見出し画像

香水の発明(願い)

原子香水

わずか幾筒かの爆薬で
地球の半分を吹き飛ばすより
たった数滴の香水が
世界の窓を 野を 海を
われらの思想と
言葉の自由をにおわしてほしい

ああ 誰かそんな香水を
発明しないものか

貴重なその一びんをめぐって
国際管理委員会を設けよ

人類のもっとも光栄にかがやくあさ
それらの噴霧を
たなびく淡紅のハンカチにしませ!
すみれ色の空からふらせ!
         (『青春不在』昭和二十七年)

丸山薫 まるやまかおる
明治三十二年、大分市に生まれた。三好達治らと「四季」を創刊。
清新な叙情精神とスタイルにより、昭和期の抒情詩変革の先駆となした。
詩集『帆・ランプ・かもめ』『鶴の葬式』など。
昭和四十九年、七十五歳で没した。
「愛の詩集」鈴木亨編 偕成社版 ジュニア版日本文学60

世界の窓を 野を 海を われらの思想と言葉の自由をにおわしてほしい
人類のもっとも光栄にかがやくあさそれらの噴霧を……。
そんな香水が欲しい!
(スマホがあったらいいな)

🌈読んで頂いて、どうも有難うございました。🍀🌈