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38、マイルドな鎮静剤であり、心の浄化剤 鶴さんの巻

ニューヨークから帰国してメディアファクトリーに戻った頃、僕は自分の立ち位置を探しあぐねていた。

メディアファクトリーの社長はVol.30で登場した猛獣使いの坂本健さん。個性あるメンバーを自由にやらせていて、ポケモンカードゲームを大ヒットさせた香山さん(Vol.19で登場)が4番エースで君臨している。

そこへ福岡ドームでエンタメに携わり、ニューヨーク赴任から帰ってきた僕がどう関わっていけばいいのか?

例えるなら、優勝を目指して突っ走っていたジャイアンツに、日本ハムから中田翔が途中から入団したようなものだ(と言っても、僕は事件を起こしたわけではないが:笑)

どうチームに溶け込んで、どう自分のパフォーマンスを発揮していくのか、どうやってチームメイトに認めてもらうのか、なんとなく悶々とした日々を送っていた。

そんな時、気にかけてくれたのが当時取締役の(後の株式会社ポケモン社長)鶴さんだった。https://www.zakzak.co.jp/spo/news/210907/spn2109070004-n1.html

元々、リクルート創業者の江副さんの秘書をしていた鶴さんは、そうした人の気持ちの揺れを察知する力や、それに対する気遣いが凄かった。

僕のことを認めてくれつつ、行くべき方向や、気を付ける点について的確なアドバイスをしてくれたのが、どれだけ救いになったかわからない。

気持ちに余裕のない時は、功を焦って大きなミスをしたり、
心とは裏腹に強気な態度に出てしまったりするもの。

鶴さんと話すことで、いつもクールダウンしてもらい、
焦らずじっくり自分がやるべきこと、やりたいことに取り組もうと思わせてもらえたことで、「香山さんに負けないように一発狙おう」という気持ちから「香山さんと一緒に大きなことを為そう」というふうに気持ちを整理できたのだ。

だから、当初僕が考えていた「クオリティムービーを制作し、海外の映画祭で評価を受ける」という考えだけでなく、

香山さんが構想していた「テレビ局と組み、興行収入でヒットを狙う」というエンタメ作品も手がけようと考え直せたのだ。

このハイブリッドな考え方が、のちにSABU監督作品でベルリン国際映画祭で賞を獲る一方で、山崎貴監督の「ジュブナイル」や深作健太監督の「バトルロワイヤル」を手がけ、興行収入10億円を突破するヒット作品も生み出すのに繋がっていく。

今思うと、IMJエンタテインメントが海外映画祭で評価される作品群と、日本映画界でヒットを打つ作品の二刀流を確立できたのは、この時の影響があるかもしれない。

キツかった時期に、メンターになってくれた鶴さん(勝手に僕がそう思っていただけだが)のマイルドな語り口調、あのスキルをマスターして次世代の役に立つようになりたいと思う。

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