見出し画像

ゲイの性自認と家族.2

すっかり様子のおかしくなった僕に、痺れをきらした父が、僕の部屋に殴りこみにきました!!

「なんで家族にそんな口の利き方なんじゃ!!言ってみろや!!何もかも全部お前の勘違いや!!」

泣いてる僕をビンタする父親。怖い、怖すぎる!!オカンはその隣でじっとしてるけどなんなの!?
きょ、脅迫だ……。
このひと、こんなことする人だったんだ……!!

前の記事にも書きましたけど、僕ね、お父さん子だったんです。お父さんサイコーですよ。それがこの瞬間を境に、僕にとって世界で一番サイテーな奴に早変わりです。暴力をふるわせたのは僕ですけど、間違ってもそんなことするはずがないと思い込んでました。

うすうす感づいてる人いると思います。僕ね、思い込みが激しいんです。それが崩れたら、とても脆い。両親がすべてだった僕にとって、両親の否定は自己否定に等しく、心はもうボッロボロでした。

どうせ自〇するんなら、その前に親父を〇そう!!ぜってー許さねえ!!

そんなことを夢に思いながら、高校に通ってました。
青春が台無しですよ!!ほんとに勿体ない。
でもどれだけ時間がたっても、死ぬ勇気が出ません。当たり前です。
死にたくなんてない。この体で生きられないだけ。
生きたくない。この体を許せない。

そんな後ろ暗いことを考えながら一年が過ぎた頃。
中学の同級生に、カミングアウトしたんですね。
そのとき、何もかも停滞してたんです。生きることも死ぬことも。ウォーキングデッドみたいなもんですよ!僕の心は一年以上、いつでも崖から飛び降りられるような位置に置いてあったんですけど、どうしようもなく冷え込んじゃったの。死ねないなら、生きるしかない。頑固者で強情なんで、いまさら陸側に近づくことはとても億劫でしたけど、動かないのに限界来ちゃって、泣きながら友達に打ち明けました。
「何も思わないよ。話してくれてありがとう」
って言ってくれました。
この頃から少しずつ、カミングアウトする対象を増やしていきました。

なんだかとてつもない思い違いをしていた気がする。
ゲイって……キモがられないの…?
初めて前向きに、ゲイについて調べ始めました。

皆さんは人口に対するLGBTの割合ってご存じですか?
大体8%くらいって言われてますね。
僕ね、それを知った時めちゃくちゃ驚いたんです。クラスに一人はいるんだ!!??もっと孤独だと思ってた!!!だって出会ったことないし!!!
少しずつ自分の置かれた状況を確かめるために、動き出しました。そしてそれには、避けては通れないことが。両親との和解です。

思い切って叔母にカミングアウトしたら、思わぬアドバイスを受けました。
「それ全部、あんたのお父さんとお母さんに話したら?」
なにもかも、ぶちまけたらええねん。お前らのせいって思うんなら、そう叫んだらいい。あんたの感情を全部、受け止めさせたったらええねん。

当時の僕は、死ぬまで両親に打ち明けるつもりがなかったんです。余裕がなくなれば、余裕のない他者を傷つける人たちですから。僕と全く同じなのでわかります。言えば絶対に傷つけられることになる。
渋る僕を、なおも叔母は説き伏せました。
「がんばるねん。がんばれ」
「………いつ?いつぶちまけるん?」
「今」
僕が何を思って生きてきたのかを全てメールに打ち込んで、叔母の家から、両親にメールを送りました。まもなく両親から叔母の家に電話がかかってきます。叔母が電話で応対している間、びっくりするくらい冷たくなった僕の右手を、叔母はずっと握り続けてくれました。

次回!お母さんの優しさ!
明日21時ごろ更新!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?