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北米の前哨戦市場としてのカナダ KW 地域〜Techタレント獲得の第一歩

こんにちは、Tezzanです。きょうも投稿を続けてみたいと思います。

今回は、スタートアップやスケールアップにとって、そのビジネスを国際展開する際に考えるであろう北米市場を取り組む際に参考になると思われる、カナダという国や市場、そして人材についての考察を書いてみたいと思います。

カナダ、特に KW 地域(キッチナー、ウォータールー、ケンブリッジ)を中心に想定して書いていますが、カナダ国内の他の地域についても適用できることも一部あるかと思います。(間違っている点ありましたらぜひご指摘ください!)

カナダ=北米IT市場の試金石&人材獲得場所

広くビジネスの視点でいえば、北米=アメリカ+カナダですよね。で、カナダとアメリカを比べると、

・カナダの人口は3500万人程度で、米国はその10倍以上大きい(=米国のほうが市場が大きい)
・米国は自動車、材料・化学、医療、IT、金融、そして各分野の研究・開発すべてにおいて予算含めての規模が大きい(=ビジネスチャンスも大きい)
・米国はイノベーションで成り立っている国・市場(=食うか・食われるか)

といった感じの情報を多く目にしていて、カナダ市場についてあまり興味がない、もしくは気にも留めていない方も多いかと思います。

ですが、隠れた名店が市場の近くや繁華街ではないところにもあるのと同じように、カナダという国、市場、そしてカナダで鍛えられた人材は、いまや世界の IT 大手も注目する重要マイナーリーグのような形で認識されてきているのです。

カナダのリアリティ

この投稿で言いたいことのひとつは、まずはそんなメジャーに限りなく近いマイナーリーグ、カナダという場所で、日本の企業も一度がんばってみませんか? ということ。

例えば。

Google をはじめとした、メジャーリーグ本国のアメリカの IT 巨人たちですら、カナダへの拠点進出や拡大を積極的になってきているのです。管理人が住む KW 地域においては、Google さんは2020年以降の拠点規模の拡大をつい最近表明したばかり。Google という巨人が、人口40万人規模のカナダの小さい街に、すでに1000人規模の人員を抱えていて、北米の重要技術拠点を構えているのです。

加えて、Google さんはトロント、モントリオール、そして KW 地域含めたカナダの3拠点で、2022年までに人員規模を5000人前後まで拡大を図る、という発表がなされたばかり。

普通に考えれば、なぜカナダ?と思われるかもしれませんよね。私は Google の責任者でもなければ社員でもないので憶測でしか状況はわかりませんが、少なくとも現地に住んでいる経験からすると、

・カナダは移民に寛容な政策を取っている(米国と真逆)
・AI/ML などのテクノロジー分野の活発な研究と官民合わせた支援が豊富(ベンジオ先生やヒントン先生等の著名研究者の存在)
・米国の隣国(ヒト・モノ・カネの移動コストが低い)

といった側面が上記拠点拡大の背景にあるのでは、と予想しています。

地道なインキュベータやアクセラレータの存在

シリコンバレー(SV)地域にはたくさんのインキュベータ団体やテクノロジーファンドが存在していることはよく知られていますよね。しかし、某国通信大手から派生したビ○ョ○ファ○ドみたいなド派手に市場を荒らすほどのインキュベータやファンドはカナダには存在していません。
※カナダにも派手目なファンドがいないわけじゃないですし、何より米国系のその手のファンドがトロントやモントリオール界隈で目立ち過ぎない程度に活動されているのはよく知られている話です。

ただ、総じて言えるのは、カナダの投資家やインキュベータは、ある意味平和的に、そして真摯に事業育成やテクノロジーインキュベーション事業を行っている団体や人物が多いように思えます。(この辺、カナダという国の性格を表しているようにも思えます)

そして、さきほど述べたように、IT 米国大手がカナダ国内で拠点拡大を進めるのと同時発生的に、カナダ内のいろいろなインキュベータ活動も、少しずつ活発に、そして新しいカタチへと進化しつつあります。

キッチナー・ウォータールー地区でもっとも代表的なインキュベータといえば、コミュニテック(Communitech)という団体になります。

Communitech が生まれた背景やそのストーリーについては別の機会にまた紹介したいと思います。いずれにしても、KW 地域においては、Communitech がまさにスタートアップ・スケールアップの母体となって、事業育成を着実に進めています。

KW 地域だけでなく、トロントも文字通りあらゆる分野のスタートアップが生まれるIT産業の集積地となっています。トロントと KW 地域の間は、高速401号線で結ばれているのですが、ここを最近では『Toronto-Waterloo Tech Corridor(トロント・ウォータールー技術回廊)』などと呼ばれたりもしているのです。

ウォータールー地域の経済開発公社では、そんな技術回廊の概要を以下のサイトにまとめて紹介しています。

なぜカナダと日本は相性がよい?

最後に、すんごく自己中な分析でまとめたいと思います。ここまで、カナダという市場の特性、特に昨今の IT 分野におけるカナダ市場の概要を紹介してきましたが、私の10年以上に及ぶカナダビジネスの経験で声を大にして言いたいのは、カナダと日本は、実はめちゃくちゃ相性がいいんじゃないか?ということ。

いくつかの視点(これまた自己中)があるかと思いますが、ひとつだけその相性の良さを述べてみます。

◎意外にも礼節を重んじるヒトが多い

礼節といっても、お行儀がよいとか型通りの行動のことじゃないです。もう少し本能的かつ本質的な、人への感謝とか挨拶、親切さ、他者への理解や気遣い、などの人間同士のつながりの部分において、決してフランク過ぎず、しかし型にはまりすぎているわけではなく、人間のココロが通ったコミュニケーションを大事にしているところがカナダにはあると感じています。

忖度などではなく、正しく他人を思い、他人への優しさを尊重する姿勢がカナダという国にはあるように思うのです。

もちろん、ビジネスにおける厳しさは日本とは比べ物になりません。リストラや解雇は正しくアメリカ的に容赦なく実行されます。

ただ、どことなく、日本人の忠臣蔵的な感傷マインドに通じるような優しさが、カナダにはあるように思えるのです。
※筆者は、米国にも数年住み、米国企業も経験しています。その米国経験とカナダでの経験を比較しての個人的意見です。当然ですがこれに合致しないような人や企業だって多々あるものと思います。

米国に物理的に近く、多民族で文化の多様性を数十年に渡って築き上げ、比較的平和主義で、米国ほどの人材獲得インフレではなく、しかし米国に匹敵するほどの優秀な人材を輩出する国、カナダ。

北米ビジネス展開の前哨戦として、有能人材の獲得場所として、ビジネスインキュベーション組織のネットワーク拡大場所として、そして何よりは日本企業との連携効果拡大のための取っ掛かりとして、カナダ市場は注目に値するものと思っています。

筆者は、そんなカナダの IT 集積地である KW(キッチナー・ウォータールー)地区に長らく住んで、ネットワークを広げたビジネスを展開しています。興味ある方、コメント・質問のある方からのご連絡を待ってます!



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