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♯6.同意書への署名

9月30日 これってインフォームドコンセントなのか?

入院初日、晩ご飯も食べてのんびりしていると主治医のN先生登場。
説明と同意書への署名が必要なのでということで、ナースセンターの奥の別室に連れて行かれます。
病名の説明から「左肺下葉悪性腫瘍の疑い」なぜか疑いをなんどか強調。「あくまでも疑いですね」ということで簡単な絵を描きながら。肺はこうなってここが下葉です。って入院前に受けた説明を再度繰り返します。「今回の手術では左肺下葉この四分の一を、このあたりに3カ所小さな穴を開けて胸腔鏡、カメラを入れて切り取って摘出します。1から2センチの穴が2カ所と1カ所3センチ程度切開をします。」
実はこれが術後違ってもっと大きな傷だったのですが、「はい予定通りですね」とか言って押し切られます(笑)
まあそんな感じで、手術の説明が続き、ちょっと先生、それ初めて聞くんですけどみたいなこんなリスクがありますって内容も。
不整脈は心筋梗塞やってから時折出るので、「先生、私心筋梗塞やっていて不整脈時々ひどく出るんですけど」というと、「いや、出る場合もあるということで必ず出るわけではないですし大丈夫でしょう」と。
そのほかにも真面目に聞いてると怖くなるような話が次々と。
なんやかやで10枚以上の書類に署名をさせられる。

考えてみると、すでに入院して手術する気になっている患者に、この時点で同意しないという選択肢は考えられないので、医者の説明も真剣に聞かず「形式的なことだよね」と機械的に同意書へ署名を行う患者がほとんですよね。
まあ本当にそんな気があるのかはわかりませんが、医者からも形式的な説明ですからね。みたいな空気が醸し出されてます。
こっちも聞いて署名するの疲れてきたので「たくさんあって大変ですね」なんて先生に話しかけると「まあ、やらなきゃいけないことなんで」と
今思い返すと義務でやってますみたいな返事がありましたっけ。

私自身もおかげさまで丈夫で健康なおかげで、67歳になるまで入院して手術する経験がなかったため、(心筋梗塞やったけど、これはもう死ぬか生きるかで選択の余地がある入院手術ではなかったので除きます(笑)このインフォームド・コンセントや同意に関して真剣に考えたことがなかったし、父親が医者だったせいで父親が死んで父親と同世代の医者が亡くなるまで、病院に困ったことはなかった。
ようするに信頼できる環境下の中でしか病院にかかったことがなかったということですね。
医者の家で育っているわけなので、医者が神様でもスーパーマンでもなく、当然ミスもすれば病名がわからないなんてことがあるのも十分承知しているわけで、「一所懸命治療してくれて駄目なら仕方ないよね」的な考えを持っていたので、とんでもないことで病院に文句をつけたり訴えたりする患者や、おもしろおかしく医療機関のミスなどを騒ぎ立てるマスコミがいるから、病院が病院と医師を守るために患者から同意書を取るということで身を守ろうとするのは仕方ないよねと、どちらかと言うと病院・医師側の発想をしていたのですが、医者の身内という環境がなくなって手術の為に病院に入院したら「あれえ?なんかおかしくない?」と思うわけですよ。

世の中「絶対大丈夫」はないので、手術・治療前の患者から予測不可能な事故が起きて何かあったときに訴えられたりしないように患者から「なんかあっても訴えません」的な同意をとる必要は、とんでも患者やマスコミから医療を守るために必要でしょって思っていたのが、入院後に用意された種類を提示されながら機械的に説明を受けていると、己の身を守るための署名を貰うためだけに行っているような行為、つまり何かあったときに「同意したでしょ」って病院が責任回避するための説明と同意書への署名としか思えない場面に遭遇するわけですね。

もっとも、すべてではないけど医師や医療機関がこういう形になった責任は、医者だけにあるわけでなく、患者側にもあるし、マスコミにもあるし、医療に対する政府の対応やネットの復旧などいろいろな要素が重なってこうなってきたんだろうなとは思う。
コロナで病室が足らないって医療機関を攻めているマスコミは、医療費削減のために厚労省が病院の統廃合をすすめたり、入院ベッドの削減を勧めたことなんて知らないだろうし、もちろん普通の人だって知っているわけはないよね。
医者の前でネットで仕入れた知識を振り回して医者の説明も聞かない患者が医者と患者の信頼関係を崩しているのも現実だし、結局こういう事態になったのは自業自得みたいなものかもしれない。

そもそもこの説明と同意がインフォームド・コンセントなんだろうか?
というよりインフォームド・コンセントって何?みたいな
説明と同意がなんかよくわからなくなってきたので、そのへん改めて整理しようと思う。

ただ、そもそもインフォームドコンセントとは?何かあったときに「同意したでしょ」って医者が責任回避するための説明と同意書への署名じゃなくて患者さんに病気の説明をきちんと伝えて選択肢を提示し、ベストな治療を行うための医師と患者の共同作業のために行うことじゃないのかなあ。

本来インフォームドコンセントは手術や治療の決意を行う前に行って、あなたの病気はこういう病気で、治療法にはこういう治療法があって、それぞれにメリットもリスクもあります。そのメリットはこうで、リスクはこうです。医師としてはこちらの治療法を勧めます。その理由はこうで、、、みたいなことを行うのがインフォームドコンセントなのではないのかなあ?
なので入院して手術の直前に行う説明や同意書書かせるってそもそもなんだかななんですが(笑)

ただ、こんなことが私にあった(人柱(笑)おかげで私の後におきた事件はある程度回避できたのですが(笑)

私の方はそんな感じでその時点では「先生いちいち説明大変だなあ」と好意的に考えて、同意書にサインして、
翌日、翌々日ぼーっと過ごして手術の当日を迎えます。
この2日間手術が月曜日じゃなければ必要ない入院だと思うんですけどね。

次はインフォームド・コンセントそのものに関してちょっと考察します

>続く

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