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293 マッサンの愛した街・余市でウィスキーを堪能する。
この夏は久しぶりに北海道を旅しました。
大学時代4年を過ごし、その後も何度か足を運んだ北海道ですが、まだ訪ねていない街は数多くあります。
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その一つが小樽市の隣に位置する余市町。
今回余市を訪ねようと思ったのは、この町を通る函館本線が近い将来廃止されてしまうから。
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北海道新幹線が札幌まで延伸されるのに伴い、並行在来線にあたる長万部から余市経由小樽までの区間は廃止されることが決定しているのです。
ただ、余市から小樽までの間は学生の利用も多く、バス転換したあとにそれだけの輸送能力があるか不安視されています。現在もバスが多く走る同区間ですが、さらに増加するバス需要をどう受け入れていくのかしっかり検討することが必要だと思います。
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さて、廃止が決定している余市駅を出ると「マッサン」の記念碑?のようなものが出迎えてくれます。
余市の観光客が飛躍的に増加したのは、NHK連続テレビ小説「マッサン」が2014年に放送されてから。
「マッサン」とはこの余市で本格的なスコッチウィスキーを製造する大日本果汁株式会社(現在のニッカウヰスキー)を創業した「竹鶴政孝」の愛称。ドラマの主人公のモデルとなった竹鶴の妻、リタが竹鶴のことをこう呼んでいました。
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当時は珍しかった国際結婚をしてはるばるスコットランドからこの地にやってきて竹鶴を支えたリタは余市でも愛される存在であり、町のメインストリートはリタロードと愛称がつけられています。
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駅前からリタロードを歩いていくと、ヨーロッパの古城の城門のような建物が現れます。これがニッカウヰスキー余市醸造所。駅からすぐの一等地に居を構えています。
竹鶴政孝が余市に醸造所を建てたのは1934年。大消費地である都心部から離れているものの、スコットランドに似た気候で、良質の水のあるこの地こそ本格的なウィスキーを造るのにふさわしいと考えて工場の建設を決めました。
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工場見学の受付をすませ、門をくぐると赤い屋根のかわいい洋風の建物が並びます。なんだか工場というよりもどこかの国のテーマパークみたいですよね。きれいに三角に駆られた並木もかわいらしいです。
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工場見学に参加した8月11日は夏休みのど真ん中ということもあって、見学の予約は終日満席。わたしは4週間前の予約開始日にすぐに予約を入れたので無事参加することができました。早めの予約をお勧めします。
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ツアーはだいたい20名ほどでガイドの案内のもとに製造工程を追って工場内をめぐり歩きます。
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ニッカの特徴はこの蒸留所。もろみを2回蒸溜してより濃度の高いウィスキーを作り出しますが、その燃料は今も昔と変わらない石炭。これによりより重厚なモルトウィスキーができるのだそうです。
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左から2番目の小さなポットスチルが創業時に使っていた初代のもの。資金がなく小さいものしか買えず、これ1つで2回の蒸溜を行っていたそうです。ポットスチルは日本にほとんどなく、その製造過程でも竹鶴が細かい指示を出していたそうです。今でもポットスチルはニッカのシンボルマークとしてラベルなどに描かれています。
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こちらは竹鶴が創業当時に執務を行った事務所棟。
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そして研究所として1984年まで使われていた「リタハウス」。どの建物を取っても工場といったイメージはなくスコットランドの農村の中にいるような錯覚を覚える建物たちです。
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このリタハウス、近年まで喫茶店として活用されてきましたが耐震基準の問題があって残念ながら閉館してしまいました。今は敷地内に新しくできたショップ内の「リタズキッチン」でウィスキーを楽しみながら料理を楽しめるレストランがあります。
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こちらは竹鶴とリタが暮らしていた私邸。当時はここにはなく余市の郊外にあったのですが、2002年に移築されました。リタが暮らしやすいようスコットランドの様式を取り入れた家になっていますが、2階には障子がはめられ、庭に石灯籠もあるなど和のテイストも取り入れられています。
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最後に紹介されたのは貯蔵庫。
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こちらはイミテーションですが、この奥にはここで製造されたウィスキーが木樽に入れられて眠っています。ウィスキーの味は樽で決まるといわれています。竹鶴は樽づくりにもこだわり、腕利きの職人を招き入れてウィスキー樽を作らせたそうです。樽を主に製造していた宮城峡には現在ニッカの第2の工場が造られています。
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さて、工場見学が一通り終わったらおまちかねの試飲ターイム!
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テイスティングホールではおなじみ「ニッカのおじさん」が出迎えてくれます。
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時期によって違うのかもしれませんが、今回はシングルモルト、スーパーニッカ、アップルワインの3種類をテイスティングさせてもらいました。
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シングルモルトはトワイスアップ(水:酒が1:1の割り方。氷は入れません)、あとの2つはソーダ割がおいしいんだそうで、勧められたとおりに飲んでみました。朝から上等なウィスキーで乾杯。なんていい日なんでしょう。
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工場見学は予約が必要ですが、ショップに隣接するニッカミュージアムには予約なしで入ることができます。ニッカウヰスキーの歴史のほか、深い愛情で結ばれた竹鶴とリタの歩んだ軌跡を知ることもできます。
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ウィスキーをこよなく愛し、高い品質のウィスキーづくりに妥協を許さなかった竹鶴政孝。その妥協を許さない姿勢があったからこそ余市に蒸溜所が建てられ、今日の余市の姿があります。ぜひ一度余市を訪ねていただき、薫り高いウィスキーを堪能していただきたいと思います。
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