仕事をしながら1000日旅を続けた夫婦の体験談 ~会社員から自由な働き方に移行するまで~
「会社に行きたくない!!」
……誰でも一度は、こんな気持ちで迎えた朝があるのではないでしょうか。もちろん私も、そんな辛い思いと戦いながら20代を過ごしてきた1人です。
はじめまして。私の名前は「キャンカー旅女子 みおん」と申します。2016年から夫婦で3年半、仕事と両立しながらキャンピングカーで日本一周を続けてきました。
日本一周する前は2人とも会社務めのサラリーマン・OLでした。けれど年月を重ねるごとに、会社勤めという働き方の限界を感じていきました。なぜこんなに働いても収入は上がらないのか、なぜ時間・場所の融通が利かないのか、なぜ理不尽に従いながら働かなくてはいけないのか……。少なくとも私たちが進むルートの先に、思い描く幸せは見出すことが難しくなっていたのです。
そんな苦しい気持ちを抱えているとき、私たちに「キャンピングカーで日本一周」という突拍子もない夢ができました。そのきっかけはストレス解消に出かけた旅行の最中。とある駐車場に停まっていた、大きなキャンピングカーを見かけたときのことでした。
時間に縛られず、ゆったりと大きなキャンピングカーの中で休憩する彼ら。かたやレンタカーで借りたバンに乗って、土日休みの限られた時間の中でギリギリ旅行をする私たち。
『あんな風にゆったりと、キャンピングカーで日本一周できたら……』
旅行が大好きな私たちにとって、彼らの存在はキラキラと眩しく映りました。そちらに身を置きたいと、心から羨ましく思いました。そしてこの出来事がきっかけで私たち夫婦に「キャンピングカーで日本一周」という共通の夢が出来上がり、叶えるための準備を少しずつ始めるようになったのです。
……あれから年月が経ち。先ほども申し上げたとおり、私たちは仕事と両立しながら日本一周を続けることができました。最初は「1年できたら上出来」と思っていたのですが、おかげさまで収入が安定していたため3倍以上も時間を延ばすことができました。
そんな私たちのこれまでの歩みを振り返ってみると……昔の私たちのように苦しんでいる人たちの道しるべになれるような知識が積み上がっているのではないか、そしてそれを知りたい人がいるのではと考え、今回の「#はたらくを自由に」の募集をきっかけに執筆してみました。
人によって「自由」や「幸せ」の基準はそれぞれで、私たちと同じとは限らないとは思います。ですが私たちの働き方が、もしかしたら誰かの心を少しでも軽くできるかもしれない……とも思うようになりました。
私たちもまだ道半ばではありますが、私たちの働き方、そして今に至るまでの経験が、あなたの「自由」や「幸せ」に一歩でも近づけるきっかけになれば幸いです。
1、旅をしながら収入を得るには
突然ですが○○一周・□□縦断といった旅をしている人は日本にどれくらいいると思いますか? 私たちはそんなに多くないと思っていたのですが、この3年半で「こんなに多いのか」という感想を持つほど、意外と多くの人がチャレンジしている姿を見かけました。
もちろんその中には、長期休暇を利用している大学生なども多くいました。ですが中には本当に時間にとらわれず自由な旅をしている人たちもいて、その人たちの収入源は大きく2種類に分けられていたことに気づきました。
①定期的な収入がある人
②旅をしながら資金を稼いでいる人
中でも一番多かったのは①に分類される、老後の年金を活用している年配者の方々。やはり私たちに近い世代(20~30代)で、自由に旅をしている人は少ない印象がありました。
彼らをお手本にするならば、自由を得るためには年金をもらうまで会社を勤め上げるのがきっと正しいのでしょう。ですが年金をもらうまでまだまだ先も長い(しかも不安な情報も飛び交っている)私たちの世代に、その方法を提示するのは少し酷ではないかとも思うのです。
ではそれ以外で、彼らと同じような自由を、彼らよりも早い段階で得ることができるとしたら、一体どのような方法があるでしょうか?
その答えは、言葉でまとめるとすごくシンプルです。①のように自分が労働しなくても得られる収入をつくるか、②のように時間や場所を問わない働き方に移行するかだと思います。
①については不動産経営や投資などさまざまな方法があると思いますが、それは他の方の意見を参考にしてもらうとして、今回は私たちが実践している②についてお話ししたいと思います。
結論から言うと、私たちは働き方を会社員からフリーランスに移行し、収入を安定させるよう注力してきました。
2、フリーランスという働き方
「フリーランス」という言葉に馴染みがない人もいるかもしれませんので要約してお伝えすると、「自営業」に分類される働き方のひとつで、法人企業に属していないのが特徴です。
フリーランス(英: freelance)は、特定の企業や団体、組織に専従しておらず、自らの技能を提供することにより社会的に独立した個人事業主もしくは個人企業法人である。
【出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より】
通常、会社員は「会社と雇用契約を結んで所属する」ことでお仕事をもらっています。ですがフリーランスは「会社と業務委託契約を結んで提携する」ことでお仕事をもらいます。つまりフリーランスになるというのは、毎朝仕事が用意されているわけではなく、自ら仕事を見つけて成果をあげます。
そのため会社勤めより能動的に動いたり、責任がともなう自己判断が必要だったりなどの仕事面での苦労はもちろん、自ら確定申告をするなど事務的な作業も増えていくので、会社員より大変なことも多々あります。しかも収入も毎月定額で約束されているわけではありません。なのでフリーランスで働くことを検討したくても、実現不可能と感じてあきらめてしまう人も多いのではないでしょうか。
確かにフリーランスへの壁は高いと思いますし、私自身もそう思っていました。ですが「準備が8割」という言葉もあるように、最悪を想定して準備を整えれば、リスクを減らして移行することはできるとも思います。つまり「明日から会社を辞めてフリーランス」は無謀ですが、準備を整えた上で「○年後に会社を辞めてフリーランス」は現実的な話だと思うのです。
今、あなたが働く環境の中で苦しいと思う原因はなんでしょうか。中でも特に当てはまるのが「お金」「時間」「場所」だと思います。
そして会社員の場合、お金は何とかなる可能性があっても時間・場所の制約はなかなか外せない。だからと言って時間・場所を求めて会社を辞めてしまうと、今度はお金が困る……と、堂々巡りに陥ることが多いと思います。
つまりそれを解決するには、会社を辞めてもお金が稼げればいい。そこでフリーランスという働き方が選択肢に出てくるわけなのですが……言うのは簡単で、それができないから多くの人が困っているのも現実だと思います。
そこでまずは、曲がりなりにもフリーランスへの移行に成功した私たちが、具体的にどうやって会社員からフリーランスになったのか、その体験談を最初に共有したいと思います。
3、私たちがフリーランスになった経歴
と、その前にお断りしておきたいことがあります。
これからお話するのは一発逆転を叶える魔法のような方法では全くありません。私たちの方法では準備に5年以上の年月(2011~2016年)がかかったことを先にお伝えしておきます。
そして結果論でもあるので、再現性が乏しく感じる部分もあるかと思います。ただ私たち夫婦で手順が2つのパターンに分かれたということから、サンプル事例としてみなさんに追体験してもらい、ここからメリット・デメリットを汲み取っていただく目的でお話しようと思います。
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◆旦那様の場合→まず独立して軌道に早く乗せる
旦那様(私が夫を呼ぶときのおふざけ愛称です、ご容赦ください)は2011年まで会社員として勤めていました。ですが突如、会社都合で退職せざるを得ない状況へ一転。元々独立を考えていた旦那様はそれをきっかけに独立の道へ進むことを決意しました。
もともとデザイン会社に勤めていた影響で、以前から友人や知人から名刺やイベントのパンフレット、さらには派生してホームページも作れないかと相談される機会が多くありました。その中でデザインというジャンルではWordPressでのwebサイト構築と、スマホでも見やすいwebサイト制作に需要が高まっていることを見出し、独学で学びながらその仕事を中心に受注していくようになります。
出来上がった作品をストックしながらポートフォリオ(作品集)を作成。それをもとに繋がりのある企業にPRし、安価でもいいのでとにかく受注を取ることに専念しました。そして単発や簡単な仕事を受け続けていく中で、いかに仕事発注をリピートしてもらえるか模索していきます。
約2年は受注が安定しない日々が続きましたが、3年経ったころにリピートも増え、受注が安定してきたタイミングで単価アップの交渉も進めていきました。その間、仕事を自宅以外にカフェや図書館で気分転換をかねて行うことも多かったため、その経験から「時間と場所を問わずに仕事ができる」という確信も得ることができました。
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◆私の場合→貯金をもとに新しい仕事へチャレンジ
2011年、私はちょうど新しい会社に転職したばかりでした。元々家賃や光熱費などの固定費は旦那様と折半していたのですが、それを支払いながら少しずつ貯金もできるほど、経済的に問題なく過ごせていました。
仕事を辞めても6ヵ月先までは何とかなるほどお金が集まった2016年。旦那様と相談して日本一周の旅へ出ることを決意……つまり会社を辞めなくてはいけませんでした。そして私の場合、これまでの仕事はデータ入力や事務作業などのサポート業務で手に職と言えるほどの内容ではなかったため、会社を辞めたあとは「場所を問わない」「時間の融通が利く」という条件の中で自分ができる仕事を探すしかありませんでした。
どんな仕事なら可能か模索し続けた結果、データ入力の仕事でPCに文字を打つのが早くなったという得意の再発見と、web記事など活字文章を読むのが好きという趣味を掛け合わせ、ライターの仕事にチャレンジしてみることを決意。
お仕事を頂けるクライアント様はクラウドソーシングから探しましたが、初心者ということで実力も乏しく、単発や短期のお仕事が中心にならざるを得ませんでした。ですがとにかく自分ができる仕事を安価でも受け続け、ライティングの基礎やノウハウを独学で学びつつクライアント様からの指摘をもとに技術改善を試みて基礎力を高めていきました。
そして6ヵ月後にキュレーションサイトの立ち上げに伴うお仕事に携わり、その後も途切れず発注いただいたのでクライアント様とは1年半ほどお付き合いいただきました。その次は商品比較サイトのライティング・リライト案件で別のクライアント様からリピートしていただき、少しずつ単価アップも了承していただきながら安定的にお仕事を続けられるまでになりました。
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私たち夫婦の場合はどちらかが経済的に安定しているタイミングで片方が独立したので、各自フリーランスへの移行が少々荒っぽくなってしまった傾向はあるのですが、2人の経験をもとにフリーランスに移行するには下記4つを準備することが重要だったのだと痛感しました。
1)得意な「仕事」を見つける
2)反復して「技術」を磨く
3)軌道に乗せて「安定」させる
4)3~6ヵ月は生活できる「お金」を集める
……ですがこれも言うのは簡単で、ハードルが高く難しく感じるのは、身をもって重々承知しています。
そこで「これを知っていたらもっと早く準備できたかもしれない」「できれば会社勤めの頃から知りたかった」と思うポイントを実体験をもとにピックアップしてみますので、この問題を切り抜ける攻略のヒントに少しでもお役立ていただけたら幸いです。
4、フリーランスに移行するための4つのポイント
1)得意な「仕事」を見つける
会社で仕事をする場合は上司が部下の適正を見つけたり、適正を前提に雇用されるのが当たり前ですが、フリーランスで仕事をする場合は「自分は何ができるのか」を自らしっかりPRすることが重要なポイントのひとつです。……単純であきれる話かもしれません。でもこれが意外と初心者には盲点になることが多く、私も最初これが理解できず余計な時間を使ってしまいました。
たとえばですが、もし野菜がほしい場合あなたはホームセンターとスーパーどちらに買い物に行くでしょうか。……野菜を売っているホームセンターもあるかもしれません。けれど多くの人は「スーパーには野菜が売っている」という前提が頭の中にあるため、スーパーを選ぶと思います。これと同じで「自分が何を売っているのか」を明確にするほどお客様が寄ってきやすい傾向があります。
私たちの仕事を例にすると、デザイナーと言ってもパンフレットとホームページのデザインは全くの別モノで、ライターと言ってもコピーライティングとキュレーションサイトの執筆は全くの別モノだったりします。なので「○○ができる」と細かい部分まで明確にすることは、自分の得意がPRできるだけでなく依頼が入ってきやすくなるメリットもあるのです。
「じゃあ自分は何ができるのか」と自問自答しても、会社の仕事を淡々とこなすのが日常になっていると答えに詰まることが多いかと思います。そこでまずは自分は何が向いているのか・得意なのかを把握するために、この3つを深堀りしてみるといいかもしれません。
1、自分が役に立てる「お手伝い」はどのような作業か
2、それを「企業より安い価格」で頼みたいと考えている人はどんな人か
3、「頼まれたら出来なくもないこと」の中で需要が高いものはどれか
※3が具体的に分からない場合は、クラウドソーシング(インターネット上で不特定多数が集まって仕事を仕上げる方法)のサイトを覗くとどんな仕事が多いのかすぐ分かるので、参考にしてみると具体的な幅が広がると思います。
この3つを昔の旦那様と私に落とし込んだ場合……
1、旦那様:デザインの応用で印刷物やwebデザインも手伝える 私:データ入力の技術を使ってPCで文章を書くのも手伝える
2、旦那様:イベントを主催者していた知人や企業 私:PCで文章を打つ暇すらないほど忙しい人、書く内容は分かっていても上手くまとめられない人
3、旦那様:スマホでも見やすいwebサイト制作、Wordpressでのサイト構築 私:商品PR文章を書くこと
上記はあくまで一例なので簡略化していますが、1つだけでなく多彩なジャンルで挙げてみて、自分が提供できる技術を探ることがカギになると思います。これを少しでも把握しておくことで会社以外の人間が必要としているスキルが見えやすくなるのはもちろん、今後「自分の武器」として昇華できる可能性も見えやすくなると思います。
そして自分の武器が見つかりそうになったら、次は本当にその仕事でお金を稼ぐことができるか、前例があるか調べてみてください。
4、その仕事をフリーランスで業務委託している人はいるか
5、その仕事でどれくらいの稼ぎが見込めるか
これを旦那様と私に落とし込んだ場合……
4、旦那様:いる(フリーWebデザイナー) 私:いる(フリーライター)
5、旦那様:フリーWebデザイナーの平均年収300~400万・トップデザイナー年収1000万越え 私:フリーライターの平均年収300万・トップライター年収1000万越え
どんな仕事を業務委託しているのか、どのくらいの稼ぎが見込めるのかというのはジャンルによって違うため一概には言えない部分があります。そのため各自ピックアップした仕事の経済事情を調べてみて、自分でも稼げる可能性があるか探ってみてください。
2)反復して「技術」を磨く
フリーランスになるために技術を磨くというと、専門家の元で修行したりセミナーに通ったりなど、先人からノウハウを教示してもらい実力を伸ばす方法もあります。こういった方法はお金がかかることが多いですが、人脈やコネなど今後の仕事で代えがたいものも得られるため、学びに行くこと自体はかなり有効だと思います。
ですが私たちはそういったことはせず、なんとか独学で独立することができました。旦那様は元々デザイン関係の仕事をしていたものの、印刷物やwebに関してはそこまで技術は高くなく、本を読んだりネットで調べ、試行錯誤を繰り返しながら技術を身に着けていきました。私も企業の編集部などに在籍した履歴は一度もなく、初心者OKの仕事を受けながら本やネットで知識を得つつ、試行錯誤を繰り返してライターのノウハウを学んでいきました。
これは仕事内容によっても変わってくるかもしれませんが、本人の努力次第で独学でもそれなりに技術を磨くことは可能だということを、私たちは経験を通して実感することができました。ただし個人的にはお金と時間に余裕があるならば、先人から習うことに無駄はないと今でも思っています。また、仕事内容によっては高度な技術が求められたり、資格が必要なこともあると思います。習うべきか、独学で積み重ねるかは、先人たちの意見も参考にしながら判断してみてください。
3)軌道に乗せて「安定」させる
そして技術を磨くことと同じくらい、何度も仕事を依頼してくれる「リピーター」を得ることはものすごく重要です。なぜならフリーランスという不安定な職業の中で収入を安定させるためには、長期で継続的な仕事を得れるかどうかが最大のカギだからです。
これは会社員が隙間時間に得るというのは、少し難しい部分があるかもしれません。そこで会社で働きながらでも磨くことが可能で、フリーランスに移行したあとにリピーターを得やすくなるポイントをお伝えしようと思います。
それは、ものすごく当たり前に聞こえるかもしれませんが下記の2つです。
1、仕事の質を上げること
2、レスポンス(応対)の質を上げること
ちょっと想像してほしいのですが、今お勤めの会社で「なんで自分がこんな事をしなければいけないんだ」と不満に思っている作業はありませんか? そしてそれを他の誰かに任せられたら、もし社内が無理なら外注でなんとかできたら嬉しいと思うのではないでしょうか。
そして本当に外注を任せることになった場合、仕事を任せる側(クライアント)としては特にこの5つを恐れて回避したいと考えます。
①納期・約束を守らない
②想像以上にクオリティが低い
③的外れな仕事をされる
④コミュニケーションが取れない
⑤情報の漏洩
⑤については業務提携時に「秘密保持契約」を結んだり、最初に約束を交わすことで守秘義務をフリーランス側に負わせることが可能なのですが(もし損害が発生した場合はフリーランスに賠償請求するという最終手段も。ちなみにこれを守るフリーランス向けの損害保険もあります)
①~④については事前に防ぐためにフリーランスの過去実績から判断したり、最初は短期契約で様子をみて今後の契約更新を考えるクライアントが実際に多く見受けられます。そして①~④が残念ながら当てはまるフリーランスだった場合、契約更新されることは確実にありません。要求レベルが満たない仕事をされるなら、どんなに安価でもお断りなのです。
掃除のおばちゃんに例えると分かりやすいかもしれません。①無断欠勤が何度もあり ②手抜きと思うほど掃除が行き届いてなく ③頼んでいない場所の整理整頓に熱心で ④何度話しても聞く耳をもたず ⑤小耳にはさんだ社員の噂話を言いふらすおばちゃんに、また仕事に来てほしいと思うでしょうか。
仕事というのはシンプルに考えれば「人の役に立つこと」。最初は短期のお仕事を任されたとしても、約束・クオリティ・コミュニケーションを大事にすることでリピートを検討してもらえたり、長期でお仕事をもらえる可能性が高くなることは私の実感からも間違いないと思います。
また一般的な履歴書と同じで、長期で同じクライアントの業務に携わっていた履歴は強みに昇華できます。なぜなら長期で仕事を受け続けたという事実は相手の信頼を勝ち取っていたという紛れもない証拠になり、安心できる判断材料となるからです。
4)3~6ヵ月は生活できる「お金」を集める
これまでの技術的な内容とは打って変わって、生活の知恵のような話になってしまいますが、ある程度お金を準備しておくことはフリーランスになる上で重要なポイントのひとつだと思っています。
実はフリーランスになってからすぐは環境の変化もあって混乱が多く、私も旦那様も仕事に注力できるようになるまで2~3ヶ月はかかってしまいました。さらにその仕事の報酬をいただくのに、クライアント様の経理処理を1~2ヶ月ほど待たなければならず、その間は収入がほとんどない状態で貯金に助けられたのです。
個人的には自身の経験や周り意見から、フリーランスに移行した人が本格的に動き出せるのは早くても3~6ヶ月後ではないかと考えています。なので稼ぎがなくても生活できるお金が少なくとも3~6ヶ月分、さらに安心を求めるなら1年分以上が理想……ですが、昨今の貯金事情を見ますと「そんなお金があったらとっくに会社を辞めている」という人もいるのではないでしょうか。
ならばフリーランスで始めようと思っている仕事を今から副業としてスタートしつつ、ゆっくり実力と人脈を育てながら稼いでいくのもひとつの方法だと思います。限られた時間の中でやり繰りは大変かと思いますが、こうすることで独立後に収入がない期間を短縮しやすいメリットもあります。
さらに、お金の話になると稼ぐことばかり意識が向いてしまいがちですが、支出を減らして貯金に回すこともかなり重要な資金集めのひとつです。たとえば私たちは携帯電話を格安SIMに乗り換えたり、保険の見直しをしたりなど、時間をかけて固定費を中心に支出を減らしてきました。こういった方法は私たちよりも詳しい人たちがネットで情報提供していますので、その方々の意見をもとにステップアップのためのお金を集めてみると良いのではないかと思います。
5、自分の心が軽くなる働き方を
私も過去に実感していましたが、会社勤めは安定的収入と社会保障といった手堅いメリットが強みです。確かに自由が利きにくいデメリットやリストラなどの不安要素はあるものの、出世や転職を検討しながら続けた方が心穏やかに過ごせる人も多い働き方だと思っています。
ですが、昔の私たちのように会社員という働き方に限界を感じ、もがき苦しんでいる人がいるのであれば……フリーランスという働き方を見据えることで、未来に少しでも希望が持てる可能性もあるのではないかと考えています。
冒頭でもお話したとおり、人によって「自由」や「幸せ」の基準はそれぞれです。魚が自由に泳げるのは水の中、鳥が自由に飛べるのは空の上であるように、どんな生き物でも環境が適さなければたちまち生きていけなくなってしまいます。誰かの固定観念や常識に翻弄されず、自身の心が軽くなる働き方を見出し、それに向かって少しずつでも前に進むことが大切だと思っています。
フリーランスは会社勤めより大変な部分はありますが、この働き方のおかげで私たちは資金を集めながら1000日間も旅を続けることができました。実はこれ、たった10年前ですら実現不可能だったと思っています。このスピード感で今後も環境がより良く変化し、働き方が多彩になり、多くの人の人生がより生きやすくなる未来が訪れることを個人的には期待しています。
この記事が受賞したコンテスト
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