【躁うつ日記#05】燃え尽きた彼女

 2020年夏から2021年の終わりまで1年半、火山のように燃え続けた彼女は、2022年1月頃、燃え尽きたように暴れなくなった。

 以前なら怒っていたような小さなイライラにも怒らなくなった。今思えば反応が鈍くなっていたように思える。心が何かを感じることを拒んでいたのかもしれない。同時に、何にも意欲を示しにくくなっていた。



【意欲にフォーカス】噴火期

 暴れていた間、これまで特に言及しなかったが、彼女が狂ったようにハマったことが幾つかある。

 1つ目はあつ森。
 Nintendo Switchのゲームソフト「あつまれどうぶつの森」を私のゲーム機でやり始めて、1日10時間以上する日もあった。会話は当然減り、あつ森の事でしか話すことができなくなった。彼女がお風呂に入っている間私は、任務としてタランチュラを持ち物いっぱいまで捕まえなくてはならなかった。書いていて笑えてきた。なんじゃそれ。

 2つ目は岩盤浴。
 近くの温泉施設にも足繁く通ったが、車で1時間ほどの系列店にも何度も行った。「岩盤浴行く?」と言うとコロッと怒りを忘れて「行く」と言うから、私はそれが何時であろうと何度も誘った。
 ガソリン代、入浴料でお金はいつもカツカツだった。それでも許してもらえるならなんでもした。

 3つ目はプール。
 岩盤浴と同様に、近所のプール、少し離れたプールに何箇所も足を運んだ。私は平泳ぎをマスターした。水泳が得意な彼女はひたすら泳いで疲れたらすぐに帰ると言う。私はもう少し水に浸かっていたくてもすぐに出る。

 他にも幾つかハマったことはあったが、どれもその瞬間だけ満たされていて、それが終わると魂が抜けたようになって彼女はまた怒った。


【意欲にフォーカス】燃え尽き

 心の繋がりではなく、彼女の機嫌を取ることに時間とお金を惜しげなく注ぎ込んだ私は、心も体も財布も空っぽになりかけていた。

 ところがそれも永遠には続かなく、ようやく彼女は燃え尽きた。2022年1月のことだった。

 彼女が怒らなくなって私はすごく楽になった。もしかしたら今までの思いが通じて、やっと考えを改めてくれたのかも、とか、何か大きなストレスがあって解放されたから元に戻ったのかも、と。

 そのまま新学期を迎えて、遠距離に戻るはずだったが彼女はいつまでも私の家にいた。4月になっても5月になっても6月になっても帰らなかった。
 学校にはもちろん行けていないからとうとう心配になってきたがそのまま夏休みを迎えた。4年生になる年だったから授業はなく、研究室に行くだけだったので、即留年とはならず首の皮一枚で繋がったような感じだ。 [訂正]4年生ではなく3年生。どちらにしても授業は1つしかなく研究室がメインだった。

 この頃から彼女は今まで以上に1人になることを嫌った。まるで小さな子供が親に置いていかれるかのように、私と離れることになると怯えて泣いた。

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