むずかしいアボカド
最近は暇があれば自炊している。こんなに日常的に料理をするようになるとは数ヶ月前まで全く思っていなかったから、自身の変化を面白がっている。
生活コストの可視化、見直しにあたり、自炊で食費を節約しよう、という話に仲間内でなったのが、そもそものきっかけ。ただ、元来めんどくさがりで、自分のためにがんばれない性格なので、節約モチベだけだと、ここまでは続かなかったと思う。
親子丼が好きで、自分でも作ってみたいと思って試しにやってみたら意外と簡単に作れたり。料理研究家リュウジのレシピ動画をYouTubeで観始めたら、近所のスーパーで手に入る食材や調味料で手軽に作れるレシピばかりで、「お、案外いけそう」と思ったり。自分の中の料理に対するハードルが下がったのと、動画自体がエンタメ性高くて面白いから、観ているだけで料理したい気分にさせてくれるのもよかった。
あと、実際にやってみて思うのは、自炊にはセルフケア的な効用があるということ。手を動かしながら、一つずつ料理を作り上げていくプロセスは、余計なことを考えずに「今、ここ」に集中、没頭できるのがよい。レシピ通り作れば、ちゃんと美味しくなるし、料理が完成したときの達成感、食べて味わうときの充実感には心が満たされる感覚がある。
一人暮らしをしていると、どうしようもないさみしさ、むなしさを持て余してしまうときがあるけれど、消費的な暇つぶしとは違う形で、そういった空白を埋めてくれる選択肢を持てたのはありがたい。
自炊とケアの関係性については、自炊料理家の山口祐加さんが『自分のために料理を作る――自炊からはじまる「ケア」の話』という本を出していて、とても興味深いテーマなので、近々手に取ってみたいと思っている。
この間、カツオの漬け丼を作ってみて美味しかったから、今日はマグロアボカド丼を作ってみた。
美味しかったけど、アボカドがまたちょっと固かったから、もう少し熟してからの方がよかったかな。
食べ頃の見極めが慣れるまで難しそうだけど、アボカドは好きだから、いろいろなレシピを試してみたい。
そういえば、村上春樹のエッセイ集シリーズ『村上ラヂオ』のサブタイトルで、『おおきなかぶ、むずかしいアボカド』というのがあったのを思い出した。
村上春樹のエッセイは、ユーモラスで、軽妙だけど、ときどき深く考えさせられるのが好きだ。読み手への親切心にあふれていて、こういう文書を書けるようになりたいなと思う。アメリカのSF作家カート・ヴォネガットの「愛は消えても、親切は残る」という言葉について触れたエッセイが印象に残っている。
ちなみに、どんぶりのお椀は今日Zoomしてるときに友達に「かわいいね」って言われたポニョ椀。とくに意識してなかったけど、言われてみたら、たしかにかわいい。
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