戦略的広報3つのフィールド
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戦略的広報3つのフィールド

戦略的広報には、マーケティング・コミュニケーション、リスク・コミュニケーション、コーポレート・コミュニケーションの3つのフィールドがあります。
 

マーケティング・コミュニケーションとは、地方自治体の各事業のコストを最小化し、成果を最大化するためのコミュニケーションのことで、市民への啓発活動や行動喚起も含まれます。とても意義のある啓発イベントなのに周知が行き届かず、体裁を整えるために職員を動員するような事が一度や2度はあるのではないでしょうか。そうした事態を防ぎ、最小予算で大きな成果を上げるために、どういう企画をし、どう広報をするか組み立てるものです。

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では、同じ(もしくは少ない)予算で政策効果をどうあげていくかという「マーケティング・コミュニケーション」について、有吉弘行さんを起用した「おしい!広島県キャンペーン」や葉加瀬太郎さんに楽曲提供をしてもらった「もうひとつの京都キャンペーン」など、県庁レベルの比較的大きな予算を使った大きな仕掛けについて執筆しました。

民間の力を借りながら部局横断プロジェクトを推進していくと、地方はもっと元気になるという事例を書かせてもらったのですが、

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では戦略的広報の構造を理解してもらいながら、中核市(50万人都市)である広島県福山市を例にしながら、市役所での戦略的広報への取り組み方をまとめました。

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の計24人の執筆者は、「1日100枚の名刺をもらうまで帰社しない」「理解しあえるまで徹底的に夜通しでも話し合う」「考える前にまず動く、考えながら動き続けるというフットワーク」「とにかく前向き、ひとなつこい、懐にどんどん入っていくという厚かましさ」など、リクルートのDNAに染み込んでいる「泥臭さ」で、地方創生に取り組んだ事例を書いています。

人と人が結びつき、化学反応を起こすことがイノベーションの起点になるのは地方自治体も企業も同じ。変化、進化をプロデュースするには、人の組み合わせ(人事異動など)だけではうまくいかず、化学反応を起こす仕組みや情報などの触媒をどう提供するかが地方自治体にも求められています。多様性というと耳に優しいですが、異物を受け入れる度量、違和感を飲み込む風土など組織の懐の深さがより必要な時代が訪れているのではないでしょうか。

リスク・コミュニケーションは、事件や不祥事が起きた時、思うように成果が上がらない時にどのように真摯に市民に向き合って説明責任を果たすかというコミュニケーションのことです。
 

地方自治体の例では、博多駅前の道路陥没事故が起きた時の福岡市の高島市長の記者会見や対応策は素晴らしかったですし、暴言問題で揺れた泉房穂・明石市長の謝罪会見や辞任タイミングは事件内容の是非はともかく、「火消し」という点でみると見事だったと思います。
 

特に、SNS時代は今までと違ったコミュニケーションが必要となってきているので、その要点については後述したいと思います。

3つめのコーポレート・コミュニケーションですが、コーポレートというと企業や会社、団体のことを指すので、地方行政に置き換えるとガバメント・コーポレーションと言ってもよいと思います。
 

地方自治体の様々な施策に対して、「私が住んでいる市なら、きっと良い方向に手を打ってくれているはず」とか、「市役所や県庁がやっていることは、まず間違いない」と信頼してもらっている状態を作りだすことです。

地方行政の施策は結果が明確でないものも多く、また結果が見えるまで長期に渡るものも少なくありません。その一つ一つの政策判断に対して、「また税金の無駄遣いをしているのじゃないか?」「毎年この時期に工事をしているけど、何の意味があるのか理解できない」など、市民が疑心暗鬼になっていては大きな意思決定がしづらくなるばかりか、隣の市町への引越しなど人口流出の火種となっていきます。ひいては、信用・信頼に裏付けされた郷土愛やシビック・プライドの醸成にも繋がって行くのが、ガバメント・コミュニケーションです。
 

それだけに、短期間で拙速にイメージ作りをすれば良いというものではありません。マーケティング・コミュニケーションやリスク・コミュニケーションをしっかり行い、ひとつひとつの実績の積み重ねによって信頼を形成していくのが肝です。特に宣伝・広報という言葉を勘違いして、事実を曲げて伝えるような「お化粧し過ぎ」になると本末転倒です。ネット時代は昔と違って「嘘がバレる時代」です。取り繕って隠したり、実態より上げ底のような行政サービスをしていると、逆に信用は地に落ちます。 あくまで誠実に、真摯に、市民と向き合ってコミュニケーションする姿勢が何より大切です。
 

そして、そうした実績を積み重ねていく際に重要なのが成果広報です。

地方自治体の広報は、実施前は大きくPRするものの、実施後にその成果を市民に報告することが少ないのです。

地方自治体の施策を実施して、街がこう変わりました、市民の暮らしが良くなりました、啓発イベントに参加してから地域への関わり方が変化しました、がん検診の受診率が何%アップしましたというような事後の広報をしっかりするのが大切です。

映画が公開された後に、「めっちゃ良かったです」「感動しました」「もう一度観に来ます」という来場者の声や表情をそのままCMにしているのを見たことがあると思いますが、あれが大事なのです。

地方自治体が手前味噌に「良かった」というより、参加した市民が「良かった」という方がもっと伝わり、周囲への拡がりを生み出します。

ところが、成果広報をするための素材が用意できてないことが非常に多いのです。写真素材、映像素材、参加者のコメントなど、参加者数などの数字以外の素材も準備しておかなければ、成果広報はできません。
 

そして、そうした場で集められる市民の声や要望を次の施策に活かしていくと、「一緒にまちづくりをしている」という一体感が醸成されていきます。

このように、広報課や情報発信課は3つのコミュニケーションの取りまとめ役として、司令塔として、全部局のハブにならなければいけないのです。

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かしのたかひと

楽しんでもらえる、ちょっとした生きるヒントになる、新しいスタイルを試してみる、そんな記事をこれからも書いていきたいと思っています。景色を楽しみながら歩くサポーターだい募集です!よろしくお願いします!

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リクルート、福岡ドーム、メディアファクトリーを経て、映画プロデューサー、ベンチャー経営者、政治家、作家に。