箸ヤスメ #2 「通じ合うものたち」
わたしの友人で、「毎朝欠かさずうんこが出る」ことが自慢な子がいる。
その子いわく、自分は毎朝うんこ出るし、小麦は取らないし、コーヒー飲むし、めちゃくちゃ健康体らしい。
ちなみに、わたしはその子の好物がパスタで、コーヒーは主にインスタントを飲んでいることを知っている。
ボロが既に出ているが、とにかく、毎朝うんこ出る、というのが彼女のステイタスであるようだ。
だがしかし、わたしは知っている。
彼女とは、お泊まりしたり、旅行したりする仲なんだが、朝食後、たしかに彼女はトイレに行くのだ。
そして長いときは30分ほど、籠城するのだ。
正直、こちらとしてはたまったもんではない。
チェックアウトの時間、旅行のスケジュール、朝から並ばなきゃ入れないお店、そういうことを彼女は全く考えていないのだ。
旅先のスケジュールの問題だけではない。
わたしだって、調子のいいときは朝から出るときだってある。そういうことも全く考えていないのだ。
先に籠城されてしまうから、いつもわたしが廊下とか露天風呂にあるトイレに駆け込むしかないのだ。
彼女の籠城中にみんな出かける準備が済み、テレビなども消してただ待っている状態のため、聞き耳を立てているわけではないが、もちろん音は聞こえてくる。
ぽちゃん、とか、ぷぅ、とか、聞こえるなら全然いい。
無音なのだ。
出ろや。
お前か、もしくはうんこが出ろや。
そんなにずっと出ないならわたしに順番譲れや。
そう言いたいことが何度あったことか。
本当は、友人を代表してはっきり言ってやりたい。
5分がんばって出ないなら、痔になるからやめたほうがいいよ。
そんな意地になってまだ出たくないうんこ出しても、うんこがかわいそうだよ。
それ、毎朝お通じあるって言わないよ。
出たっていっても、せいぜいうさぎのうんこひと粒ぶんぐらいでしょ?
無理やり開通させても、どこかしら欠陥出てくるよ。
うんこが自然に出てくるまで待つほうが、よっぽど健康的だよ。
あぁ言いたい。言いたいけど、彼女があまりにも堂々と健康アピールしてくるもんだから、今日もまたタイミングを逃してしまうのだ。
うんこも忠告も、タイミングが大事である。
…
…
…
こんなにうんこ連発したの初めてかもしれない。
おしまい
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