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お店開店→天国→地獄

忘れもしない開店日

1993年6月某日 金曜日

技術者3人アシスタント2人、合計5名でスタートしたお店の予約は朝からごった返しに。

シャンプー台3台、セット面8席。

オープン準備期間中に待っていたお客様からの予約電話が店内の音楽以上にひっきりなしに鳴り響く。。

忙しい中での電話応対と受付対応。。。

新しいお店の動線に慣れないスタッフが所狭しと

肩がぶつかりながら動き回る。

かなりぎこちない。。。

朝10時から夜7時のカット最終受付までひっきりなしに。。。

片付けもほとんど出来ないまま最後のお客様を返す。

スタッフ全員忙しさの喜びと

営業初日の想像以上の疲れにより

変なテンションで片付けを始める。。。

そして誰が発したのかは覚えてないが疲れた体を振り絞り声を出し始めた。。。

「このままいったら凄く有名店になりますね!」

「本当に!マジでヤバイ!」

「すぐに二店目とか出来たりして」

「すごい金持ちとかになったりして・・・」

と、そんな夢のような会話をした事をしっかりと覚えている。

確かに、その日の忙しさは今までの経験と違い

オープン初日の精神的な疲れも含んでのものでした。

なので売り上げと言ったら実はそんなに凄くはない。。。

そしてそのまま土日営業。。。

この週末もかなり忙しく

5人はすでに有名美容師気取りになる。。。

このままいけばすごい売り上げになる!

と思った矢先でした。。

当時はお店の固定電話が鳴る事が予約へと繋がる合図でした。

。。。。

電話が鳴らない。。。鳴らなすぎる。。。。

電話機が壊れているのかと思い受話器を持ち上げては繋がっているかを何度も確認してみたり、

お客様がいつ来店されてもいいように店内を細かく掃除したり

とにかく長い待ち時間を埋めるかのように黙々と何かやる事を見つけては

各自が動く。。。

オープンからの数日の忙しさはまるで蜃気楼を見ていたかのように店内にはただただ音楽だけが寂しく鳴り響いている。。。

ポップな音楽も悲しいメロディーにしか聞こえなくなってくる。。。

そして最終的には掃除する場所もなくなり

美容業界では「偵察」と呼ばれる私達なりの

(他店を外から覗く)という行動に出る。。。

「他のお店どうだった?」

「あそこは3人、どこどこは満席でした」

などと不安にしかならない行動をしてさらに落ち込む始末。。。

待っているしかないが待っていても仕方がない。。。

(このままいけば半年でアウトだな、、、、)という空気がオープンから一週間で漂う。。。

ネットがない時代の営業活動はここから生まれるのでした。。。

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