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人生とか、宗教とか

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人生とは、みたいなことが気になる年頃になってきました。アメリカでの主要な宗教であるキリスト教や、実体験や書籍などを通じて考えたことを載せます。
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遺産相続争い終結と、友人からの言葉に泣かされた話

こんにちは、師之井景介です。 私はここアメリカで、友人・幸雄さんの遺産相続争いの手助けをずっと続けてきました。 もともとは我々に親切にしてくれたジェーンさんという女性への恩返しのつもりでした。 彼女の夫である幸雄さんが、日本の親戚・宮崎氏に対して父の遺産相続に関する訴訟を起こしており、その裁判の手助けをこの2年半の間、行なってきたのです。 今回は、それがようやく終わるというお話。 ※基本的に、ただの愚痴と自己正当化です。お暇な方のみ、お付き合いください。 これまでのこと

「全ては神の計画だから」

キリスト教の考え方として、「偶然」というものは存在せず、全ては神の計画に則った必然だ、というものがある。 全てが神の大いなる計画の下に起きているのだから、あらゆる出来事を、たとえそれらが自分の意に添わぬものであっても受け入れて生きて行こう、というものだ。 うん。嫌いな考え方じゃない。むしろ好きだ。 しかしそれはあくまで、自分で自分に言い聞かせる場合に限られる。 「全ては神の計画だから」 これは、他者に向けては言ってはならない言葉だ。 もしも私が辛い思いや苦痛の中にいる

「お金」と「価値」の問題

こんにちは、師之井景介です。 人生も中盤戦を迎え、私も老後について考える機会が増えてきました。考えるばかりで具体的な行動を起こしているわけではないのですが。 老後、安心して生活を送るためには2000万円の資産が必要になる、という金融庁の報告に皆が騒然としたのがいつのことだったか忘れましたが、印象に残ったせいか、未だ記憶に新しい話です。何だか暗澹たる気持ちになりますよね。 Twitterなどでも、老後苦しみたくないから安楽死の施設を作ってほしい、というような発言を目にする機

おいおい、マジかよローマ教皇

これはまた、とんでもない発言が飛び出してきましたね。身勝手と来たか。 日本の政治家にも同じことが言えるのだけれど、因業ジジイの個人的戯言を権力に乗っけて発信するの、マジで勘弁していただきたいですね。 子どもが欲しいっつって授かるんだったらとっくにやってるわ、ボケ。 世の中には色々な事情を持つ人がいるわけで、子どもが欲しいけど授からない人、経済的な事情で諦めざるを得ない人、そもそも結婚しない人など様々です。 カトリックの聖職者は配偶者を持つことが禁じられており、かつ婚前

遺産相続争いを手伝った話・後編

前編はこちら 知人・山本幸雄氏の遺産相続争いの手助けへのモチベーションは、低下の一途を辿ってゆきます。 恩返しになどなっていない裁判が開かれ、弁護士から文書が届くと、幸雄さんから私に連絡が入ります。その都度、仕事の後や休日に彼の家を訪ね、打ち合わせを行いました。 そのたびに、ジェーンさんが滅茶苦茶美味しいコーヒーと共に、ケーキやクッキーを出してくれるのです。 しかも、別の日にジェーンさんと会話する中で、彼女自身は幸雄さんの遺産相続争いにはさして興味がないことも分かって

遺産相続争いを手伝った話・前編

こんにちは。師之井景介です。 今回は、誰かのために働くということのモチベーションと、その中で感じた正しさや赦しについて綴りたいと思います。 遺産相続争いの手助け私はここアメリカで、この二年ほど知人・山本幸雄氏の手伝いをしています。 彼は日本に住む親戚・宮崎氏に対し、父親からの遺産相続に関する訴訟を起こしていました。しかし裁判を進めるにあたり、大きな問題を抱えていました。 日本語読解能力です。 幸雄さん自身は日本人ですが在米歴が長く、日本語を話すことはできるものの、難し

【洋書レビュー】The Prodigal God 宗教書の限界を垣間見る(後編)

→前編 新しい解釈父を神に見立てたこの寓話は従来、”信仰を忘れ、どれだけ放蕩した生活を送った者でも、悔い改めて信仰を取り戻せば、神は温かく迎え入れてくれる”という教訓として解釈されることが多かったようです。この寓話が「放蕩息子」と題されたように、帰還した弟に焦点を当て、兄の非難をものともせずに神は愛してくださるということですね。 いや、でも待ってくれ、兄が抱える不公平感が置き去りにされてないか?と思う皆さんに、筆者は言います。 何故、不公平だと感じるのか。父とずっと一緒

【洋書レビュー】The Prodigal God 宗教書の限界を垣間見る(前編)

こんにちは。師之井景介です。今回の洋書レビューは”The Prodigal God” / 著 Timothy Keller 。”「放蕩」する神”として邦訳もされている、キリスト教関係の本です。 概要新約聖書”ルカの福音書”15章では、罪人や徴税人(権威から見下されている人たち)に教えを説くイエスを、パリサイ派や律法学者(ユダヤ教の権威)が批判するシーンが描かれます。これに対しイエスは”「放蕩息子」のたとえ”を用いて説明しました。 詳細は後ほど引用しますが、この放蕩息子の寓

宗教と信仰について

こんにちは。今回も宗教絡みのお話ですが、別に不穏な話ではない(と思う)のでご安心を。 教会と礼拝私が住む場所は”バイブルベルト”と呼ばれる地域に含まれます。教会がそこかしこにあり、大きなものから小さなものまで、至るところで見かけます。それだけ教会というものが文化や地域に浸透しているのでしょう。 毎週日曜には、教会での礼拝があります。最近は足が遠のいていますが、キリスト教を学び始めた頃はよく行っていました。コロナ禍においてはオンライン礼拝に切り替わりましたが、最近は現場での

キリスト教の話

私はここアメリカの、オハイオ州の都市シンシナティ近郊の街で働いています。この地に渡ってから、キリスト教(主にプロテスタント)について知りました。これから何度かにわたり、キリスト教について綴りたいと思います。 宗教怖い”宗教”と聞いただけで「怖っ」と思ったり、薄暗い地下の祭壇とか儀式とか生贄とかを想像してしまう人って、意外と多いのではないでしょうか。そういう方は、宗教アレルギーもしくは宗教とカルトの区別が付いていない可能性が高いように思います。 などと知ったような口を利く私