大麻、サイケデリック、ニコチン、アルコールに出資するVC「VICE VENTURES」
※本記事はCANNABIS INSIGHT(カンナビスインサイト)にて公開した記事を転載したものになります。
※筆者:たかおみ|CANNABIS INSIGHT運営者
皆さん、こんにちは。
海外の大麻・CBDニュース・トレンドをお届けする「CANNABIS INSIGHT」のたかおみです。最近は「週刊カンナビスニュース」をメインに記事を書いており、ニュースの調査ばかりしていましたが、コアな読者から考察記事も読みたいとのお声をいただいたので、久しぶりに大麻・CBD業界を考察・リサーチ記事を書きたいと思います。そして、折角の機会なので考察・リサーチ記事は毎週水曜日にLINE公式にてメルマガ的に配信していきます。
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今回の記事は、世間一般的に「悪い」と言われている市場で事業展開をしている企業に投資をする海外ベンチャーキャピタルの「Vice Ventures」についてまとめていきます。
日本のCBD市場は政治の影響を受けやすく、現法では大麻の栽培ができないことから海外から仕入れた原料でプロダクトを開発し、D2Cや小売として商品を販売することが主流となっています。(ヘンプ産業は一旦置いといて)販売方法が限定的なことから出口戦略が描きづらく、VCからの資金調達が難しい現状があります。
一方で、大麻が合法化されている国では大麻の栽培、販売(THCを含む製品)、研究ができることに加え、大麻特化の顧客管理サービスやマーケティング支援の事業も多くあることからM&Aや上場事例が年々増えています。そして、成功事例があることから大麻スタートアップ企業がベンチャーキャピタルから資金調達をされるケースも増えています。
現在、日本のVCでCBD事業に積極的に投資しているところは数少ないと思いますが、海外では大麻・CBDに出資しているVCがいくつもあります。今回はその中でも大麻含め、世間一般的に「悪い」と言われている産業に積極投資をしている「Vice Ventures」の思想やポートフォリオについてご紹介します。
Vice Venturesとは?
出典:Vice Ventures 公式ホームページ
Vice Venturesの公式ホームページはとてもシンプルで見やすく、自社の紹介文面がまとめて書かれています。その文面を翻訳してみるとこのように書いてあります。
【日本語翻訳】
Vice Venturesはアーリーステージのスタートアップ企業を対象にしたベンチャーキャピタルで、創業メンバーは金融系出身のCATHARINE DOCKERY氏をはじめ、経済学専攻者、コンサルティング、大麻事業へのアドバイザーなど様々なバックグラウンドを持った方々がいます。Vice Venturesは大麻業界だけではなく、アルコールやニコチン、サイケデリック、ゲーム、ベイプなど大企業や一般企業が参入しないかつ、大きな成長が期待されている市場で活動している企業に出資をします。
それでは、Vice Venturesはどのような企業に出資をしているのでしょうか。次は具体的に出資企業を見ていきます。
ポートフォリオ
こちらがVice Venturesのポートフォリオになります。一覧の中に日本の企業はありませんが、デザインやキャッチコピー、プロダクトなど参考になる魅力的な企業が多くあります。
大麻成分入りドリンク|Recess
サイケデリック×ウェルネス|gwellamushrooms
タバコの葉や茎は一切使用しないニコチンプロダクト|BlackBuffalo
自己表現でき、サスティナブルな下着ブランド|Parade
カフェインとビタミン入りのブレススプレー|Pzaz
会員数10万人越え、スポーツベッティング|GreenRun
ナチュラルカフェインカクテルのD2Cブランド|DELOCE
これらの他にもゲーム、セクシュアル・ウェルネス、ベイプなどの市場で活動している企業に出資をしています。「こんな産業もあるんだ」と思った方も多いのではないでしょうか。もちろん、国によって規制や法律が異なるので、日本で全く同じことをしようとしてもできない場合が多いと思いますが、どの事業も新しい産業になり得るポテンシャルを持っています。
Vice Venturesの思想
私は代表のCATHARINE DOCKERY氏によって書かれたVice Venturesについての記事を発見しました。そこには世間一般的な「悪い」に投資をするということに対して、「悪に染まらず、悪に投資することができるのか」という哲学的で強気な「投資家」としての姿勢や考えについて書かれていました。代表のCATHARINE DOCKERY氏は「完全にクリーンな事業を探すのも難しい。巨大ITプラットフォームも個人情報の取り扱いが問題になっていたり、気候変動や環境問題に加担して問題になっている企業も世の中には多くある。」と述べています。確かに、便利さと引き換えに倫理的に良くないことをしている企業は多くあると思います。私は資本主義社会で生きている限り、産業が飽和化し競争が激しくなり、倫理的に良くないことをしてマネタイズするケースが増えることは仕方がないことだと思います。しかし、ここでCATHARINE DOCKERY氏が伝えたいことは倫理的に悪い行いをしてお金稼ぎをしている企業と世間一般的に悪いと言われる企業にそこまで大差はないということではないかと思います。例えば、個人情報を提供してITで便利になることと大麻を使用して幸福度が上がることはあまり違いがないような話です。どの企業にも大きな差がないということならば、その企業が持ってる企業哲学や消費者の課題とどう向き合うのかの方が重要であるとCATHARINE DOCKERY氏は考えています。
CATHARINE DOCKERY氏は世間一般的に「悪い」とされているプロダクトは社会にとって負になる可能性を大いに秘めていることを理解した上で、人を傷つけず経済成長を目指していくことがアンダーグラウンド産業の課題になっているとのことです。
これらのことから、CATHARINE DOCKERY氏はバランス感覚を持ちつつ、特殊な企業へ投資されていることがわかります。
CATHARINE DOCKERY氏は「倫理観や顧客と向き合う姿勢が一番重要であり、それらのことが失われているといいプロダクトとは言えない。逆にそれらのことが満たされているプロダクトならば、世間一般的に悪いと呼ばれる企業でも良い」と判断されています。そして、世間一般的に「悪い」と言われる産業に投資することによって大きなリターンと社会への影響力を手に入れることが期待できるとのことです。
代表の思想性からVice Venturesは自由に気ままに投資をしているのではなく、哲学やポリシーがあって投資を実行しています。この点がVice Venturesの魅力的なポイントになります。
最後に、Vice Venturesが魅力的なプロダクト・人であるかどうかを見極めるについて考え、策定したガイドラインを共有したいと思います。
日本語翻訳
大麻・CBD産業とVice Ventures
ポートフォリオでご紹介した「Recess」は大麻成分(CBD)入りのスパークリングウォーターを販売しています。
CBDスパークリングウォーターを運営する企業に投資をしているものの、Vice Venturesのポートフォリオを見る限り、大麻愛好家やハード層に受けるTHC入りの商品を販売しているスタートアップには投資をしていないように思えます。ここに掲載している企業以外にも出資をしている場合もあるので、一概に「出資してない」とは言えませんが、見当たらないのが現状です。
チームメンバーのCHRISTINE YI氏は大麻企業のアドバイザーをしていたことから大麻についての知見はあるはずですが、おそらく相性や出口戦略のような観点から投資を断っている可能性もあります。
世界を見渡せば、大麻スタートアップ専門に投資をしているVCは数多くあります。実際に上場している企業もあり、一般の方でも株を購入できる環境も整えられてきました。大麻産業は世間一般的に「悪い」と言われる産業の中では投資金額が高く、世間に認められつつある産業に成長しているのかもしれません。そうなると大麻特化型ではないVice Venturesが大麻スタートアップへ投資をしなくても良いのかもしません。
ポートフォリオの中にあるサイケデリック、スポーツベティング、ニコチンなど、まだまだ世間一般的にイメージが悪い(国によって違うと思うが)産業へ投資をする方がVice Venturesにとっては旨味があるはずです。
要するに、Vice Venturesのポートフォリオに大麻系プロダクトが少ないのは、大麻が世間一般的に受け入れ始められ、投資金額や競合が多くなっていることからリターンの旨味が減っており、もっと世間一般的に「悪い」プロダクトに絞っているからかもしれません。
ここまで、Vice Venturesのことを紹介してきましたがいかがでしたか。
私は投資哲学アリ、興味深いプロダクトアリの魅力的なベンチャーキャピタルだと思いました。記事の最後にも述べましたが、実は大麻スタートアップに出資をしているVCって数は多くないにしろ世界を見渡せばいくつかあります。ラッパーのSnoop Dogg氏もベンチャーキャピタルに所属して大麻系のスタートアップに出資をしています。
ベンチャーキャピタルは市場成長に欠かせない重要なポジションの方々なので、CANNABIS INSIGHTでも大麻系のスタートアップに出資をしている有名なVCやエンジェル投資家を紹介する記事を書きたいと思います。
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