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短編小説『内見』


「こちらが今回ご案内するお部屋です。どうぞお入りください。」

私はいつも通りに案内をした。今日のお客様は女性だった。
黒髪ロングで白いワンピースがよく似合う美人だった。
女性は優雅に微笑みながら部屋に足を踏み入れた。

私は彼女の美しさに一瞬見惚れながらも、プロとしての務めを果たすために口を開いた。
「お部屋の印象はいかがですか?」

彼女は部屋の中をゆっくりと見回し、窓の外の景色まで一通り確認した後、満足げにうなずいた。
「とても気に入りました。ここに決めます。」
私は安堵の表情を浮かべ、契約書を取り出した。書類を渡す前に、ふと思い立って尋ねた。
「ところで、お客様は霊感が強い方ですか?」
彼女は一瞬驚いた表情をしたが、すぐに微笑んで「いえ、特に強くはないですよ。」と答えた。
それを聞いて、私は心底安心したように微笑んだ。
「それなら良かったです。どうぞ、こちらにサインをお願いします。」

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