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【句集紹介】花行 高橋睦郎句集を読んで
・紹介
修辞について、高橋睦郎は下記のように、インタビューで答えている。
リアリティ(真実性)ではなく、アクチュアリティ(現実性)があって、どこででも起こりうることでないとね。そうではないと、馴染まないですよ。
この言葉は俳句においても如実に、表れている。というより、浅学なる小生、高橋睦郎氏のことを存じなかったが、高橋氏は俳人であり、歌人であり、劇作家でもあられる、多才の人だ。
道理で読了後に寺山修司の句を思い出してみたり、シェイクスピアの悲劇の一場面みたいなんて感じたわけである。
本句集は氏の花について詠まれた句をまとめたものである。厳選10句については、小生の好みなのか桜の句が多くなってしまったが、ご容赦していただきたい。
・厳選10句
中ぞらや首熱き日の白木槿
死ぬることのどかや墓の花の晝
この星を割って咲いたる花ばかり
露伴忌や露けきを折る草の花
夕顔の白きより暮れ暮残る
誰彼の亡くてまぶしき櫻かな
花の屑巻込む鯉のうねりかな
手鏡の奥小暗しや著莪の花
みちのおくに猶花ありと人群るる
見上げゐるわれももののけ夕櫻
・作者略歴
1937年福岡県生まれ。福岡教育大学卒業。1964年に詩集『薔薇の木・にせの恋人たち』を出版、以後、短歌や俳句なども併せて創作する。詩や短歌のみならず、オペラ、新作能、ギリシア悲劇の上演台本作成など、舞台芸術でも幅広く活動をしている。句可歌集『稽古飲食』で読売文学賞、その他受賞多数。2000年には紫綬褒章を、2007年には織部賞、10年には現代詩人賞、12年に旭日小綬章を受けている。
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