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【句集紹介】そんな青 宮崎斗士句集を読んで

・紹介

俳句を詠むことは誰にでもできる。5・7・5で季語を入れれば基本的には、もうそれで俳句である。問題は、その作った句がどの程度のレベルのものなのか、初心者では全く判断がつかないということだ。小生も俳句を初めて最初に感じた課題がそれだった。

とはいえ、面と向かって人に見せるのはなんだか恥ずかしいし、挙句こっぴどく酷評されるのは嫌だ。この髭眼鏡は、何を俳句なんて気取ってことをしているのだろうと蔑まれるのはもっと嫌だ。しかし、句は誰かに見てもらって批評はしてもらいたい。そこで臆病者なる小生は、現代俳句協会のホームページにあった、通信添削を利用することに決めたのである。そこの先生が、今回紹介する宮崎斗士先生であった。優しい先生のアドバイスや、俳句の技術的なアドバイスがなかったら、小生はさっさと俳句を捨てていたかもしれなかった。今も俳句を続けているのは先生のおかげである。その節は大変お世話になりました。

宮崎斗士先生の作風は、口語で独創的な比喩。詠みあげる題材は、人間の基本的な生活に近いものが多い。つまり、「とてもリアルな生活の一部の詩化」であると小生は考えている。使われる言葉はわかりやすく、ぽんと口をついてできた、宝物のような言葉を大事に、そのまま句に使う。この句集の帯で金子兜太が「詩が溜まっているから峠をどんどん歩いていく。鹿や狐や猪によく出会う。どっちも笑う」との言葉を贈っているが、まさにそんな優しい世界観なのである。

今回の小生の厳選10句は、俳句を始めたての頃、気に入った句としてチェックをつけたもの中から選をしている。チェックをつけた当時の小生が、何を感じながら読んでいたのか、思い起こしながら、楽しく選ばせてもらった。皆様にも是非楽しんでもらいたい。

・厳選10句

東京暮らしはどこか棒読み蜆汁

日永かな動いてロボットだとわかる

天文学っておおむね静かふきのとう

すもも買う破船のように静かな日

消去法で僕消えました樹氷林

かまきりやこの村オムライスの明るさ

切り株は優しい手紙とんぼ来る

星の夜のあの子すっかり猫科です

桜二分廊下ですれ違うくらい

原爆ドーム一は何乗しても一

・作者略歴

宮崎斗士。1962年東京生。「海程」所属。「青山俳句工場05」編集発行人。現代俳句協会会員。海程賞、現代俳句新人賞等受賞歴多数。

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