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【カンボジア徒然草】プノンペンの第3環状道路を習近平通りに改名。と、そこからの四方山話。


カンボジア政府は、プノンペン都外周の第3環状道路を「習近平通り」に正式に改名しました。改名式典は28日にプノンペンの平和宮殿で開催され、フン・マネット首相と王文天駐カンボジア中国大使が出席しました。

フン・マネット首相と王文天駐カンボジア中国大使

首相は「習主席のカンボジアの発展への歴史的貢献に感謝する」と述べ、「中国の支援はカンボジアの社会経済発展に寄与するだけではなく、政治的独立も強化する」と、国防長官が近日訪問予定のアメリカを意識したとも思われる評価もしています。因みに、中国大使は近日中に離任の予定で、後任には中国外交部の報道官で、日本のニュースでもお馴染みだった汪文斌氏が着任の予定です。

汪文斌外交部報道官


新たに命名された大通りは、4つの高架橋と8つの橋を含む、全長48kmの外周道路です。中国政府からの2億7300万ドルの融資を受けて建設され、プノンペンから放射状に伸びている国道のうち、1号線から4号線を結びます。中国の上海建工集団有限公司によって2019年1月14日から建設が開始されていました。

習近平通りの橋
習近平通りのジャンクションの様子


カンボジアは、中国が推し進める経済圏構想「一帯一路」に積極的に参加しており、中国資本による大規模な不動産開発も乱立しています。最近は不動産バブルの崩壊により、投資の冷え込みが懸念されていますが、去年の外国からの投資額の66%は中国が占めるなど、経済は依然として中国に大きく依存しているといえます。この外周道路沿いでは、土地投機により地価が高騰している一方で、投機筋の銀行への返済が滞っている事案等も聞こえてきます。

プノンペン都内には、カンボジアと関係の深い外国人の名前をつけた通りが多く存在します。シャルル・ドゴール通りやネルー通り、金日成通りらと並んでプノンペン都内の主要な環状道路の名前は毛沢東通りです。また日本人ですと、プノンペンではありませんが日本政府のODAによりタケオ州で修復された道路をオブチ道路と名付けた事例もありましたが、今年現地を訪れた際に住民に聞いてみると、誰もその名前を使っていませんでした。オブチ道路は、小渕元総理が亡くなったことを追悼して、フンセン首相が命名するように指示を出したと記憶していますが、ちょっぴり残念です。

金日成通りの記念碑
毛沢東通りの標識

因みに名前をつけても使用されない事例がある一方で、その逆も存在します。プノンペン中心部からプノンペン空港に向かう南のバイパス道路は、通称「マエダ道路」と呼ばれています。多くのカンボジア人がマエダとは何か知らぬままに使っていますが、これは前田建設のことです。1990年代に、この道路沿いに大規模な事務所を構えていた前田建設が、ボランティアとして道路を整備したことから、自然とそう呼ばれるようになりました。

毛沢東通りは都民に浸透し日常的に使用されていますが、習近平通りの名前は、これからどうなるのでしょうか?。

そんなわけで、「特別なこと」ではあるものの、メディアが騒ぐほど「特別なことではない」のではと感じています。

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