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おかあさんと呼ばれる訪問看護師

「おかあさん、私の一番のおかあさんだから。いつも良くしてくれてありがとうございます。」
と握った手を離そうとしないTさん。

Tさんは、昭和10年生まれ。
3年半前に亡くなった私の母と同じ生まれ年だ。アルツハイマー型認知症で、薬の飲み忘れが多くなり、家族からの依頼で、週に1回訪問している。

なぜか、私のことを「一番のおかあさん」と呼ぶ、同僚は、「二番のおかあさん」、ケアマネジャーは、背が高いので「大きい人」。
恐らくこの方の基準は、自分に優しくしてくれる人は、皆、「おかあさん」になると推測。
つまり、私は、担当なので、訪問する回数が多いので、「一番の」らしい。

とにかく、関わる人全てに、感謝しながら生きている。「いつも良くしてくれて、嬉しいの。」「あっち(デイサービス)の人も、みんないい人。」「皆さんのおかげです。」

嗚呼、感謝しながら、こんな風に歳をとっていきたい。理想だな。
…でもね、「看護師」という肩書きが既にハードルを高くしてるのね。
きっと私は、「私が看護師の頃はね、こうじゃなかったわ…」と自慢げに話す高齢者になっていくんだわ、確実に。家族だけには嫌われないようにボケていきたいなぁ。

東京の桜が開花。連休明けに、Tさんと近くの公園まで桜の様子を見に行けますように。


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