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夏の甲子園の注目選手を身体形態(身長、体重)からピックアップする〜2023年夏バージョン〜


はじめに

週刊朝日が休刊になった影響で、今年はAERAの増刊号として甲子園2023ガイドが発売になりました。

発売日の8/3にデータを集計してみましたので、昨年書いた「身体形態から注目選手をピックアップする」の今年版をやってみたいと思います。

身長、体重の数値はあくまでもチーム側からの自己申告という前提はありますが、まとめていくと様々な傾向が出てきます。

昨年の記事は次の記事をご覧ください。

身長、体重に特徴のあるチーム

「甲子園 2023(AERA増刊)」を参考に筆者集計。北陸、履正社、宇部鴻城、花巻東、明桜、富山商、浜松開誠館は甲子園出場メンバーの記載がなかったため地方大会の背番号1~20を対象としている。

まずはチームごとの平均身長、平均体重を見てみましょう。

日大三慶応智弁学園仙台育英など甲子園常連校が身長、体重の上位に顔を出す中で、春夏通じて初出場を果たした3チームが興味深い位置にいます。

まずは静岡を勝ち上がった浜松開誠館。平均体重は出場49チーム中トップで、ガッチリした体型の球児が多いチームのようです。体重÷身長×100で計算され、体格の良さを表す比体重でも浜松開誠館の選手20名の平均がトップです。

比体重の2位は東東京の共栄学園で、下の記事にある通り身体を大きくすることをかなり重要視していたようです。

この他、初出場のチームでは東京学館新潟も比体重で10位に位置しています。

共栄学園が最も特徴的に報じられていますが、これらの春夏通じて初出場のチームは、他のチームに比べても身長に対する体重の比率が高く、甲子園出場を叶えるためのパフォーマンス向上の手段として、体格を良くすることの優先順を高めていたと考えられます。

なお、よく使われる指標にBMIがありますが、BMIは身長が高いと数値が低く出やすい指標なため、プロ野球選手の体格を簡易的に表す上では比体重の方が良いとされています。

比体重とパフォーマンスに関しての考察は下記も参考にしています。

体重から志望量を除いた除脂肪体重の方がより野球のパフォーマンスに直結する指標だとは言われていますが、甲子園ガイドにはそこまでのデータはないので、比体重で代用しています。


身体形態から注目したい選手は?

「甲子園 2023(AERA増刊)」を参考に筆者集計

次は特徴的な選手を見ていきます。まずは長身選手について。190cm以上の身長が昨年は5人いましたが、今年は3人となっていました。

トップ5のうち投手が3人、野手では針金侑良(日大三)真鍋慧(広陵)がランクインしており、ともに強豪校を引っ張る中心打者として活躍が期待されます。

「甲子園 2023(AERA増刊)」を参考に筆者集計

投手のみに焦点を当てて身長の大きい投手を並べてみると、今年は下級生の存在が目立っています。トップ10(10位タイがいるので13人)のうち、9人が2年生以下と、3年生よりも下級生に身長の高い投手が目立ちます。

特に、エースナンバーを背負っている右腕・十川奨己(立命館宇治)、左腕・河野伸一朗(宮崎学園)という左右の大型投手には注目です。

また、1年生の植上大雅(英明)など、夏の地方大会で登板がないにも関わらず、地方大会に引き続きベンチ入りを果たしている投手も何人か見られます。

植上は6月に行われた日大三の招待試合での登板経験があるそうです。

ベンチ入り人数が今年から20人に増えたこともあり、各校は投手枠に少し余裕ができています。「大会直前に調子を上げてきた長身投手が甲子園でベールを脱ぐ」という場面が見られるかもしれません。

「甲子園 2023(AERA増刊)」を参考に筆者集計

次に、投手の比体重ランキングを見てみましょう。エースナンバーである背番号1の投手だけに限ったランキングを見ると、徳島商を12年ぶりの夏の甲子園に導いた森煌誠が1位です。

下記のスポニチ潜入取材の際は体重が86キロ(説明欄は88キロ)の表示ですが、甲子園ガイドでは89キロと、さらにスケールアップしています。

2位以下もプロ注目の投手が並んでおり、中でも昨年の胴上げ投手・高橋煌稀(仙台育英)や今春のセンバツベスト8の平野大地(専大松戸)がどのような投球を見せるか注目です。

「甲子園 2023(AERA増刊)」を参考に筆者集計

エースナンバー以外では田中聖人(クラーク国際)がトップ、熊谷陽輝(北海)堅田紘可(高知中央)と続きます。熊谷と堅田は元々エースナンバーを背負っていた投手ですが、打者としても中軸を担う存在で、今大会の背番号は3となっています。

「甲子園 2023(AERA増刊)」を参考に筆者集計

野手も含めた全体の比体重ランキングでは、高校1年次から世代を引っ張る存在として報道されている佐々木麟太郎(花巻東)佐倉俠史朗(九州国際大付)の両打者の数値が傑出しています。

この2人に先ほど身長で紹介した針金と真鍋を加えた4名は、今大会特に注目したい打者です。

「甲子園 2023(AERA増刊)」を参考に筆者集計

一方、昨年は浅野翔吾(高松商→巨人)というドラフト1位選手がいたセンターラインに目を移すと、比体重が45を超える選手は昨年11人から今年6人と減っており、50を超える選手はおらず、圧倒的に目立つ存在はいません。

横田優生上村陽大と2人がランクインしている初出場の共栄学園が甲子園でどのような戦いを見せるかは、今後甲子園出場を狙う学校のトレンドにも影響があるはずです。

開幕日に昨夏ベスト4の聖光学院との対戦が組まれていますが、実績十分の相手に対してどのような試合を見せるか興味深いです。

開幕前に比体重ベストメンバーを選ぶ

「甲子園 2023(AERA増刊)」を参考に筆者集計

各背番号で最も比体重が大きい選手をピックアップすると、上記のようになります。パワフルなメンバーが顔を揃えています。

まだ紹介していない中で注目は、大阪大会で負傷してスタメンからは外れるものの、代打本塁打を放った坂根葉矢斗(履正社)、甲子園初出場を手繰り寄せたポイントゲッター・斎藤崚雅(宮崎学園)、プロ注目の外野手・松本大輝(智弁学園)の名前は覚えておいて損がないと思います。

また、背番号18の比体重ナンバーワンは杉田結翔(鳥取商)ですが、記事によると彼はマネージャー的な役割を担っているようです。

20人がベンチ入りできることで戦術に様々なオプションをつけることができており、杉田のような役回りはもしかすると大会の象徴するようなポジションかもしれません。

鳥取商の初戦は履正社ですが、強豪を相手にどのような戦いを見せるでしょうか。

以上、身体形態から注目のチーム、選手をピックアップしてみました。

今回も雑誌から手作業でデータを集計しましたが、本来はこのあたりの統計情報は野球の振興に意義のあるものだと思いますので、過去のものも含めて主催者側でまとめていただけるととても良いのではないか、と最後に書いておきます。

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