戻ってきたんだなぁ。会長が持ってるジュースに「コイ」って書いてあるように見える気がする。
ナイフの男がまじで金がなくてひとりぶんのジュース代しか持ってなかったんだなと思うと悲しくなった…。
ナイフの男も宇宙人も当初の目的、それどころではなくなってしまったんだなぁ。愛だなぁ。
恋は盲目。
会長が自分でも言っているけど確かに盲目だった。ユリ君しか見てなかった。
それからふたりはお互いの恋心に全く気づいていなかったし、少しも見えていなかったんだよな。会長はユリ君しか見えていなかったのにユリ君の本音が全然見えなかったんだ。
相手に自分の気持ちを押忍している間は確かに、見えないのかもしれないなぁ。
恋かぁ。
へーーーーー。はぁぁぁぁぁぁ。
「16pで出来ることを31pでやっていると編集部に言われた」と書いてあったけどどこをどう削れば16pになるんだろう…。
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