診断士試験の通説『"二次試験は国語力"では通用しない』について

今回は「二次試験は国語力って言う人がいるけど、以前と違って今の試験はそれじゃ受からない」「知識が重要」論についてです。なお読み手は診断士界隈を想定の上、事例Ⅰ、Ⅱ、Ⅲメインで語ります。

結論から述べると、「国語力が重要と仰る人は、知識を十分に固めた上で表現力を磨いている人である」、すなわち、「知識も国語力もどっちも超重要」というお話です。
ここでいう知識とは、中小企業診断士としての知識(=一次試験の知識)を指し、十分に固まっているとは、それらを自分の言葉化している状態のこと、国語力は読み書きを通じて相手に伝える力と定義します。

気付きに至るまで

(前置き:以下、次の小見出しまで読み飛ばし可です。n=1の体験談につき、ふーんそうなんだぁーで結構です。笑)

一次試験が終わり8月中盤から本格的に二次試験の勉強を始めると、一次試験で得た知識が使える状態になっていないことがわかりました。制限80分の問題を、3時間かけても、まったく書けないのです。なるほど知識の整理が必要だなと、まずは二次試験向けに知識の再定着を図りつつ、論点を押さえること、解答プロセスを身に付けることを目指しました。

勉強方法は①1日1事例ペースで解く、②ふぞろいでキーワード確認、③重要キーワードが漏れた原因の分析と対策の検討、④『ざらい』で解説を確認、⑤80分のプロセスの振り返りと改善策検討、を毎日繰り返しました。

なお二次の主教材(事例Ⅳは除く)は、①黄金手順、②ふぞろい15年分、③TBC速習2次テキスト(いわゆる抽象化ブロックシート、④LEC 総ざらい道場(いわゆる『ざらい』)です。9月中旬に『まとめシート流 解法実況』5年分を追加しました。一次はスタディングが主でしたが、二次ではスタディングはほぼ使いませんでした。但し、最後の1週間で集中的に活用しました。

外部の模擬試験は開催時期に自分の力が付いていないので受けないと決めていたので、ようやく解き方が身についてきた10月にセルフ模試を行いました。
本番2週間前にR1年度を使い、ふぞろい採点で59、84、58。自己評価としては及第点、まだ2週間あるから大丈夫、という心境。
そして10日前にH26年度を使い、事例Ⅰで32点を叩き出したのです。絶望と共に、もう笑うしかありませんでした。

そしてここでようやく気付いたのです。
論理的思考がまったくできていないことに。

ここまで2ヶ月強、因果関係が分かるように書くことはずっと意識していました。でも、因果と論理とは全然違う話だったのです。まだ会得していないので主観的な物言いになりますが、因果関係で書くというのは表層的な技法であり、論理的思考という骨格の部分がしっかりしていなければ、同じ問題を解いても毎回違う解答になってしまうのではないかと思うのです。

気付きから試験当日まで

10日後に本試験を控えた私は、例えるならクラゲでしょうか、骨なし、甲殻なし、大海に漂う頼りない個体…。夏の終わり、砂浜に無惨に打ち上げられたクラゲ…。

…を試験後の自分に重ねたかは定かではありませんが、ここからロジック推しのスタディングに舞い戻り、①与件からどのように論理展開するのか(論理的思考)、②自分の論理展開を読み手に伝えるにはどのように書くのか(国語力)、この2点に意識を集中して取り組みました。

直近5年の事例をぶん回し、気付いたことは、合格答案がいかに与件から論理的に解答しているかという事です。必要な知識に基づき、論理的に解答を組み立ててみると、キーワード採点で平均80点くらいになりました。各事例3回目なので要素は記憶しているのも勿論あります。しかし、先人達の再現答案を見て、与件から論理的に導いた内容と、知識で補足した部分が分かるようになり、一気に二次試験への解像度が上がったように感じました。論理的思考こそが知識と国語力の架け橋であり、この3つを強化すれば合格点は難くない、その確信があります。

ただ、知識をどのくらい織り込むのか、ここのバランス感覚を養成するには時間が足りなさ過ぎました。なんせこの新しい課題が生じたのは本番3日前でしたから…来年も挑戦するならこの部分から研究するつもりです。

また論理的思考は一朝一夕で身につくものではなく、見様見真似で本番を迎えることになりました。独学なので、国語力(相手に意図が伝わるか)のほうにも不安があります。それでも、事例ⅠとⅡは(設問要求を大きく外していなかったら、採点者に伝わる文章になっていれば、盛り込むべき知識がいくつか漏れたものの、)なんとか60点は取れただろうと思っています。事例Ⅲは論理立ての練習が不十分だったため、残念ながらさほど自信がありません。

このドタバタを経て捻り出した答案に何点の評価が与えられるのか、仮説の検証結果がどうなるのか。合否よりこっちのほうが楽しみだったりします。こんな楽しみ方をしている人は稀でしょうね。


以上、国語力と知識の両方ともが非常に大切であり、それを繋ぐ論理的思考を養うべしという見解について述べてきました。想定文章量の2倍になってしまいましたが、読み手に意図が伝わる文章になっていたでしょうか。精進して参りたいと思います。

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。またお目にかかれますと幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?