camiroi

72年生まれ。物書き。https://twitter.com/camiroi

camiroi

72年生まれ。物書き。https://twitter.com/camiroi

マガジン

  • 『ミッドサマー』へといたる道/ホラー映画 1996-2019

最近の記事

「『薬屋のひとりごと』“手抜き”騒動から作画技術を考える 視聴者の肥えた目がもたらすもの」を読んで

リアルサウンド映画部に「『薬屋のひとりごと』“手抜き”騒動から作画技術を考える 視聴者の肥えた目がもたらすもの」という記事が上がった(執筆者はすなくじらさん)。 読んでいて、いくつも「えー?」と思う箇所があったので、ふと思い立ってちょこちょこ赤字を入れてみた。とはいえ、あくまで自分の理解している範囲の話なので、間違っているところもあると思う。ご指摘いただけると幸いです。 まずは最初の段落。 「デフォルメ表現」というのは通常、描写対象を意図的に歪曲・変形させる表現方法を指

    • ベストテンは楽し(2018年映画ベスト10)

      ベストテンを考えるのは楽しい。一年間に観た映画をあれこれ思い出しつつ、「10本に収まらない……!」と頭を悩ませるのも楽しいし、あるいは「配信で観られるものだけ」とか「ホラーだけ」みたいに、縛りをつくって10本選ぶのも楽しい。 そんなわけで年間ベストを選ぶのは楽しいのだが、映画監督の中平康が書いた「反・荘重深刻派」というエッセイがある。そのエッセイで中平は、巨匠の名前と次作の題材がわかっていれば、メディアが発表する年間ベストテンなんてものは事前に予測できる、と嘯く。 主題の

      • 『風立ちぬ』から『君たちはどう生きるか』までの1ダース

         宮崎駿監督の新作『君たちはどう生きるか』が、この7月に公開される。前作『風立ちぬ』の公開が2013年7月20日だから、ぴったり10年ぶりの新作ということになる。  そこでふと思い立って、この10年の間に公開されたアニメ映画の中から、強く印象に残った作品を選んでみた。最初は10本で考えていたのだが、どうにも上手く収まりそうもなかったので、プラス2本で1ダース。まず「ストーリーが面白い」ことを第一に、ついで「アニメーションらしいビジュアル面での冒険、音響面での挑戦をしている」こ

        • 『トップをねらえ2!』をめぐって

          その「切なさ」はどこからやって来るのか 『トップをねらえ2!』はとても切ない。  ……というと、違和感を持たれる方もいるかもしれない。貞本義行がデザインを手掛けたキャラクターは、華やかさと軽やかさを振りまきながら、しっかりとした実在感を持って迫ってくるし、「バスターマシン」と呼ばれるロボット群が繰り広げるバトルは、壮大な宇宙をバックに圧倒的な迫力で目を楽しませてくれる。しかも、そうしたポップなビジュアルとは裏腹の、SFマインドに満ちた世界観設定とストーリー。宇宙パイロット

        • 「『薬屋のひとりごと』“手抜き”騒動から作画技術を考える 視聴者の肥えた目がもたらすもの」を読んで

        • ベストテンは楽し(2018年映画ベスト10)

        • 『風立ちぬ』から『君たちはどう生きるか』までの1ダース

        • 『トップをねらえ2!』をめぐって

        マガジン

        • 『ミッドサマー』へといたる道/ホラー映画 1996-2019
          2本

        記事

          『ミッドサマー』へといたる道/ホラー映画 1996-2019(Part 2)

          前回は『スクリーム』と『フロム・ダスク・ティル・ドーン』、そして『女優霊』という3本の作品を通して、1996年前後のホラー映画を取り巻く状況を概観した。引き続き、ここでは90年代後半から2000年代初頭にかけての状況を振り返ろうと思う。 ギレルモ・デル・トロ監督『ミミック』 まず最初に、90年代にキャリアをスタートさせた2人のフィルムメーカー、ギレルモ・デル・トロとM・ナイト・シャマラン――彼らとジャンルムービーとの距離感を見ておきたい。 ……と、その前に当時、アメリカ

          『ミッドサマー』へといたる道/ホラー映画 1996-2019(Part 2)

          音楽が私たちを解き放つ/『日本沈没2020』

          (※以下の文章では『日本沈没2020』の内容について、がっつりとネタバレしています。ご注意を) ひと言で言えば『日本沈没2020』は、ハードボイルドなのだと思う。作家の都筑道夫は、私立探偵・西連寺剛を主人公とした小説『死体置場(モルグ)の舞踏会』のあとがきに、「ハードボイルド・ミステリ」の特徴について、こんなふうに書いている。 また別の文章(エッセイ「彼らは殴りあうだけではない」)で、都筑はハードボイルド小説とは、「カメラのレンズのように乾いた目を通して、冷静に、正確に、

          音楽が私たちを解き放つ/『日本沈没2020』

          『ミッドサマー』へといたる道/ホラー映画 1996-2019(Part 1)

          4年ほど前のことになる。ある知人の「ホラーはもう、廃れたジャンルだ」という発言を聞いたのが、この記事を書こうと思い立つ最初のきっかけになった。 当時は『IT/イット “それ”が見えたら、終わり』(2017年)のヒットもなく、アリ・アスター監督の『へレディタリー/継承』(2018年)や『ミッドサマー』(2019年)はまだ製作されておらず、デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の『イット・フォローズ』(2014年/日本公開は2016年)が公開されたばかり……という状況だった。だか

          『ミッドサマー』へといたる道/ホラー映画 1996-2019(Part 1)

          C2020/最近楽しく聴いている日本のインディーアーティスト

          去年から年に一度、よく聴いている日本のインディーアーティストの楽曲をSpotifyのプレイリストにまとめている。これはその2020年版。せっかくなので、簡単なプロフィールをつけて記事にしてみた。 1)MIMOSA/ZOMBIE-CHANG シンガーソングライター・メイリンによるソロプロジェクト。2016年にシングル「恋のバカンス E.P.」でデビュー。2018年の3rdアルバム『PETIT PETIT PETIT』では、サポートにnever young beachの鈴木健

          C2020/最近楽しく聴いている日本のインディーアーティスト