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伝承の味はかたちを変えてもベースは変わらない。

「スパニッシュオムレツ。」


私が作ると、お好み焼きのよう。


いつだったか子供の頃に母に「このご飯の名前なに?」と聞くと教えてくれた名前。

見た目もオシャレだったし、名前もかっこいい。何より大好きなじゃがいもと卵でひしめき合い、時折顔を見せるハムのピンクがアクセントで美味しくて妹たちと取り合いになる料理のひとつだった。

ただ一人暮らしをしていた頃はなかなか作れなかった。

大きくて1人でなかなか食べきれないから。

材料を一人分にして作ろうとするならできただろう、でもピザのように切って取り分けるのが楽しかったのもひとつ。

なので、結婚をし、子供が同じご飯を食べれるようになってからはよく作る。

けれどこれはメインじゃない。

肉料理のサブだとボリュームも大きいので、我が家では淡白な魚料理のお供によく出番がくる。

今夜はかじきのムニエル。
本当は塩焼きにしようかと思ったけれど、エリンギもソテーしたくてどうせフライパンを出すのならとムニエルにした。

カジキとスパニッシュオムレツは結構な確率でペアになる。

娘も今夜は何?と聞いてきて、この2つの名を伝えると「それ最高の組み合わせのやつー。」と機嫌よく飛び跳ねていた。

おそらく実家でもそうだったような。
そして私は娘のように小躍りはしなかったものの、心の中でにやりと喜んでいたと思う。

さて、このスパニッシュオムレツ。
材料は卵、じゃがいもで比較的安価なのにボリュームをだせる。
私はここに冷蔵庫にある野菜をプラスして一気に野菜を摂らせよう作戦にでたりする。
今回は庭で採れた小さめズッキーニと人参を足した。

半面が焼けて、次はひっくり返す。
このときが毎回緊張する。
今日は油が足りなかったか、
フライパンに引っ付いてひっくり返しに
苦労した。

母はシンプルに卵とじゃがいも、そしてハムだった。

それを私は母の味を思い出しながらも卵に粉チーズを混ぜてみたり、彩り良さそうな野菜を加えてみたりしてアレンジを加える。

私は母のご飯が好きで、一人暮らしの時も、結婚後もその味を自分でも作りたくて母にレシピをよくきいた。

けれど、何かが違いもの悲しくなったりした。

そして今は、このスパニッシュオムレツのように基本はおさえながらも自分のアレンジを加えて、落ち着く味の着地点を定めた。

そうやって母から伝承したほかの料理も同じくで、今は私の、我が家の味になっている。

ただ、なにかが変わってもおさえるポイントはおさえてある。

AがBになったのではなく、AはAのままで、aだったり、A'だったり。

基本は変わらないということ。

だってこれはしつこいけれど、スパニッシュオムレツなんだから。

また娘や息子が、この味をいつかそれぞれのパートナーに作ったり、またはパートナーのおうちの味を食べさせてもらったりしながら、それぞれが自分達の落ち着く味に辿り着くんだろうな。

今夜も子供達のお皿に取り分けたものは、あっという間になくなってて、今はそれを見てにやりとしている。

またとうもろこしご飯。
と息子リクエストの
かぼちゃの冷たいポタージュ。
今日は暑かったし、喉越しよくこれも好評。
よきよき。

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