元NDT1の小㞍健太さんのワークショップに参加した感想
とてもラッキーなことに、かなり前からずっと参加したいと思っていた小㞍健太さんのワークショップについに参加できました🥰
とても楽しかったのでぜひ感想を書いていきたいと思います。
小㞍健太さんについて
小㞍健太さんは千葉県で生まれ、1999年のローザンヌ国際バレエコンクールでスカラシップを受賞してモナコ公国モンテカルロバレエ団に入団、その後NDT (ネザーランド・ダンス・シアター)で活躍されました。現在は日本を拠点に国内外で振付家、ダンサーとして活躍されています。
私はバレエダンサーとして小㞍さんを知りましたが、世間的にはフィギュアスケート(高橋大輔/村元哉中の「オペラ座の怪人」振付)や演劇界での活躍(演劇版「千と千尋の神隠し」のカオナシ役)で知られていると思います。
小㞍健太さんを知ったきっかけ
初めて小㞍さんを見たのは、森山開次さんが振付した「星の王子さま」を見に行った時です。小㞍さんは飛行士役で出演されていたのですが、明るくて軽快で楽しそうなお兄さんがいるなという印象でした。
その次は「NHKバレエの饗宴 2024」で披露された「幻灯」で、中村祥子さんと演じられた舞台が本当に素晴らしく、2024年に見た舞台の中で一番印象に残っているものの一つです。小㞍さんは出演だけでなく振付も担当されたのですが、2人の身体能力と美しさを最大限に生かした踊りを見せてくれ、コンテンポラリーの強みでもあり弱みでもある「だだっ広い空間」をここまで有効活用できるのかと感銘を受けました。
SandD_小㞍健太 オープンスタジオ『Study for Self/portrait』
「幻灯」にあまりに感動して、小㞍さんのオープンクラスにずっと参加したかったのですが、流石にビッグネームすぎてワークショップはなかなか見つけられませんでした。そんな時に小㞍さんが振付家として活躍する赤レンガ倉庫1号館でのイベントの存在を知り、そこにはパフォーマンスの披露に加え、トークショーやワークショップも!!!!!
私は時間の関係でワークショップしか参加できなかったのですが、Twitter上にはパフォーマンスを見に行った方々の感想を見つけましたので、いくつか共有させて頂きます。
ワークショップの内容と感想
さて、私が参加した小㞍さんのワークショップですが、とても面白く、分かりやすい説明が印象的でした。
例えばバレエはかなり上体を使うのですが、上体を前傾するときは「こんにちは〜と挨拶するように頭を下げてくださいね」とか、後ろに若干反る時は「オペラ歌手が歌う時のように胸を張る」など、誰もがイメージしやすい例を挙げながら説明されていたことが印象的でした。
そしてキリアン配下のNDTで研鑽を積んだ小㞍さんのプロジェクトはコンテンポラリーがメインということもあってか、クラシックバレエはあまり馴染みがない参加者が多く、コンテンポラリーメインの方々の体の使い方が私にとってはとても興味深かったです。
例えばバレエにはアロンジェという動きがありますが、小㞍さんが「アロンジェをもっと意識して」というと、バレエを習ったことのある生徒は上半身を引き上げて、腕をもっと遠くに伸ばすように意識すると思います。ですがコンテンポラリーメインの方は腕を横に伸ばしたままシンクロの選手が水中から上がってくるように動いており、同じ「アロンジェ」という動きに対しても、クラシックバレエの人とコンテンポラリーの人はポーズの見え方や概念が違うんだなと勉強になりました。
このクラスで小㞍さんはかなり上半身について言及されていましたが、コンテンポラリーとクラシックでは上半身や腕の使い方が違うのかもしれないと感じました。
ちなみにクラス後半には「即興」があり、初めてなので最初は戸惑いましたが、これがめちゃくちゃ面白かったです。
最初はみんなで小㞍さんの指示に合わせて同じ動きをしていたのですが、途中からペアを組んで2人で「相手の動きを真似してみる」と言うお題が出て、これがとても面白かった!相手の動きを真似してみると普段自分が動いたことの無い動きが沢山出てきて、「体ってこのように使うことが出来るんだ」と新たな発見があってとても楽しかったです。ちなみに次の日には、膝の内側や、上腕の真ん中辺などにアザが出来ており、今まで使ったことがない部位をいろいろ使ったんだなと思いました。
クラシックバレエの方も楽しかったのですが、個人的にこの「即興」は小㞍さんならではだなと思いましたし、数多のバレエダンサー達が小㞍さんの作品を踊りたがる理由がよく分かった気がしました。
私は今回コンテンポラリーダンサーの方とペアを組んだと言うこともあり、クラシックバレエとは全く違う動きを知れて新鮮に感じましたし、逆に自分が先に動いて相手に真似をしてもらう時などは自分がほぼ同じ動きしか出来ておらず、自分の動きの引き出しの狭さにガックリしてしまいました。
それと同時に思ったのですが、私は普段バレエの舞台をよく見ますが、バレエダンサーが振付したコンテンポラリー作品って結構な確率で退屈でつまらないものが多いです。それは振付に深みも思想もないからだと思っていましたが、もしかして今回の「即興」にパッと対応できなかった私のように、クラシックバレエの動きしか知らず、コンテンポラリーの柔軟性や幅広さに対応しきれていないダンサー(振付師)が多いからかもしれないと思いました。
小㞍さんの作品が人気なのは振付や発想が素敵なだけでなく、おそらくクラシックバレエのダンサー達が今まで体験したことの無いような境地に彼らを連れて行ってくれるからでは無いかと感じました。実は今まで他の振付家やコンテンポラリーダンサーのクラスに何度か参加したことがありますが、ここまで新たな動きを引き出してくださったのは小㞍さんだけです。
小㞍さんの引き出しはとても大きく、彼の発案する動きは多様性に満ち溢れていて、演出も斬新ですがクラシックバレエがベースにあるため変に意味不明なものになることは絶対にありません。踊りの型を大事にしつつもダンサー達を新たな境地に連れていくことが出来る、素晴らしい才能と発想力の持ち主だと感じました。
コンテンポラリーメインの参加者が多いため、バレエの動きに対するアプローチが根本的に違ったり、同じアドバイスをしても受け取り方が全く違って非常に面白いですし、勉強になりました。もしワークショップがあればまた参加したいですし、個人的には基礎メインのクラスであってもプロのバレエダンサーが参加しても楽しいんじゃないかと思いました。
ぜひまた開講されますよう、心から願っています。
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