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公差と統計

こんにちは、この表紙写真を見た瞬間「あっこれドイツの図面や」「やっぱミツトヨのノギスはええよね」「このアンダーカットどうやって作んのやろ?」と様々なことが頭をよぎるdomoです。
共感してくれる変態募集中です。

さて、今回はPythonとtkinterを使って実用的なアプリを作っていこうかと思ったのですが、前段の部分を説明するのに長くなりすぎるので、今回は申し訳ないですけど、前段部のみの説明をします。
とは言え、ネット上で探してもいいリンクが無くて自分で書くことにしたので、駆け出しエンジニア的な人には助かるかも!と思ってます。

これから作りたいもの

次回、集積公差を計算するアプリケーションを作ってみたいと思います。
ものづくりに関与されていない方はポカーンだと思うので以下で簡単に説明していきます。

そもそも公差とは

公差とは部品を作るうえで許容している誤差のことです。部品を作る際、様々な理由で部品のそれぞれの寸法は微妙に異なります。例えば、ある部品の高さを5㎜で作りたいとします。ですが実際に出来るものは微妙に異なるので、4.95㎜の物があったり、5.02mmの物があったりします。これをどこまで許容できるのかというのが公差で、どこまで許容していいのかを検証するのが公差設計です。
例えばこの例でいうと、5.0に対して、最低プラス側0.02、マイナス側0.05の公差がないと公差外れの物が出来てしまって製品に採用出来なくなってしまいます。

積上公差とは

例えばそれぞれの高さがA±a、B±b、C±cという3つの部品を積み重ねて使う場合があったとします。(そんな場合ないですけど)
単純に積み上げると、中心値がA+B+Cで公差が±(a+b+c)になります。これが積上寸法、積上公差と呼ばれます。
この公差で周辺の設計をすればいいのですが、スペースの都合や、中心値の物の組み合わせでクリアランスが大きくなりすぎるなどの理由でこの公差を縮めて計算したい場合があります。

ではどう考えればよいか。これを説明するためにまず正規分布について説明します。

一般的な寸法バラつきは正規分布に従う

例えば部品の寸法や日本人男性の身長、など他の要因が影響してこない単純な分布は正規分布に従うと言われています。正規分布とは以下のような山型の分布のことを言います。縦軸は数なので、日本人男性の例でいうと、山のピークが出る横軸の値は171cmで周辺の170、172が多くてそれを外れていくと、あるところから急に少なくなっていきます。


検索してみると、統計局のサイトで各年齢の平均身長と標準偏差も出てきたのでちょっと見てみます。

例えばこのサイトによると、26歳-29歳の平均身長は171.0cm、標準偏差は5.8cmとなっています。

標準偏差って何?

標準偏差はただの正規分布の山の広がり度合いを示した値です。標準偏差が大きいと、低くてなだらかな山になり、小さいと尖がった山になります。
山の形がどうであれ、標準偏差には一つ共通点があります。
それは平均値±標準偏差の値の範囲に全体の68%が入ることです。
さらに平均±標準偏差の2倍の範囲に全体の95%が、平均±標準偏差の3倍の範囲に99.7%が入ります。
一つ目のリンク先から画像を拝借したので貼り付けておきます。

画像1

「ウチあんまり数学とくいやないんよー」って人にはやっぱりなんのこっちゃ分からんと思うので、さっきの身長を例に具体的に考えてみます。

先ほど書いたように26歳-29歳の平均身長は171.0cm、標準偏差は5.8cmです。

ではここで簡単な問題を出します。26歳-29歳の中で、身長176.8cm以上の割合は何%でしょうか?
答えは34%ですね。・・・嘘です。17%です。

解説します。平均値±標準偏差の値の範囲に全体の68%が入ると書きましたが、逆に言うと平均値±標準偏差を外れる確率は34%ということです。
身長の例では、平均身長は171.0cm、標準偏差は5.8cmということで、165.2~176.8の間に入る確率が68%、これを外れる確率が34%ということですね。ですが、外れるのは上側も下側もあるので、上側に外れるのは17%というのが正解です。

分散の加法性

話が逸れまくったので、時を戻そう!
それぞれの高さがA±a、B±b、C±cという3つの部品を積み重ねて使う場合の公差をどう考えればいいかという話ですね。
まず、一般的には公差内に標準偏差の3倍が入ってればOKとされます。
つまり99.7%以上は公差内に入ってるよ、ということです。

ここで積上公差について考えてみます。
3つの部品を積み重ねて使う場合、中心値がA+B+Cで積上公差が±(a+b+c)でしたね。公差が±(a+b+c)を超える確率を考えると、AもBもCも0.3%未満である必要があるので、その確率は0.0000027%になり積上公差で計算することがどれだけ馬鹿らしいか分かりますね。

さてようやく本題の集積公差にたどり着きました。集積公差の考え方は、今回の例でいうと、3つの部品を積み重ねて使う場合の99.7%が入る公差です。さっきよりは合理的ですよね。

ここで用いるのが「分散の加法性」です。分散とは標準偏差を2乗したものです。以下のサイトに詳細が書いてありますがざっくり説明すると、2つの部品の分散は元の2部品の分散を足したものになるということです。

こう書くと、簡単やん!と思われるかもですが、実際の場面では考慮すべき部品数がもっと多く、公差も±ではなく片側だけになっていたりと計算が大変です・・・

なのでこれを簡単に計算できるツールがあればいいなぁということで次回から作っていこうと思います!

終わりに

やっと終わった・・・
2日かけて書きましたが、かなり飛ばして書いたので分かりにくい箇所は多々あると思います。ご要望頂きましたら加筆修正していこうと思います。

読んでいただきありがとうございます。次はまたプログラム書いていきます!ではまた。

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