MuseScore4を触ってみた (6)
【第6章】「音楽」と向き合う
ネットを漁っていたら、面白いモノを見つけました。
音楽理論に関するまとめ動画なのですが、基礎から7段階に分けて深堀して行く内容で、大抵のことは理解している(つもり)の事柄でしたが、体系的にまとめてあってとても有用・・・というかむしろショックを受けました。
前半はともかく、後半になってポリリズムや微分音がでてくるあたりになると、知識としてそういうものがあるというのは分かっていたのですが、僕たちが普段やっている音楽とは無縁の、非常にニッチな、研究的というか実験的なモノだと思っていたのです。しかし、実際にそれを演奏で実演している人がいて、その音を聞くと物凄く美しい響きで、斬新でした。(下記動画37分50秒あたりから)
The Music Theory Iceberg Explained
https://www.youtube.com/watch?v=NmeogiNhdHI&t=2347s
自身の音楽的志向性が大変畸形であることは常々自認しているところですが、実際にやっていることはごく普通の音楽です。調性がベースにあって、II-Vの呪縛から抜け出せない、なんていうことはない、誰もがやっている音楽です。
オーディオエンスとしても、例えばクラシック音楽ならストラビンスキーからメシアンあたりまではなんとか聴けるのですが、十二音音楽以降になると「もう無理!」という感じです。彼らがやっていること、目指していたであろうことは想像できるのですが、研究対象として聴くことはあっても、楽しくはない。生理的に受け付けられないのです。現代音楽はどこへ行くのだろう。もうありとあらゆる手法は出尽くしてしまったのではないか・・・
でもそれは古い考え方でした。音楽も、音楽理論も進歩しているのです。
とくに今世紀になってからDAWが急速に普及し発展し、それまで実演では困難だったことがコンピュータ上で簡単に実装し、効果を確認できるようになったからだと思います。そして意欲的な若い音楽家たちがあくなき好奇心を持って、新しい音楽を模索し始めている。
<Microtonal Modulation>
微分転調とでも訳すのでしょうか。1オクターブを12分割する従来の平均律をさらに半分にする。ざっくり24音音階。
ここでひとつ面白いエピソードを思い出しました。インド音楽というのは22音音階だというのです。
どのような調律なのかは理解してません。しかしこの微分音程は普通の人には聞き分けられない。(インド人はできるらしいけど)
日本人は古来から五音音階に親しんできたため、明治になってから西洋音楽が入ってきたとき、ファとかシの音は聞き分けられなかったそうです。チョウチョ(そ・み・み・ふぁ・れ・れ・ど・れ・み・ふぁ・そ・そ・そ)を聞いて(そ・み・み・<そ>・れ・れ・ど・れ・み・<そ>・そ・そ・そ)と歌ったといいます。
現代では西洋音楽が日常に深く入り込んでいるために7音あるいは12音を聞き分けられない人は、まずいないと思われます。
ということは。微分音楽が日常的に演奏され、聴かれるようになると、耳はそれに追いつくのでしょうか。もしかすると、それはそれほど遠いこと日のことではないのかもしれません。(まあ僕が生きてるうちはないでしょうけれど・・・)
<MuseScoe4での実験>
MuseScoreの弦セクションを使って、実験的に確認してみました。
1小節目のViolin1,Violin2,Violaの2番目の音は微分音です。微妙な変化ですが、それほどデチューンした感じはしないように(僕の耳には)聞こえます。
2小節から3小節へのVn.のEからFへの減九度の跳躍(これはショスタコービッチの第五交響曲一楽章に出てくるフレーズを擬したもの)は、正規のFではなく40セント下がった音ですが、むしろこちらの方が、短九度特有の不気味さが和らげられて、自然っぽく聞こえるのは僕だけでしょうか。
<音楽にのめりこむ日々>
この歳になって、改めて音楽と向き合い直しています。
この一か月半、かつてないほど音楽を聴きまくっています。またMuseScoreでのアレンジも次から次へとアイデアが湧いてきて、書きまくっています。
40歳の時、現役を退いたのは自分の才能に限界を感じたこと、そしていわゆる音楽業界で生き続けるためのエネルギーが切れてしまったため、でした。
それからずっと音楽に背を向けてきました。まったく音楽をやらなかったわけではないのですが、たまに入る実演の時は「お仕事」と割り切っていました。
MuseScoreで何か新しいことができそうと感じていろいろ触ったり調べたりしているうちに、自分の原点にあった「音楽」への情熱を再確認し、再構築しているところです。
まああと何十年も生きていることはないので、それが実を結ぶことはないと思うのですが、「音楽」と向き合うことの楽しさを、のめりこむ時間を、大切にしたいと思います。
MuseScoe4の習作はいましばらく続けますので、よろしければそちらもぜひご視聴くださいませ。
<とうしゅうチャンネル>
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