人間は忘れていく生き物だからね

つまらなかったのか、消し去りたい記憶なのか、中学、高校、大学時代の思い出がほとんどない。
文学フリマは文化祭のようだな、と感じた後、文化祭ってなにしたっけと思い出そうとしたが、首を傾げるばかり。

中学は文化祭らしい文化祭はしていないらしく、妹曰く地域の人がなにかしていたとのこと。わたしはその記憶すらない。
高一は縁日、高二が全く思い出せず、高三はお好み焼きの屋台を出した。

高二の記憶、どこに行った。

いらっしゃいませー。と呼び込みをした覚え、ない。買い出しに行った覚え、ない。放課後遅くまで残って作業した覚え、ない。ないない尽くしの文化祭。
でも、薄いティッシュペーパーのような紙でひらすら花を作ったのだけは覚えている。

文化祭や体育祭と言えばクラスTシャツ、通称クラTだが、わたしはあれが好きではない。
クラスの中心人物、いわゆる一軍は仲間内のニックネームを背中に載せる。クラスですみっこ暮らしをしていたわたしは、誰からも呼ばれない名前の呼び捨てを載せられてしまう。単純に名前のみのシンプル2000状態。クラTでしか見ない謎の色。

わたしは文化祭の悪口を言いたいわけじゃない。
文学フリマに出ることで、全く覚えていない文化祭をやり直すんだ。

設営用の布を用意して、縫う。
ポスターを作る、ペーパーを作る、原稿を書く、場合によっては印刷所に依頼する。
その他もろもろ、全部一人でやる。

「男子ちゃんとやって！」とヒステリックになる女子はいない。
「何をしていいかわからない！」とパニックになる大森はいるかもしれないが。

誰かの力があって、は前提として大部分を一人でこなす楽しみがある。
しなかったのか、させてもらえなかったのかも分からない買い出しもする。

高二の文化祭のことは思い出せないままだけど、高二の時の教育実習生が最後の日の挨拶で、浪人はしたけど良い経験をしたと思ってる。といった内容のことを話して、担任が見たことないくらいの苦い顔をしていたことは思い出した。

あと、高二の担任があなたたちは学生なんですよ！学びなさい！遊生(ゆうせい)じゃないんだから！と怒っていたことも芋づる式に出てきた。伝わるようにちゃんと遊生って黒板に書いてくれてた。
担任の名前は思い出せないけど。

何十年越しに、もう一度文化祭をやってみよう。