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6,000万画素がボク的な最低ライン

●デジタルカメラの画素数の増加

デジタルカメラの画素数は、当時のビデオカメラ用長方形画素のCCDを流用した25万画素からスタートし、やがてデジタルカメラ専用として正方形画素を採用したCCDが開発され、その後C-MOSへと遷り、そして徐々に画素数も増えていった。

25万画素の画像は本当にヒドいもので、メモ用途であったとしても用途がかなり限定させられたが、画素数は時代とともに少しずつ増えていき、100万画素を越えて「メガピクセル時代到来!」と騒がれるようになってようやく、「もしかして写真としての使い道があるのでは?」と思い始めた。

そして1,000万画素を越えたあたりから、「フィルム画質を越えた」と言われるようになってきた。
そこで1,000万画素の「Nikon D200」を使うようになったのだが、結局のところそれは35mm判相当の情報量でしかないことを感じた。

<1,000万画素のデジタルカメラ>

●ボクが66判を使う理由

ボクは、写真には情報量を求める。だから、フィルムで撮っていた時には小型の35mm判ではなく66判(中判)をメインに使っていた。
フィルムは微粒子のものを使い、三脚でしっかり固定して慎重にシャッターを切るなどして、その情報量が最大限にフィルムに定着出来るようにしていた。

情報量を求める理由の1つとして、火山地形を撮ることが挙げられる。
火山地形は、噴火、隆起、降灰堆積、雨水浸食(ガリー浸食)、などの様々な地質的ドラマが重なって出来上がったものであるから、そのドラマを読み解いていくことが面白い。
だが実際にその場に行ってみると、あまりのスケールの大きさに手こずり、何も分からず帰ってしまうことがほとんど。そんな時に写真が役に立つ。

<蔵王のお釜>

丁寧に撮影したリバーサルフィルム(ポジフィルム)では、全体を眺め回しながら、気になるところを高倍率ルーペやスライドプロジェクターで拡大してゆっくり見ていける。
そうすると、現地では気付かなかったものが必ず写り込んでいる。そういった発見が写真の良い所だと思う。

<昭和新山>

そもそも写真というのは、撮影行為自体は大して面白いものではない。むしろ苦労のほうが大きい。特に66判の撮影では、重い機材を背負い、MFでピントを合わせ、3枚露光ずらしをし、頻繁にフィルム交換をする(3枚露光ずらしをすると、フィルム1本で4カットしか撮れない)。

だが、その写真は持ち帰って隅々まで眺めるためのもの。それがあるからこそ、このように撮影に苦労があっても頑張れるのだ。

<噴気を出し始めた当時の一切経山>

●66判相当の画素数は3,600万画素

では66判相当の情報量を確保するには、デジタルカメラではどれくらいの画素が必要なのか。

その前にまず、フィルム同士の比較として、35mm判と66判を比べてみたい。
画面の大きさの比較としては下の図のようになり、面積比で言うと、(35mm判:66判=1:3.6)というのが計算で導き出せる。

<35mm判と66判の面積比は1:3.6>

この関係を画素数で考えてみるとすれば、もし35mm判相当の情報量が1,000万画素で得られるということを前提とするならば、上記の式(35mm判:66判=1:3.6)から66判相当というのは3,600万画素ということが導き出せる。

●実際に必要な画素数のデジタルカメラ

では、ボクが66判からデジタルカメラに乗り換えるには、3,600万画素あるカメラであれば良いのかというとそうでもない。
なぜならば、66判というのは正方形のフォーマットであるため、通常の横長フォーマットのデジタルカメラで考えるならば、正方形にトリミングした状態の画素数で比較せねば辻褄が合わない。

この場合、3,600万画素の画像から正方形トリミングするとしたら画素数はどうなるか?その計算は、短辺の二乗をすることになる。
3,600万画素の縦横ピクセルは7,360x4,912ピクセルなので、4,912x4,912=2,400万画素となってしまう。

<3,600万画素の画面でも正方形の最大値は2,400万画素にしかならない>

結局のところ、3,600万画素だと言っても66判として見たら実質2,400万画素でしかないということになる(有効画素数みたいなもの)。
これではとても、デジタルカメラをメインとして使うことが出来ないではないか。情報量を得るために35mm判から66判に乗り換えたというのに、そこからわざわざ低解像度の画質に移れるはずがない。

では逆に、66判で必要な3,600万画素を得るには、どれくらいの画素のカメラが必要なのか。
計算としては単純で、二乗すれば3,600万になる数が6,000であるから、つまり短辺が6,000ドット以上のカメラであれば良い。

そうなると、9,504x6,336ドットの6,000万画素カメラが最低限のデジタルカメラということになる。具体的に言うと、「SONY α7RIV」がそれだった。

<6,000万画素のSONY α7RIV>

このカメラは発売当初は40万円したので、カメラやレンズを何台も売り払い、ようやく手に入れたものであり、決して気軽に導入出来たものではない。
現在はそのカメラも売却し、同じく6,000万画素の「SONY α7RV」と「SONY α7CR」を導入し使っている。

6,000万画素は多過ぎるという話もたまに聞こえてくるが、それはフィルムからの移行が前提ではないせいだと思う。
ボクは、この6,000万画素という解像度があるからこそフィルム撮影をやめたのだ。フィルムに代わる情報量があったからこそ、ボクはデジタルカメラをメインにすることを決心したのだ。
だからボクは、6,000万画素を最低ラインとしてデジタルカメラを位置付けるのである。

<参考:主要カメラごとの解像度比較>

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