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【コラム】上坂すみれさんは「同志の希望を汲んだ怪しいグッズを作る」事で多くの同志から信頼されている件。

 上坂すみれさんはサブカルとオカルトに非常に造詣が深い。そしてこれらのうち「特に胡散臭い」ネタを使って特定の人物や事象を弄り倒しても全く問題を起こさない稀有な人物である。これは「高い見識」と「絶妙な空気を読む能力」を持っている事によるのだが、彼女はこの絶妙な「才能」(?)を生かし、結構な頻度でオカルトやサブカルに通じる怪しげなものをグッズとして発売してきた。そしてそれはほとんどが「買ってよかった」と言えるものである。本コラムではこのグッズにより、上坂さんがいかに同志(上坂さんのファン)の信頼を得て応援されているか、という事について考えたい。

⒈怪しいグッズの始まり

 そもそも上坂さんは過去の革ブロ集会や、当時のファンクラブ「コルホーズの玉ねぎ畑」でかなりエキセントリックなペンライト(ゲバスティック)、ガチ勢つなぎと言った「厄介」をネタにするグッズに加えて、水や段ボールなどの「あまり意味のないネタグッズ」を売ることがそこそこあった。(下記参照)

 そんな中2017年に浮世絵の掛軸(約10万円〜※)が発売される。これはその値段に見合った「上坂すみれ」を美しく見せる芸術品でもあった。この点ではまだ「高価な美人声優グッズ」といっても良いと思われるし、おふざけ要素はあまりなかったように思われる。 ※特に美麗なものは価格が高い。
 発売イベントでの上坂さんは「同志は高いものであっても買ってしまう」という点に感心しつつも懐具合をかなり心配しているようだった。

⒉いきなりやって来た「壺」

 一方でそう言う経験からさらに面白いことを考える事が得意な上坂さん。ある時「サブカルやオカルトにそこまで高価ではないグッズを結びつければ面白いのではないか?」と考えたのか、2019年のライブ「ノーフューチャーダイアリー」において、同志に大きな衝撃を与えた商品が登場する。これがファンクラブ限定で発売された「買っちゃいけないヤツ (壺)」(9999円)である。


 現在、コル玉が爆散して公式パンフレットが残っていないため、詳細は公式のツイートや当時のLINEブログ(上記)を参照いただきたいが、これは赤い甕形の壺に「革命的ブロードウェイ主義者同盟」のマークをつけて焼き上げられた物で、豪勢にも同じく革ブロマークがあしらわれた桐の箱に入っている。この壺、150個が準備され横浜公演で75個、大阪公演で約30個、大宮公演で約40個程度が販売された。横浜で余りがでるという予想で2〜3回目のライブの数を少なめとしていたようだが、のっけから競争率2倍の抽選となってしまった。そして作りの良さや箱が本人サイン入り(シリアルナンバーも手書き)、さらにチェキが入っていることが同志に知れ渡り「9999円以上の価値がある」と判断されて倍率は一気に上昇。大阪、大宮公演では抽選倍率が約5倍となかなか買えないものとなってしまったのである(筆者も買えなかった)。これが買えた同志は早速祭壇に飾って拝んだり、ツボの中に何かを入れてSNS上で公開したり、あるいはラジオのネタにしたりなどこのグッズを思い思いの方法で自由に楽しんでいた。
 周りから見ればこれらに大喜びで手を出す筆者を含めた同志は「まるで宗教団体の信者」と揶揄されることもある。しかしそれはまったく本質を捉えていない。我々同志はこのグッズをオカルトグッズの域を超えて「楽しんで」いるのである。つまり「理解した」上で「喜んで」これらのグッズに手を出しているのだ。ここが霊感商法や一部アイドルで見られる阿漕な商売と違うところで、これらは皆が喜ぶ幸せなグッズなのである。

 とは言え、あまりに色々な意味で盛り上がってしまったためか多くの「壺が買えなかった」という悲しみの声にもかかわらず、再販はなされなかった。相変わらずファンクラブイベントで「ラーメン丼やカレー皿」などの女性声優として考えると異質なものは発売されども、「いかにもオカルト」と言うグッズはしばらく発売されていなかったのだ。

⒊そして満を辞してやって来た「ミラクルストーン」…

 しかし、事務所を移籍し新たなファンクラブ「すみぺれんぽう」が設立された後、最初のイベントである2021年6月19日の「党党党党党大会」で、ついに同志が望んでいた「怪しいグッズ」が発表された。それが「ご利益のある石 ミラクルストーン」こと「水晶玉」である。

 この「ミラクルストーン」は今までの怪しいグッズの販売から得られた同志の行動分析によって企画されたと考えられる。すなわち同志が喜ぶ「ネタ」をマーケティングした上で、ジョークとして設立された「オンラインサロン」で、「怪しげな宣伝」を、「いつものキングレコード系のスタッフ」とともに行う事で、外部から見るとまるで同志が「霊感商法に騙されたような人たち」に見える「ネタ」を作り出したのだ。宣伝詳細は下記「党党党党党大会」レポート参照。

つまり同志は「すべての出来事をネタとして受容し、そのネタを作ってくれる対価として」そして「もしかしたら何かいいことがあるように見える」付加価値があるからグッズを購入しているのだ。いわゆる「金を搾り取る」方向性とは全く違う話で、むしろ上坂さんは「こんな変なものを売って…」と謝っているのだ

⒋怪しいグッズの「同志としての楽しみ方」と「満足感」

 何と言っても上坂さんは怪しいことで有名な「水素水」を使っていた内田真礼さんを「非科学的」で「オカルトに憑かれている」とネタにし倒した方である。従ってミラクルストーンを「本当に効果がある」として売るはずがない上坂さんが発売するこの手のグッズは一連の流れが一つのネタなのである。
 もちろんこれはオカルト好きの多い同志の興味をおおいに刺激し、我々はそれを購入することでその「おかしさ」を楽しんでいる
 壺に何か霊気が閉じ込められているわけではない。もちろん水晶に幸運が詰まっているわけでもない。しかしながらそれをネタとすれば一気にエンターテイメントと化すのである。

 さて、霊感商法というのはスピリチュアル性を感じるようなものに、売る側が買う側の「何かありそう」と言う心の隙間を突いて高額なものを売りつける阿漕な商売である。だとするとそれを分かった上で楽しむ場合は果たしてどうなのだろうか?答えは「逆に心が満足する」のである。それこそがこの商品の価値では無いだろうか。

⒌意外なプロモーションの成功とカリギュラ効果

 ところで「ミラクルストーン」の在庫が残り少なくなった時、上坂さんは追い打ちのように「壺とか水晶とかよくわからないものを買っちゃいけません」とツイートした(下記ツイート参照)。今まで女性声優の世界で、本人監修のグッズで「買っちゃいけません」と言われたグッズがあるだろうか?通常変なグッズが余ったりしていた場合「変なグッズだけど何とか買ってください」と言う形でプロモーションする(例:洲崎西の人妻グッズ)が、まさかの逆プロモーションである。残り少ないところで「買っちゃいけません」である。そして案の定これが最後の一撃となり売り切れてしまうのだから面白い。(以下のツイートはその流れを表している)


 ちなみにこの手の心理現象は「カリギュラ効果」と言う。マーケティングにも使われる物で、よくある「〜したくない方はクリックしないでください」と言うバナー広告などがそれ。「人はダメと言われるとやってしまう」習性を上手く使っている。ただ、今回の場合思った以上に売れ行きが良かったために、本当に売り切れそうになってビックリした上坂さんが逆に「まーたこんなもの買って」と言う意味を込めてマーケティングは全く関係なくツイートしたとも考えられる。しかし、それがトドメの一撃になったのは先述のとおりである。
 そもそもグッズというのは「持つこと」の喜びの方が大きいので「普段使い」することは二の次だったりする人も多い。だとすると持っていてより楽しいものの方が良い。そういう意味でもこれらのグッズは的を得ていると言える。

⒍同志とサブカル、怪しいグッズの関係

 そんな意味で上坂すみれさんのファンである同志というコミュニティは「上坂すみれ」というコンテンツを核として「さまざまなサブカル趣味を持った人たち」が「緩く集まる場」であると考えればわかりやすいのかもしれない。
 実際、筆者の周辺でもさまざまな人がいる。軍事関係に強い人、特撮に強い人、オカルトに強い人、乗り物に強い人、絵を描くことに強い人、ラジオ好きな人、クレイジー声優を愛す人、そしてロリータファッションを愛す人、「上坂すみれ」というコンテンツを愛す人、etc…。ある意味、純粋な「声優ファン」や「典型的なオタク」、「非常識なオタク」は母集団に比して非常に少ないと感じる。  
 それは、かなり一般にも名を知られている声優さんでありながらライブやファンクラブイベントで普通に客席に降りてくるほどの治安の良さやお渡し会他で楽しいコミュニケーションが取れるところからも明らかであろう。
 もう一つは熱心な同志が概ね「心が広い」事と「動じない」事であろう。例えば先日、7/3のイベントに出席するはずだった上坂さんが新幹線の遅れにより、13時開始の第一部に間に合わなかったことがあった。それでも同志から不満が出ることはなかった。それくらい寛容な人たちの集まりであるところも大きいと考える。だからこそこのようなグッズを笑って受け入れることができるのである。
 そして、筆者含めて人生に疲れた同志も多い。そう言う人たちに悪質な宗教ではないとわかった上で推しを神格化したような明らかなジョークグッズを売ってくれる事で救われる同志も多いと思われる。

⒎まとめると…「同志はいいぞ!」

 そんな同志だからこそ「(半分冗談で)狂喜しながら」これらの壺や水晶玉を買い求めるのである。どうせ実用性がないなら面白い方がいい。そしてネタになるものの方がいい。それをみんなで楽しんでこそ同志である。今回のライブツアー「上坂すみれのPROPAGANDA CITY 2021」でもウォッカ型のペンライトというおおよそ声優グッズ、ライブグッズとは思えないまるで火炎瓶に見えるもの(本人は否定)を発売し好評を得ている。


 本コラムを読んで、このような世界が好きな方、興味を持った方は是非「上坂すみれ」の世界を覗いてみてほしい。時におかしく、破壊的に見えても実は本当に優しい世界があなたを待っている(下記ライブレポートもぜひお読み頂きたい)。

恐らくだが、これが面白いと思ったらあなたはいつの間にかCDが揃い「すみぺれんぽう」に入会していることだろう。そして、各怪しいグッズは「買って良かったもの」となり、日々の幸せに貢献するであろう。是非、同志として上坂すみれさんを一緒に応援して見ませんか? (了)


今回も最後までお読みいただきありがとうございました。ご覧の通り、相当に癖のあるコラムとなってしまっています。感想や、サポート等頂ければ今後のレベルアップにつながりますので、何卒よろしくお願い致します。

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