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カリフォルニアワインの記憶とその澱

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晩酌の記憶で綴る、個性と多様性のカリフォルニア・ワインについての雑感。
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2024年7月の記事一覧

カリフォルニアのヴァン・ナチュール

カリフォルニアのヴァン・ナチュール

ヴァン・ナチュールの流行が、一層、熱を帯びてきている。

若年層のアルコール離れや人口減少による需要減が話題になる中、今年、東京で開催されたRAW Wine Tokyo 2024は、想像を超えて盛況だったようだ。

ヴァン・ナチュールという言葉が想起する、伝統産地の格付けや品種の制約に囚われず、できるだけ介入を減らして個性やパーソナリティが感じられるワインを作り、持続可能な方法で消費者と生産者が手

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歩幅

歩幅

分かってはいても、自分の歩幅で生きていくことは、なかなか難しい。

人間が社会的な生物である以上、顔色をうかがったり、関心の目に晒されることは避けられない。好むと好まざるに関わらず、人となりの比較や品定めには、それなりの「需要」がある。

比較と競争があってこそ、新しいアイディアや価値観を生み出すことができる、と言われる。だとしても、絶え間なく注がれる好奇の視線と向き合い、承認欲求に心を振り回され

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挑戦の意味

挑戦の意味

映画やドキュメンタリーの「挑戦」は、結果が半ば約束されている。しかし、現実は厳しい。ただ、あるワインを飲んでいるうちに、「その挑戦に向けた準備を整える」ことに価値があると思うようになった。

EnfieldはFaillaやLittoraiで経験を積んだJohn Lockwood氏のプラベート・ブランドだ。Tempranillo、Syrah、Chardonnay、Grenache、Chenin bl

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気骨と気質

気骨と気質

Napaは世界で最も成功したワイン産地の一つだろう。Opus Oneの成功以来、Sonomaの半分の広さしかない土地の中に、一本数百ドルものワインを生産する大小様々なワイナリーがひしめき合うように立地している。かつては評論家にすり寄ったワインを作ると批判されたこともあったが、近年は様々な評価誌が幅広いワインに高得点をつけている。

Napaはオープンマインドで先進的な産地でもある。国内外の資本、多

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