杏里の「オリビアを聴きながら」は1978年発売(*1)。 この「オリビア」は言わずと知れたオリビア・ニュートンジョンの「MAKING A GOOD THING BETTER 」のことで、原曲とは異なり、悲しい恋の歌だった。いい曲で、僕のカラオケ(*2)のレパにも入っていた。 で、話は「オリビア」ではなくて「オリビエ」なのだ。 「オリビエ」といえば、僕の中ではオリビエ・メシアンということになる。 初めてメシアンの曲を聞いたのは学生時代。当時所属していた学生オケの夏合宿で、先
第二楽章のエンディングで譜面の見落としがありました。 最後の下降音型の始まりの2小節には、1+2と”「小さ~く」書いてあります。 はじめ意味が分からなかったのですが、これは両手の指で同時に弾くことを指定しているのだ、ということがwikipediaを調べて理解できました。(L.H.+R.H.にしてくれたら分かりやすかったのに。) 確かに単音だと限界までVelocityを上げても迫力が欠けている感じはあったのです。 私だったら1or 2オクターブ低い音を重ねる方法を選んだでしょ
ヴィンセント・パーシケッティという名前を聞いて、「ああ、あの人ね」と思い浮かべられる人は少ないと思います。1915年生まれ、1987年没の現代音楽の作曲家・ピアニスト・指揮者で教育者ですが、残念ながら日本での知名度は高くないと感じています。 「20世紀の和声法」(水野 久一郎訳;音楽之友社(多分・・・)1963年)は私が最初に手にした音楽理論書の一冊です。高校生の頃だったと思います。(うわっ!今から60年も前の話だ。) 「作曲家になりたい~~~!!」と無謀にも思い込んで、
Abilityに精通するために、まずはピアノを集中的にやってみようと思ったのです。 いや、あれやこれややりたいことは山ほどあるのですが、何せ知識も技術も覚束ないので、無理に背伸びすると、ひどいものを造ってしまうことになるのは確実で、ぐっと我慢なのです。 単一楽器ごとにDTM-DAW上でどのように音が鳴るのか、細かいニュアンスをどう表現できるのか、そしてマスタリングで如何に調整するか・・・クリアしなければならない問題が沢山あります。 <ドビュッシーの二曲> ドビュッシーやラ
<はじめの一歩> 昨年(2023年)の7月からMuseScore4での試作を重ねてきましたが、MuseScore4で出来ることと出来ないことがかなり見えてきました。半年の試行錯誤の結果、結論としてMuseScore4は譜面作成ソフトとしては非常に良く出来ていて、なおかつ強力な再生機能を付与することで、限りなくDAWソフトに近いパフォーマンスを発揮できるものの、より実演に近い再生を実現するには不足している機能が多くある、ということが分かりました。 音楽というのは基本人間が実
【エクリチュールの抜け殻】 MuseScoreでの習作も10作を超えました。 クラシック・ジャズ・現代音楽といろいろなジャンルに挑戦し、DAWとしては限られた機能の中であれこれ試行錯誤しながらの日々を過ごしました。比較的うまく行ったものもあったし、いまいち自分自身が納得していないものもありました。しかしどの習作も制作の過程で多くの学びを得ることができました。それはDAWの扱いとかDTMの方法とかではなく、音楽そのものに対してでした。 「音」を扱うことの難しさ奥深さを思い知っ
MuseScoreでの打ち込みをしていて、やはり気になるのは再生の音質で、これまでは家にある安っぽいオーディオセットでスピーカから聴いていたのだが、これだとちゃんと音が作られているか確信が持てなかった。なので作業中はヘッドフォンと併用で再生音の確認をしていた。しかしヘッドフォンだとコードが邪魔になる。作業の途中で席を立とうとすると、いちいち外さなければならない。 いまどきは優秀なワイヤレスヘッドフォンが沢山あるに違いない、と思ってネットで調べたら、あるはあるは・・・ヘッドフ
【第9章】ヒンデミットとオスカー・ピーターソン あ; これはオスカー・ピーターソンがヒンデミットの楽曲を取り上げてる、というお話ではありません。 <『作曲家の世界』パウル・ヒンデミット> ヒンデミットという名前を知ったのはかれこれ60年ほど前のこと。初めて手にした音楽書が『作曲家の世界』(佐藤浩訳 / 音楽之友社 / 1955年) という彼の著作でした。 第一章「哲学的考察」から始まり「音楽における知的作用」「音楽における情的反応」・・・と第十一章まで続いて行く、ドイツ
パーカッショニスト吉田豊の音楽人生55年の集大成となるアルバムです。 サンバ界のレジェンドとして、77歳になる現在も高い評価を得ている吉田豊ですが、このアルバムではサンバ(ブラジル音楽)にとどまらず、幅広いジャンルの音楽を取り上げて意欲的な音作りに挑戦しています。 何曲かには本人の歌唱による楽曲もあり、多分当人は恥ずかしさでいっぱいだったでしょうが、けして上手とは言えないその歌声に、ふとネルソン・カヴァキーニョを彷彿とさせるようなベーリャ・ガルダ(Velha-Guarda
【第8章】モダンジャズをやってみたよ 前回(MuseScore4を触ってみた 7)のシューベルトの『未完成交響曲』をYoutubeで公開したところ、Facebookにしか告知しなかったのに、予想外に多くのアクセスを頂き感激しています。 なにがどうなってそうなったのか、さっぱりわかりませんが、励みになることに違いありません。 もうひとつ不思議なのは、全く告知していない「微分転調のエクササイズ(Microtonal Moduration Excercise )」がそこそこアクセ
【第7章】交響曲を打ち込んでみる 有名なシューベルトの未完成交響曲。一般には「交響曲第8番」として知られている、と思ったらナンバーリングが変わって「交響曲第7番」なのだそうです。 一か月ほど前。まだMuseScore4を触り始めて間もないころ、一度取り掛かったのですが、知識も技術も足りなくて、どうにも形になりませんでした。 最近になって、少しだけ進歩したように思えたので再チャレンジしてみました。 しかし。 交響曲ともなると、単純に譜面を打ち込んで再生するだけではまったく音楽
【第6章】「音楽」と向き合う ネットを漁っていたら、面白いモノを見つけました。 音楽理論に関するまとめ動画なのですが、基礎から7段階に分けて深堀して行く内容で、大抵のことは理解している(つもり)の事柄でしたが、体系的にまとめてあってとても有用・・・というかむしろショックを受けました。 前半はともかく、後半になってポリリズムや微分音がでてくるあたりになると、知識としてそういうものがあるというのは分かっていたのですが、僕たちが普段やっている音楽とは無縁の、非常にニッチな、研
【第5章】アルフォンシーナと海 <ラテン音楽> ショスタコービッチのラテン風味を公開したのですが、やはり本格的なラテンを書いてみたくなりました。 しかしMuseScore 4の制約を考えると、サンバやサルサ(=ソン)みたいにパーカッションゴリゴリは、今の私には無理だろうと思うのです。でもメヒコとかベネズエラとかパラグアイとかの歌物で名曲は山ほどある。基本的にギターメインだし、和音も搔き鳴らし系だし、なんとかなるんじゃねえの・・・ なんとかなりませんでした・・・Orz
【第4章】やはりナマにはかなわない もうひとつ、大事なことを書き忘れていました。 僕はIT業界にいたこともあり、コンピュータが人間の仕事を代替できるようなコードを沢山書きました。仕事の「ある部分」はコンピュータが正確かつ高速に処理できることを知っています。だからといって、それが人間の知的活動までを代行できるかといえば、それはあり得ないと思っています。 昨今は「AI」ばやりですが、喧伝されている「AI」はとてもArtificial Intelligenceと呼べる代物ではな
【第3章】イージーリスニングとショスタコービッチ <ドラム入り> 「お前はラテン音楽で飯食ってきたんじゃないか。なぜサンバにトライしないんだ。」とのお叱りの声が聞こえてきそうですが、クラシックから始めると決めたのは、そこにはドラムやスルドやパンデーロがいないからなのです。Humanize問題に光が見えないMuseScore再生機能では、グルーブ命の音楽は無理だと思うのです。必要なのは最大3ミリ秒くらいの発音のズレで、普通の人間にはズレと認識されない誤差なのですが、それがあ
【第2章】悩みどころ <音源の問題> MuseScoreの新しい再生機能では、MuseSoundという組み込み音源のほかに、PCにインストールされているVSTi音源(*1)があればそれを利用できます。なぜか家のPCには、使わなくなって本体はいなくなったSteinbergのHALionSonicSEのSoundFont(*2)だけが残っていて、MuseScoreで使えることが分かりました。早速試してみたところ、MuseSoundの音よりも立ち上がりが良く、はっきりしたサウンド