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バレエファンの会社員による「新国アラジン」見どころまとめ


先日東京の新国立劇場で上演された「アラジン」札幌公演が完売とのこと、おめでとうございます!北海道の皆様にも新国立劇場バレエ団の魅力が沢山伝わることを心から願っています💕
さて今回はチケット完売を記念して、新国アラジンの魅力を少しでも伝えるべく、私が東京で新国アラジンを見た感想をベースに、バレエファンの会社員の独断と偏見に満ちた見どころを書いてみたいと思います。
公平性はゼロなので、見たく無い方はブラウザを閉じていただきますようお願いします😊

リンゴを丸かじりしながらのデュエット

2幕でアラジンとプリンセスが恋に落ちる場面で、リンゴが出てきます。
東京公演では3アラジン見ましたが、人によって対応が違って面白かったです。

🍎福岡雄大アラジン
>>>食べる!とにかく食べる!リンゴを置く最後の一瞬までかじり付く、食いしん坊なアラジン。パドドゥ中もずっとモグモグ!
🍎福田圭吾アラジン
>>>一口がめちゃくちゃ大きくて遠くの席からもムシャムシャ食べていることがよく分かった。頬張りながら踊っていてすごい!
🍎奥村康祐アラジン
>>>おそらくリンゴの食品サンプルを食べる真似。頬張っているように見えましたが、実際には食べていませんでした。

北海道公演は奥村さんと速水渉悟さんがアラジンを演じられますが、実際にリンゴをどう扱うのか注目です。というかせっかくの北海道公演なんだから、リンゴじゃなくて北海道の名産品を代わりに使えば良いのに。流石にラーメンやジンギスカンは病院沙汰になりますが、りんごの代わりにトウモロコシとか使えば受けそう🌽😂

北海道公演で絶対注目すべき新国のダンサー達

・北海道出身🐏🍜🌽 飯野萌子さん(7/6パール)

宝石達の各パートの踊りが終わった後、全宝石が集まってコーダを踊ります。最後に宝石達がじっと動かない中でアラジンが宝石を取ってまわるというシーンがあるのですが、なんとここで飯野萌子さんが120°近く上がった美しいアラベスクを30秒くらいキープされていてびっくり!飯野さんのアラベスクがとても綺麗だったことが印象に残りました。

ちなみに飯野さんは客席から見るといつもコケティッシュで笑顔が本当に可愛いです。ロシアのノボシビルスクに留学されており、テクニックも強靭で、正確な技術力の持ち主です。新国に多い優等生タイプとはまた違った魅力の持ち主なので、いつかコッペリアのスワニルダなど彼女の魅力が発揮される演目でぜひ主役を思って欲しいです。プロフィールを見たらなんと2012年入団!経歴的にも、実力的にもファーストソリストに上がっても良いと思いますが、新国にはなぜ彼女をさっさとファーストにしないのか教えて欲しいくらいです。

というか北海道公演なんだから、飯野さんを主役にすればいいのにと思います。地産地消と言いますが、地元の人を起用するからこそ、地元の新たなファンを獲得することも出来るはずです。彼女は地元出身というだけでなく、主役を踊る実力も人気も持つバレリーナです。改めて新国の配慮の無さと商売下手っぷりを感じました。

・奥村康祐さん(7/6アラジン)

奥村さんの凄さはなんと言ってもアラフォーなのに、アラジンという少年役を演じても、オッサンの若作り感が一切無いことです。というか若い!どうやってあの若々しさをキープしてるのか教えて欲しいくらいです。
日本のダンサーはいい歳してジュリエットなど少年少女の役を演じたがる人が多いのですが、いくら若々しく見える演技をしたとしても歳を取ったダンサーが若く見えることはなく、基本的には年寄りの痛々しい若作りにしか見えません。ですが奥村さんはまさに少年そのもので、変な若作り感や痛々しさがありません。体型管理など見た目の維持を相当ストイックに行われていると思いますし、ものすごい努力をされていると思います。これは本当に尊敬すべきことであり、奥村さん演じる若々しいアラジンは必見です。

・直塚美穂さんと渡邊峻郁さん(7/6、7/7※ ルビー)

※7/6のみルビーの予定でしたが、7/7にルビー役を予定していた奥田花純さんの怪我降板によりキャスト変更

この2人のパドドゥは実際に東京で見た時に鳥肌が立ちましたし、これぞ「一流✨」と感じさせてくれる強いエネルギーに満ち溢れています。ポーズの一つ一つが美しいだけでなく、会場を小さく感じさせる圧倒的なオーラを感じました。

直塚さんも渡邊さんはどちらも海外でソリストとして活躍していたダンサーで、直塚さんはロシアで、渡邊さんはフランスで踊られていました。この2人は全然違う経歴を持っていますが、直塚さんはロシア時代にパリ・オペラ座元エトワールのローラン・イレール監督のもとで、渡邊さんも元エトワールのカデル・ベラルビのもとで踊っていたからか、2人が組むと不思議な融合感と新鮮さがあり、上手な人同士が組むとお互いを引き立て合ってここまで素晴らしいものを見せてくれるのかと驚愕しました。お2人の積み上げてきた美しさが存分に発揮される素敵な踊りをまた見たいです。
とにかくこの2人のパドドゥを見れるだけで十分S席の元は取れます!

・佐野和輝さん、山田悠貴さん、上中佑樹さん(7/7オニキス)

オニキスは佐野さん、山田さん、上中さんの回が圧巻で、この3人がなぜアラジン役に配役されていないのか不思議なくらいです。佐野さんの踊りは品がよく、上中さんはジャンプをした時の残像が残るくらい空中に静止していました。本当にこの3名はアラジン役にキャスティングされてもおかしくないくらいの実力の持ち主で、次回に期待です😊
ちなみに上中佑樹さんはウィーン国立バレエ学校でナターシャ・マイヤーらと共に学ばれ、スロバキア国立バレエ団ではプリンシパルとして活躍されました!技術力が高く観客みんなを楽しい気持ちにさせてくれる素敵なダンサーで、アラジンどころか本来なら全公演主役でもいいはずなのですが、こんな素晴らしいダンサーをコールドに塩漬けするだなんて新国立劇場は一体何を考えているのでしょうか。内部が推したいダンサーではなく、今回のオニキス3人のように本当魅力のあるダンサーを沢山起用して欲しいです。

・清水裕三郎さん、趙 載範さん、渡辺与布さん、朝枝尚子さん(7/6ゴールド/シルバー)

趙さん以外は今シーズンで退団というベテランメンバー達によるゴールドとシルバーは重厚感があり、荘厳です。ハロウィンのコスプレのような、アニメのキャラクターが着ていそうなキンキラの衣装で出てくるのですが、それを着こなし華麗な踊りを見せてくださる姿は圧巻です。
個人的に好きなシーンはゴールドの清水さんと趙さんがシルバーの渡辺さんと朝枝さんを1人ずつ空中でクルッと回転させながらリフトするという振り付けがあるのですが、踊りや音楽は重厚なのにリフトが軽やかでその対比がとても面白いです。曲は短いのですが、耳に残る思い曲調で、若さとはまた違った深みのある踊りを見せてくれるこの4名は必見です✨

ちなみに日本ではワディム・ムンタギロフが大人気ですが、清水裕三郎さんはイギリスに留学中ムンタギロフのENB時代のコーチである、アントニー・ダウソンさんに師事していました。演技大国イギリスで学ばれていたからなのか清水さんは演技が得意で、普段は演技が多い役にアサインされることが多いですが、今回のゴールドでも独特の存在感と重厚さを発揮しており、大注目です。

・小柴富久修さんと益田裕子さんの掛け合い(7/7サルタンとアラジン母)

小柴さん演じるサルタンと益田さん演じるアラジンのお母さんは必見です。もう見ているだけで死ぬほど笑えます😂

小柴さんはまずバレエダンサーなのに、でっぷりと太ったサルタンをコミカルに演じられていて、肉襦袢に着られている感を一切感じさせません。演技も分かりやすくて面白く、娘のプリンセスにはとことん甘く優しく接し、アラジンには娘を奪われる恨みを晴らすが如く睨みつけるなど、めちゃくちゃ面白いです。ちなみに小柴さんは以前くるみ割り人形でネズミの王様を演じた時も本当に面白くて、とにかく何を演じても観客を楽しませてくれる素敵なダンサーです😂
益田さんも可愛らしくてつい助けてあげたくなるような優しいお母さんを演じられていて、アラジンとプリンセスの結婚式のシーンでは涙を流しながら裁判官と頷き合っていたり、サルタンとちゃっかり仲良くしていたりとなかなか面白かったです😂
とにかく小柴サルタンと益田ママは必見です😂

・小川尚宏さん(7/7エメラルド)

実は小川さんは怪我で降板されたダンサーの代役として配役されたのですが、そんなことを全く感じさせない、ものすごく将来性を感じさせてくれるダンサーだと感じました。滑らかな動きがベースの振り付けですが、睨みを聞かせるところや、ポーズを見せるところはバシッと決まっていて、客席で見ながら「なんか凄く綺麗なダンサーがいる!誰だろう」と感じていました。それだけ観客を惹きつける魅力があり、柔らかくもあり、力強くもあり、艶やかでもあり、素敵なエメラルドでした。

ちなみにググってみたところ、小川さんはなんとベルリン国立バレエ学校出身!ベルリンバレエ学校時代の公演レポートには永久メイさんとよく踊っていたヴィクター・カイシェタの隣に写っている写真もあり、まさかのカイシェタの同級生が日本にいるということに驚きました。
小川さんのエメラルドを見て「凄く将来が楽しみなダンサーだ!」と思いましたが、カイシェタと同時期にベルリンで学ばれていたダンサーなので上手で当たり前ですね。今後ぜひもっと小川さんの踊りを見たいと思いました。

・愉快な守衛の部下と裁判官達(たぶん菊岡さん、上中さん、森本さんなど)

これはつけ髭や衣装のせいで誰がどの日に演じられるか分からないのですが、東京公演では守衛の部下や裁判官役のダンサー達がめちゃくちゃ面白かったので、北海道でもぜひ注目して欲しいです😂
ちなみに守衛の部下はプリンセスのもとに忍び込んだアラジンに対して威嚇するなど出番が多いのですが、この多分菊岡優舞さんらしき方が「シャーッ」と威嚇しながら、アラジンを捕まえようとする姿が漫画っぽく、とても分かりやすくて面白かったです。同じく守衛の部下を演じられていた上中佑樹さんはもっとエレガント路線のお芝居で、私は個人的に上中さんの演技がとても良いと思いました。色々な部下役のダンサーがそれぞれのスタイルで演技しているので必見です。
2人とも演技スタイルは違いましたが、下品でなく、とても良かったです。

裁判官達は全員肉襦袢とつけ髭とカツラを身につけていて、誰が誰だか分かりません😂
が、一番右側の裁判官はアラジンのお母さん役との掛け合いも多く、また出てくる時の歩き方もアメリカのドキュメンタリーに出てくるような太った人の歩き方そのもので、本当に太っているコミカルな人という感じでした。ちなみに情報によると裁判官役は森本晃介さん、山田悠貴さん、古郡士英生さん、仲村啓さんが演じているそうで、一番右の裁判官は森本晃介さんだそうです!ちなみに森本晃介さんのお兄さんの亮介さんは、東京公演では1幕に(たぶん)商人役で出ており、こちらも怪しげな雰囲気に満ちていました。森本兄弟はどちらもドイツのバレエ学校出身なので、アクティングのクラスも多かったのでしょうか🤔

世の中で最も力を持つ白人男性からアジアがどう見えているのか、よく分かって面白い

アラジンの原作は中国がベースだそうで、今回もチャイナ風の衣装や龍などが出てきて、中国や北朝鮮のマーチを見ている気分でした。しかしアラビア語が出てきたり、ペルシャ絨毯が出てきたり、風呂場についてはトルコ風と、正直アジアンテイストがごちゃ混ぜで適当だったのが非常に気になりました。
日本にいると日本やアジアが欧米からどう見られているか意識することは少ないです。振り付けのデイビッド・ビントレーはイギリス出身ですが、世の中で最も力を持つと言われる白人男性からアジアってこう見えているのかなと色々な意味で興味深かったです。

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