児童養護施設職員【宿直勤務がしんどい】
【宿直勤務がしんどい】
児童養護施設での仕事で、どの職員も口を揃えて言うのが、「宿直勤務がしんどい。」です。
私も、同じことを何度も思っています。
今までも、今も、そしてこれからも思うでしょう。
宿直勤務はしんどいです。
私が今まで1番長く眠ったのは、最大で5時間ぐらいです。
これを聞いたら、「結構寝てるじゃん。何を大袈裟な。」と思う方もいるかもしれません。
看護師の方に言わせれば、「こっちは夜勤で2時間しか寝てないよ。5時間あれば楽勝じゃん。」となるかもしれません。
しかし、この5時間は、今まで宿直してきての最大です。
私は10年以上児童養護施設で勤務していますが、仮に10年を平均して1ヶ月8回宿直してきたと仮定すると、総宿直回数は960回になります。約1000回です。
1000回の最大が5時間です。
一睡も出来ずに朝を迎えたことも、10回以上ありました。
子どもたちが落ち着かない時期は、2時間寝れれば良く眠れたという日もありました。
そんなに遅くまで眠れないなんて、仕事が遅いんじゃないの?と言われるかもしれません。
しかし、児童養護施設の仕事って、際限なんてないんですよ。
子どもたちの要望は青天井だし、児童相談所に求められる書類の作成や子どもたちの記録、それ以外にも施設のルーティンや外部支援機関との交渉など、施設職員の仕事は多いのです。
そのすべてを日中に行うことなどまず不可能です。子どもたちの対応もしますしね。
子どもたちが寝たあとか、学校に行っている間にしか事務作業は出来ません。
中高生がいれば0時まで話し相手になることもあります。
幼児さんがいれば6時には起きてきます。
その隙間の時間に事務作業をして朝を迎えます。
起きたからといって、全員が学校に行けるわけではありません。
不登校の児童は多いです。
こうして、寝る時間も事務作業をする時間も、なくなっていくのです。
休日の時間の過ごし方を聞いて、「寝てるだけですよ。」という職員が多くなるのです。
労働基準法では、宿直は21時から翌6時までの間となっています。
法律による宿直業務で求められることは、「そこにいること。」です。
簡単な軽作業なら4回まで認められます。
それが本来の「宿直」の定義です。
しかし、児童養護施設職員の作業は、「4回の軽作業」では終わりません。
21時に寝ることもありません。中高生も起きていますしね。
もう、宿直と呼んではいけない気がしますね。
なので、児童養護施設は従業員と36協定を結びます。同意の上で、そのように宿直していると、証明するためですね。
それは法律違反と言われると、違反じゃないのです。
むしろ、法律を守ろうと尽力していることに感激です。
では、宿直業務は嫌なことばかりなのでしょうか。
【児童養護施設の宿直の魅力】
私は、児童養護施設職員の大事な仕事は、宿直業務に集約されていると思っています。
そもそも、睡眠が安定して取れている子は、健康度が高いです。
だから、安心して眠れるように対応することが、施設職員の仕事の醍醐味と言っても過言ではないと思っています。
安定している子は、夜安心して眠れます。
安定していない子も、夜安心できれば眠れます。
子どもたちの安心のために、職員は尽力します。
寝かしつけをしたり、子どもの話を聞いたり、勇気づけたりします。
この時、職員の技量が問われるのです。
仕事のできる職員は、夜の時間をとても大事にするのです。
なぜなら、就寝前の時間に、子どもたちからいろんな話を聞くことが出来るからです。
子どもたちは、リビングでは言えないことを、安心できる自分の寝室でなら言えるのです。
ここでの話が、職員との関係性をはかる上で重要な意味を持つのです。大事な話は、信頼している職員にしか言いません。
また、子どもたちは自分の秘密を打ち明けた時の大人の反応を見ています。
次も秘密を打ち明けられる人なのか、見ています。
そうして、こちらが安心できる人間だとわかるまで、本当のことは言いません。
だからこそ、寝る前の時間に集中するのです。
中高生は寝かしつけはしませんので、就寝前の時間にリビングや職員室で一緒に過ごします。
この時も、大事な話が出ます。
夜は、人生で意味のある時間を過ごすことに向いている時間なのです。
私も、今までの勤務で心に残った話は、宿直勤務の時に起きていることがほとんどです。
親の話や自分の話、友達の話や恋人の話など、大事なことは大事なことを言える時間と場所でしか言えません。
なので、冒頭で述べたように、宿直はしんどいのですが、宿直がすべてなのです。
児童養護施設で働く皆さん、宿直しんどいですよね。
がんばりましょう。
そして、夜にまた、子どもたちとの時間を楽しんでいきましょう。
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