自分で決めること、動くことだけが、自分の生活を変えられる唯一の方法かも
こんにちは、さやです。
4月下旬。色のないカナダの冬が終わって、季節はすっかり春になったようです。
週末はできるだけ家に引きこもらず、子どもたちと少し先のスーパーまで散歩したり、大きな公園でキャッチボールをしたり。
「こんなに穏やかな時間を過ごせるなんて」と、毎日にうっとりするような瞬間があります。
カナダ渡航を決めたあの日の自分に言ってやりたい。本当に、来て良かったよ、と。
もちろん、今までと全然違う苦労がたくさんあるのだけど。
日本にいた頃は何と戦っていたのかな
カナダで生活するようになって、日本で働いていた頃のことをよく思い出します。
第一子出産後は、会社の異動命令で片道2時間かけて通勤。1日のうち4時間という途方もない時間を、ただ通勤で浪費していました。
川崎の自宅を出るのは6時前。東京タワーと通り越し、スカイツリーも横目に過ぎて、埼玉県にほど近い足立区まで通勤していました。
満員電車でつぶされながら3度乗り換え、さらにバスで移動。常に疲れ果てていて、移動中は常に抜け殻状態。
こんな生活、今思えば本当にナンセンスです。
長男はまだ0歳。夫にも、とても負担をかけたと思います。
ただ、当時は「異動できないなら降格」と上司に言われ、どうしてもそれが嫌だった。
降格することが嫌だったというより、「女性は子どもができたら降格するのが当たり前」「なんなら自分から降格を申し出て、時短勤務にするのが通常」みたいな会社の空気・慣例がすごく嫌でした。
私より前に、出産後も係長以上の職位をキープしていた女性は多分いません。逆に、降格する男性はいなかったと記憶しています。
冷静に考えれば、育休明けの社員に往復4時間かかる拠点への異動を命じ、拒否すれば降格だなんて許されないこと。でも当時は、「降格か異動か」の二択しか、自分には残されていないと思い込んでいました。
そうやって、ムリして仕事を続けて、何が残ったのかな。
頑張ったこと、成果に残ったこともたくさんあります。
でも、いま振り返ると、私は何と戦っていたのかなぁと思います。
旧態依然とした会社の風潮にか、女性であることで軽視されたくないという自分のプライドか、キャリアアップへの未練か。
もうちょっと冷静になるチャンスがあったなら、違う選択肢があることが見えていたのではないかと思うことがあります。
カナダ移住して、フリーランスになって、自由になったのか
いろいろあって転職した後も、第二子を出産した後も、相変わらずのハードワーカーっぷりでした。
「出産を機にキャリアをセーブしたら、この道には戻れなくなる」
そんな危機感が常にありました。
「小さいお子さんがいるのにすごいね。私にはできないわ。」
そう言われるたびに、少し誇らしいような、でも責められているかのような感覚がありました。
でも、そんな自分の気持ちと向き合う余裕もなく、とにかく毎日が精いっぱいで、あっという間。
あれから何年もたって、フリーランスになって、カナダに引っ越してきた今、私は以前とは比べ物にならないほどの余裕を手に入れることができました。
気ままにNoteを書いたり、毎日子どもたちを小学校に送り迎えしたり。21時にベッドに入ってから6時過ぎまでぐっすり眠る。そんな生活です。
こんな緩めな生活になって、自分は自由を手に入れたのかなと考えるときがあります。
たぶん、答えはYesです。
物思いにふけったり、緑をただじっくり眺めたり。そんなことができる時間がとても好きで、ありがたく感じます。
フリーランスならではの、海外居住者ならではの不安はいつもつきまといますが、でもやっぱり、「あの頃に帰りたい」とは思いません。
不安や心配の種類が変わった
そうやってゆっくりと自分や家族と向き合える時間が取れるようになって、はじめて冷静に「私の生活、人生で大切にしたいものってなんなんだろう」と考えられるようになりました。
以前は、年収額や肩書が自分のステータスのように感じていたし、結婚しても出産してもキャリアアップしていくことが、自分の価値のように感じていました。
でも、今はどうかな。
単純に歳を取ったせいもあるかもしれませんが、そのあたりの価値観が、今の自分には全然ないように感じます。
毎日、今日もよくがんばったなと思えること。
子どもたちと大笑いして楽しかったと思えること。
緑が美しくて、風が気持ちよくて、今日も最高だなと思えること。
そんなことが今の自分の満足を作っているように思います。
そして不思議なことに、バリバリと働いていた頃よりも、「キャリア」に対する不安が減りました。
正社員フルタイムワーママだったころは、「止まれば終わり」みたいな恐怖感に急き立てられていました。自分以外の人には「キャリアに休憩があっても良いんですよ」と言いながら、自分にはそれができなかった。
今の私は、キャリアアップしているのかはわからないけど、いろんなことがそれなりにできるようになって、収入も一応は得られるようになって。常に不安はあるけど、将来のことに悩みすぎることがなくなったかな、と感じます。
とか言いつつ、毎月の収入額に一喜一憂したり、焦ったり、どうしようと狼狽したりするのだけど。ただそれらは、「今」の課題に対する適度なリスク感覚であって、「将来」への謎の不安や焦燥感でありません。
このあたりが、良好な精神衛生を保てている理由かなと思ったりします。
最高の決断
今日はだいぶ、とりとめもなく文章を綴りました。
でも本当に、今と数年前の自分はかなり別物で、いろんな変化があったなぁと毎日のように実感します。
さらに数年たって日本に帰るときがきたら、私たちの生活はまたどう変わっていくのかな。昔みたいに、忙しさと焦りでいっぱいにならないといいな。
でもそんな先のことは、やっぱりあまり悩んでいなくて。とにかく今を、しっかり楽しもう。しっかりがんばろう。
そうやって「今」と向き合えるようになったことこそ、平穏な毎日を過ごせるようになった最大の要因かもしれません。
そのきっかけとして、一から全部ひっくりかえるような「環境の変化」を実現できたことは、やっぱり最高の決断だったな。
運が良かっただけかもしれなけど、やっぱり自分で決めること、動くことだけが、自分の生活を変えられる唯一の方法かも、と強く実感するこの頃です。
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